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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第七章 ラナル平原編~ガリオスの脅威~ 

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第四十五話 イザーク百竜隊

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。アニメ公式サイトがございますので、是非ご覧ください。



 イザークが瞼を開けると、白い布と木が組み合わされた天井が見えた。魔王軍で使われている天幕だ。梁にはランタンが架けられ、橙色の光を淡く放っている。


 イザークはゆっくりと右に顔を動かした。周囲には簡易の寝台が並べられ、体に包帯を巻いた魔族達が横たわっている。どうやら負傷した兵士達が運ばれる、救護室にいるようだった。

 イザークは上体を起こすと、左から身じろぐ音が聞こえた。目を向けると隻眼のダムドラが小さな丸椅子に腰掛けている。


「ああ、イザーク百竜長。気がつかれましたか」

「ダムドラか。あの後どうなった? 部隊は?」

「敵は後退し、それ以降攻撃はありません。兵士達も無事です」

 部下が無事という報告を聞き、イザークは胸をなでおろしながら寝台から降りた。


「もう立って大丈夫なので?」

「怪我は塞がっているからな。寝台を占有しているわけにはいかん」

 起き上がったイザークは、体に巻かれた包帯を引きちぎるように外した。ごつごつとした鱗が顕わとなり、傷は全てふさがっている。血を流したため腹は減っているが、動きに支障はない。立って歩けるのなら退院だ。


 まずは自分の部隊に戻ろうと、イザークはダムドラと共に天幕を出る。

 どれほど意識を失っていたのか、外ではすでに日が暮れて星が瞬いていた。黒というよりはどこか青い空に、白い炊煙がいくつも昇っている。視線を下に戻せば篝火と焚き火の灯りが、こちらも星のように揺れていた。


 ダムドラと共に、イザークはギレ山砦の内部を歩いた。砦に活気はない。攻め込まれ、敗色濃厚となっているためだ。中には食事に手をつけていない一団もいる。


「あれはどこの部隊だ?」

 食事もせず意気消沈した部隊からは、時折メソメソと泣き声すら聞こえてくる。


「ビレン百竜隊ですね。あそこは隊長であるビレン百竜長をはじめ、熟練の兵士が多く戦死して、若い者しか残っていないのです」

「……そうか」

 イザークは重い息を吐いた。生き残った兵士達は、誰もが虚ろな目をしていた。おそらくこれが初陣なのだろう。最初の戦場で、あまりに過酷な体験をしてしまったのだ。


 イザークは勇敢に戦った兵士達に黙祷を捧げた。そして生き残った者達を、なんとか助けてやりたい。しかし自分に何が出来るだろうか? 自分の身すら守れていないというのに。


 イザークは自分の無力さを噛み締めながら進んだ。すると五つの焚き火の周りに、集まる兵士達が見える。イザークが預かるイザーク百竜隊だ。兵士達の間に活気はなく、沈黙に沈んでいた。隊長である自分がこの体たらくでは、兵士達が落ち込むのも当然である。

 イザークは後ろを歩いているダムドらをチラリと見た。


「なぁ、ダムドラ。どう声をかけるべきかな?」

 正直、どんな顔をすればいいのかも分からなかった。助けを求めると、副官は溜息を吐く。

「何を気にされているのです。普通にしていればいいのですよ。ほら、背筋を伸ばして」

 ダムドラがイザークの背中を叩く。前につんのめったイザークを一体の兵士が見つける。


「あっ、イザーク隊長!」

 兵士が声をあげると、火を囲んでいた兵士達が一斉に立ち上がり、イザークのもとに駆け寄ってくる。


「ご無事でしたか! 隊長!」

「心配していたんですよ!」

「もう体は大丈夫なんですか?」

 イザークを取り囲む兵士達が、次々に声をかける。その顔には喜びと安堵があった。イザークは戸惑いながら、振り返りダムドラを見た。副官はだから言ったでしょうと頷く。


 部下の歓待に戸惑っていると、手を叩く音が兵士達を制止する。目を向ければ赤い鱗をした太った魔族だった。その隣には緑の体色の魔族もいる。友であるゴノーとサーゴだ。


「ほらほら、詰め寄るな」

「言ったとおりだっただろ、イザーク隊長は無事だと」

 ゴノーとサーゴの言葉に、兵士達は頷いている。二体は兵士達に信頼されているようだ。


「イザーク。替えの鎧と盾を貰っておいたぞ」

 サーゴが親指を向ける。緑の指の先には、真新しい鎧と盾が置かれていた。サーゴは細やかな気配りが出来て、段取りがうまい。戦闘とは準備であり、準備を万全に整えたほうが勝つ。これで明日からも戦える。


「そうだ、イザーク。少し前に特務参謀ギャミ様から使いが来てな。意識を取り戻したら、自分のところにまで来てほしいそうだ」

「ギャミ様が? 分かった、今からいってみよう。」

 イザークはサーゴに頷き、そして自分を取り囲む兵士達を見た。

 大なり小なり誰もが負傷していた。疲労も顔に出ているが、目は死んでいない。


「今日はよく頑張ってくれた。この調子で戦い続けることが出来れば、必ず勝てる。今日はしっかり休んで、明日に備えてくれ」

 イザークの言葉に、兵士達は大きく頷く。イザークはダムドラに視線を向けた。


「ダムドラ、あとは任せた。私はギャミ様のところにいってくる」

 イザークは兵士達に手を振ったあと、ギレ山砦の頂上部にある本陣へと向かった。


 歩きながら、イザークは気分の悪さを覚えた。嘘を言ったためだ。

 勝てるなどと言って兵士を鼓舞したが、誰の目にも劣勢は明らかである。今日は運よく生き延びたにすぎない。だが兵士を指揮する立場上、ああ言うしかなかった。


 不安を覚えたまま歩いていると、ギャミがいる天幕に辿りついた。


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― 新着の感想 ―
イザークだけは絶対生き残りそうね。
一般魔族「あの双子と戦って一眠りしたら回復してるなんて」
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