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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第七章 ラナル平原編~ガリオスの脅威~ 

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第四十四話 ギレ山砦攻防戦③

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。アニメ公式サイトがございますので、是非ご覧ください。



「まだだ、まだ死んでいないぞ」

 倒れないイザークに対し、グランベルとラグンベルが口を尖らせる。


「やったと思ったけれど、少し手応えが変だね。ラグン」

「うん、鱗が分厚いのかな? あと鱗の下の筋肉が、衝撃を吸収しているみたいだね。グラン」


「この感触、以前戦ったガリオスに近いものがあるかな? ラグン」

「そうだね、あの時のガリオスに近いね。グラン」

 戦闘中だというのに、グランベルとラグンベルは呑気に会話をしている。イザークは傷の痛みになんとか耐えながら、呼吸を整えることに努めた。だがその呼吸が一瞬にして途絶した。槍を構える双子将軍が笑みを浮かべたからだ。


 グランベルとラグンベルは、終始余裕の笑みを湛えていた。しかし今の笑みは違う。緩んだ口と目には、冷酷さが宿っている。


「ガリオスを倒すために鍛えた技」

「練習台にちょうどいいね」

 笑う双子が滑るように体を動かし、互いの体を寄せ合う。そして密着しながら槍を構え、イザークに向かって突進してくる。


 イザークは戦鎚を薙いで迎撃するも、双子将軍は互いに身をひねって回避する。次の瞬間、双子のうち一人の姿が消える。違う、消えてはいない。背後に隠れている。回転するように体を捻り、背後に隠れていたもう片方が姿を現す。そして回転の力をそのままに突きを放った。


 イザークの鎧が貫かれ、血が飛び散る。だが攻撃はこれで終わりではない。双子は互いに背中を預けながら、クルクルと回転して攻撃を続ける。息もつかせぬ連続攻撃。その速度は速く、何より強い。手数が増えれば一撃の威力は弱まりそうなものだが、むしろ強くなっている。


 体の痛みに耐えながら、イザークはグランベルとラグンベルが使う技の術理に気づいた。

 魔族も人も、種族は違えども手足はそれぞれ二本ずつ。体の構造は近く、動かし方もほぼ同じだ。重心も決まっており、片足を上げている時は重心が悪くなる。だがグランベルとラグンベルは違う。背中を合わせ合うことで、重心すらも分け合い補っている。

 もはやグランベルとラグンベルは二人ではない。二身一体の怪物である。


「さて、ここまでは以前も使っていたけれど!」

「ここからは対ガリオス用の新技さ!」

 グランベルとラグンベル、イザークにはもはやどちらがどちらか判別がつかない。その中で右にいるほうが両手で槍を突き出す。さらにその槍に、三本目の手が添えられる。左にいる片割れの左手だ。普通ならば邪魔にしかならないであろうが、三本目の手は槍を加速させ、イザークの右腕を貫いた。イザークは焼けつく痛みに唸り、戦鎚を落とす。


「うまくいったね、ラグン」

「ああ、グラン。これならガリオスにだって通用する」

 右にいるグランベルが槍を引き血糊を払う。左にいるラグンベルも満足に頷く。


 もはやイザークは立っているだけで精一杯だった。立ち尽くす中、イザークは必死に力が目覚めよと願っていた。


 窮地に陥った時、イザークは自分でも信じられない力を出せる時があった。筋力が何倍も上がるだけでなく、体の傷さえ瞬時に治癒することが可能だった。あの力が使えれば、この窮地を脱することが出来る。それどころか一気に敵を押し返し、劣勢を覆せるはずだった。しかしどれほど念じようと、力が湧き出るどころか、出血と共に気力すら抜け出ていく。

 意識すら混濁し始めたその時、雷鳴の如き声が響く。


「何をしておるか! イザーーーーク‼︎」

 一喝したのは、双剣を背にする兄のガオンだった。隣には双頭の槍を持つガストンもいる。

「あ、兄、さ……ん?」

 息も絶え絶えのイザークが視線を上げると、ガオンとガストンはイザークの隣に立つ。


「何をしている、イザーク! 武器を取れ! 戦わんか! それでもお前はガリオスの子か!」

 ガオンは喝を入れたあと、グランベルとラグンベルを睨む。


「ふぅん。今度はガオン将軍とガストン将軍か。これはなかなかの大物が出てきたね。ラグン」

「ガリオスの息子を三体も倒したとなれば、ロメリア様に随分褒めてもらえそうだね。グラン」


「ガオンは僕がやるよ。ガストンは任せたよ、ラグン」

「なら、どっちが早く倒せるか競争だね、グラン」


「ほざけ! このガオンを容易く倒せると思うなよ!」

「お前達の首を、ロメリアに贈ってくれる!」

 ガオンが双剣を抜き放つと、踊るように飛び掛かった。ガストンも双頭の槍を旋回させる。

 兄達の剣捌きと槍捌きは、見事の一言だった。


 ガオンは双剣を蝶のように煌めかせ、舞うように戦う。一方ガストンの槍は唸り声をあげて風を切り、疾風怒濤の攻撃を繰り出す。二体の動きは止まることを知らず、その身のこなしは巨躯を感じさせぬほど軽やかだった。二体は戦士の理想系ともいえる技術を体現していた。ガオンとガストンの猛攻の前に、グランベルとラグンベルも防戦一方となる。


 双子将軍すら圧倒する技を見て、イザークはただただ驚いた。イザークの知るガオンとガストンは、持ち前の巨躯を生かした力任せの戦いをしていた。だが今のガオンとガストンは違う。巨体と腕力に頼ることなく、速く、そして正確だ。

 槍術では向かう所敵なしのグランベルとラグンベルも、ガオンとガストンの前に後退する。


「へぇ、随分と腕が上がっているね」

「この二年で、だいぶ鍛えたみたいだね」

 右のグランベルと左のラグンベルが、長いまつ毛に覆われた目を少し大きくする。

 双子は槍を繰り出すも、ガオンとガストンは双剣と双頭の槍で防ぎ切る。


「お前達の槍捌きはすでに見切っている!」

「我らを以前のままと思うな!」

 槍を払うガオンとガストンが吠える。二年前のガンガルガ要塞の攻防戦において、ガオンとガストンはライオネル王国軍と戦った過去があるのだ。


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― 新着の感想 ―
イザーク、双子を見分けられるのは、母とロメ様だけだから
双子なんか慢心してない? フラグくさいな……。 イメージ的には一対一を二つやるより二体二で戦う方が双子には有利な気はする。
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