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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第七章 ラナル平原編~ガリオスの脅威~ 

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第四十二話 ギレ山砦攻防戦①

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。アニメ公式サイトがございますので、是非ご覧ください。




 ガリオスの七男イザークは、大盾を背に長い戦槌を杖のように突いた。

 イザークは目を瞑って大きく息を吐いた。だが心と耳は休まらない。視界を封じてもなお爆音と怒号、悲鳴とうめき声が鼓膜を苛む。瞼を上げれば、黒い土に煙の灰色。そして血の赤で埋め尽くされていた。


 地面に何体もの魔族が蹲り、あるいは横たわっていた。一体は左の腕に包帯が巻かれており、肘より先はない。別の魔族は頭に包帯が巻かれ、左目の場所から血がにじんでいた。残った右目が見下ろすのは、自分の手の中だった。イザークが目を凝らせば、手の中にあるのは一個の眼球だった。おそらく自分の目なのだろう。自分の眼球を見下ろしている状況に、頭では理解出来ても心が追い付いていないのだ。


 凄惨な光景であるが、生きている者はまだいい。地面に横たわる兵士の中には、もう動いていない者が大勢いる。腹から内臓が飛び出している兵士は助からないだろう。

 血と臓物と腐敗臭が周囲を覆っているはずだが、もはや鼻が馬鹿になり、酸鼻が鼻孔を突くこともない。また目を覆いたくなるが、イザークは腹から息を吸い込んだ。


「ダムドラ! 居るか!」

 イザークは背筋を伸ばして声を張り上げた。誰もが俯いている時こそ、声をあげる者が居なければいけない。たとえ空元気でもないよりはましだ。


「はっ、イザーク百竜長!」

 イザークの声に、隻眼の副隊長が駆けてくる。


「状況はどうなっているか!」

「はい! ライオネル王国軍は現在、北部第十三防衛線に到達しております! ビレン百竜隊とデニス百竜隊が防衛に当たっております。第十四防衛線はデルゼ百竜隊とバーグ百竜隊が守りについております。またゴノー隊が第十五防衛線を構築中です!」

 ダムドラはイザークに報告するだけでなく、周りの兵士にも聞かせるように答える。


 連合軍がギレ山砦を包囲して、すでに七日が過ぎていた。魔王軍は攻め込まれ、城門はあっさりと陥落している。砦の内部には土塁や柵を十重二十重に築いていたので、まだ持ちこたえていた。しかしすでに十二の防衛線が突破されている。かくいうイザークも、先程まで第十二防衛線をヴェルノ百竜隊と共に守っていた。しかしヴェルノ百竜隊が敵の苛烈な攻撃を受けて崩壊し、戦線を支えきれず後退してきたのだ。


「我が隊の損害は? 死者と負傷者はどうなっている?」

「はい! 我が隊に死者は居りません。軽傷者が十七体、重傷者は三体です。現在サーゴ隊が後方に移送中です!」

 死者はいないという報告に、イザークは内心安堵する。重傷者は気がかりだが、今は無事を祈るしかない。


「上官であるドルガ千竜将から、何か指示や命令は来ているか?」

 イザークが問いただした時だった。周囲にいた兵士達が声を上げて空を見上げる。イザークは即座に首を返して空を仰ぎ見た。すると丸い球体が、真っ直ぐ飛んでくるのが見えた。


「ロメリアのビーズだ!」

 兵士が叫ぶ。ビーズとは、ロメリアがこの戦場に持ち込んだ新型攻城兵器の通称だ。ビーズなんてかわいい名前をつけているが、あの球体の中には、爆発する魔道具が詰められている。

 飛来する新兵器に、兵士達が慌てて逃げようとする。だがイザークが声を飛ばす。


「落ち着け! 落下地点をよく見るんだ! 逃げるのはそれからだ!」

 イザークは一喝しながら、降ってくる球体の行方を追う。


「あそこに落ちるぞ! 退避! 退避! 物陰に隠れて伏せろ!」

 イザークは兵士達に命じたが、自分はまだ伏せなかった。部下より先に隠れるわけにはいかないからだ。兵士達は必死に逃げて物陰に隠れる。だが一体だけ、落下地点で逃げずに蹲っている者がいた。若い兵士だ。顔には恐怖が張り付いている。足がすくんでしまっているのだ。


「馬鹿! 逃げろ!」

 イザークは助けにいこうとしたが、後ろから肩を掴まれる。


「イザーク百竜長! 駄目です!」

 ダムドラが後ろから押し倒す。直後球体が落下し、衝撃と轟音がイザークの頭上を駆け抜ける。イザークは体に降りかかった土砂をはねのけて起き上がった。すると目の前の光景は一変し、地面には大穴が開いていた。先程蹲っていた兵士の姿はなく、手足の一部が散乱している。


「ああ、くそ! お前達は無事か! 怪我をした者はいないか!」

 イザークは悪態をつきながらも、負傷者の救助を命じた。


「ライオネル王国の新兵器、厄介ですね」

 ダムドラの顔も苦い。イザークも顔を歪めながら平原に目を向けると、三台の風車が風に吹かれて回っていた。一見するとのどかな光景だが、あれこそ恐るべきロメリアの新兵器だった。どういう原理を用いているのか、あそこから高速の弾が放たれる。その飛距離と破壊力は従来の投石機を超えており、命中精度も高く、的確に防衛設備がある場所を狙って来る。おかげでせっかく築いた土塁や柵が破壊され、防衛設備をうまく機能させられないでいる。


「魔道具入りの弾を揃えるのは大変だろうに、毎日打ち込んでくるな」

 イザークは息を吐く。押し寄せる敵兵に加え、空からの攻撃も注意せねばならない。兵士達は空に怯えながら戦っている。このままだと守り切れない。

 イザークが内心の不安を押し隠していると、前線から兵士が駆け込んでくる。


「第十三防衛線が突破されました! ビレン百竜長は戦死し、デニス百竜長も重傷! 敵は十四防衛線に押し寄せ、防ぎきれません!」

 イザークはダムドラと顔を見合わせた。まだ第十五防衛線の構築は完全に出来ていない。もし敵が押し寄せれば、防衛線が崩壊してしまう。


「ダムドラ、我らも防衛線の構築に向かうぞ! 動ける者はついてこい!」

 休んでいる場合ではないと、イザークはダムドラや兵士と共に第十五防衛線に向かう。戦線では赤い鱗の魔族が九体の兵士を指揮し、柵を立て土塁を築いている。イザークの友でもある十竜長のゴノーだ。前線からは味方の兵士が後退してきており、現場は混乱していた。


「ゴノー! 状況は?」

「イザークか! 第十四防衛線はほぼ崩壊している。守っていたデルゼ百竜長とバーグ百竜長は戦死したらしい。後退してきた兵士を受け入れているせいで、陣地構成が出来ない」

 ゴノーの額には汗が流れる。まずい状況にイザークは周囲を見回す。後方を見れば、緑の鱗をした魔族が、兵士を率いて向かってきていた。十竜長のサーゴだ。数は増えつつあるが、陣形を整える時間がない。


「ダムドラ! ここを任せた!」

 イザークは戦槌を手に、戦場を走った。


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>ロメリアのビーズ ろめ様「なんですか!私がビーズ細工を作ると爆発するとでも言いたいんですか!?」 教師夫婦「「……(無言で目を逸らす)」」
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