新しい聖女
いつも通り祈りを捧げようと、神殿に行くがその日は朝からばたばたと神官達が忙しなくしていた。
「どうしたのかしら?」
1人の神官に声を掛けどうしたのか聞いたが、何故かあまり答えてくれなかった。
更に、目もあまり合わせてくれずそそくさと行ってしまった。
「え、なんで?」
何かしただろうかと思いつつ祈りの時間が来ている為、向かおうとすると……。
「ミーシャ」
「司教様」
ミーシャのいる神殿の司教様で、民のためだと言い本来の聖女の仕事の倍させているのだが、普通が分からないミーシャは今までの聖女もしてきたのだろうと思い、一生懸命こなしていたのだ。
「何か御用でしょうか」
「話があるのでこの後私の部屋に来なさい」
「あ、はい」
そう言うとさっさと行ってしまった。
『あいつ僕嫌い』
『わたしも! すっごく偉そうにしてくる!』
『本当に司教か?』
「話ってなんだろうね。 今までもそんなに話した事ないんだけどな」
とりあえず、お祈りをしに行こうと歩く。
※
――コンコン
「失礼します」
「やっときたか」
「遅くなり申し訳ありません」
「まぁ、いい。 そこに座りなさい」
「はい」
司教の向かいに座り、聞く体勢をとる。
「この度、新しい聖女が見つかったのだ」
「え」
「彼女はまだなったばかりだから聖女の事を知らない為、説明をおこなっている」
「あの、司教様。 新しい聖女とは……」
「そのままの意味だ。 今回は早く我々も少し驚いているが、地方の神殿で癒しの光がでたからには本物だろう」
「待ってください! それはおかしいです! だって……」
新しい聖女が誕生するのが早すぎるというのもあるが、実は聖女が代替えする時は精霊が教えてくれるのだ。
聖女によって代替えの時期は違うが10年近くは変わらない、それに新しい聖女の力が覚醒する前は精霊達が察知する。
これは精霊が見える聖女だから分かる事の為、神殿の人達は知らないのだ。
なのに、今回はそんな話も聞いていない。
どういう事だと思い精霊達を見るが3人とも不思議そうな顔をしていた。
『新しい聖女?』
『なんの事だろうねー』
『聖女はまだ誕生しない』
『聖女はミーシャだよ! 私達が言うんだもの間違いない!』
やはり、新しい聖女は誕生していないはず。
それなら何故聖女の証である癒しの力が出たのだろうか。
「なんだねミーシャ」
「いえ、聖女はまだ誕生していません」
「何故分かるのかね?」
「それは……聖女には新しい聖女の力が覚醒すると分かるのです」
精霊が教えてくれると言っても、見えない人には説得力がない。
「どうやって分かるんだ?」
「それは、その……」
言い淀むと司教は「ふんっ」と鼻で笑いミーシャを見る。
「君が今まで聖女として地位を守っていた事は分かるが、だからと言って根拠のない嘘はやめてもらおうか」
「嘘では!」
「では、なぜ聖女がまだ誕生していないと分かるのだ」
「…………」
「君がそんなに聖女の座にしがみついていたいとは思ってなかったよ」
「そんなつもりじゃっ」
「兎も角、これは決定事項だ」
話は以上だ。と部屋から追い出されてしまう。
「どういう事なの……」
誕生していないはずの聖女の存在。何かがおかしい。
これはすぐにでもシャルディア様に聞かなくてはと祈りの場に行こうとすると……
「ミーシャ!」
「っ殿下?」
「どういう事だ、新しい聖女が誕生したって」
「あ、その」
「聖女は君ではないのか?」
「それが……本来は聖女は誕生していないはずなのですが、何故か新しい聖女が誕生したと司教様から報告がありまして」
「司教が?」
「私にも分かりません」
「ちゃんと説明しろ!」
「私にも分からないんです! っ……あ」
混乱している中、ヘンリー殿下に問い詰められつい大声が出てしまう。
「……申し訳ありません。 ですが祈りの場にいかないと」
「ミーシャ…」
失礼しますと頭を下げその場を立ち去る。
(説明しろって私にも分からないのにっ)




