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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第七章 ラナル平原編~ガリオスの脅威~ 

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第四十一話 ロメリアの新兵器

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。アニメ公式サイトがございますので、是非ご覧ください。



 青空にトンカンと木槌を振るう音が響く。緑の草原には指先程の小さき花が咲き、白い蝶が二匹、戯れるように飛んでいた。

 蝶を追いやるように、幾つもの足が草原を踏み荒らす。声を揃える男達は、肩に木材を担ぎ運搬する。男達が向かう先には、巨大な風車が鎮座していた。


 四枚の羽根には白い布が張られ、四角錘の外壁にも布が張られている。そして布からは長い筒が一本飛び出ていた。やや奇妙な形をした風車が三台、平原で組み立てられている。

 私は風車の裏手に回った。すると一面だけ布の覆いがなく、内部が顕わとなっていた。


 内部の中央には、風車の羽根と繋がる太い柱が伸び、四方から伸びる柱と組み合わされて四角錘を形成していた。地面付近に視線を向けると、柱には歯車がついており、さらに幾つもの歯車が組み合わされている。歯車は最後に、大きな木製の車輪に繋がっていた。そして車輪は外に突き出ていた筒に連結されている。

 風車の内部を、どこか眠たげな眼をしたメリルが歩いていた。彼は作業していた男達から報告を受けては頷き、手に持つ書類にペンを走らせる。


「メリル、組み立てのほうはどうですか?」

「ロメリア様。新型攻城兵器の組み立ては順調です。この一台は組みあがりました」

 メリルが目の前で組み上げられている風車を見上げた。風車にしか見えないこの物体こそ、ライオネル王国が作り上げた新型の攻城兵器だった。


「今オットーが、筒の調整をしているところです」

 メリルは書類をめくって確認した後、視線を風車から飛び出た筒に向けた。伸びる筒の先では、頭に布を巻いたオットーが、木槌を振るい支柱に筒を固定している。


「オットー! どうだ!」

 メリルが腹から声を出すと、オットーがこちらに気づき左手を上げる。

「準備が出来たようです。あとは試射を行い、微調整すれば攻撃可能です」

 メリルは筒が伸びた先に目を向ける。そこには険しい岩山の上に築かれた山砦があった。天然の要害には竜の旗が翻り、黒い鎧を着た魔族の兵士が行き交っている。

 魔王軍が再建したギレ山砦である。


 魔王軍がギレ山砦に立て籠もって、すでに十日が経過していた。山砦を守る一万体の魔族は、日々穴を掘り土塁を積み上げ、柵や壁で砦を強化していた。時間を与えれば、際限なく強化を続けるだろう。一刻も早く攻撃を開始せねばならなかった。


「分かりました。すぐに試射の準備を始めてください」

「よし! 試射を行う。弾を装填しろ!」

 メリルの号令に、一人の兵士が一抱えもある球状の弾を運ぶ。素焼きで造られた専用の弾だ。兵士は風車の内部に設置された、巨大な車輪の上に弾を固定した。風車からは一本の縄が伸びており、弾を運んだ兵士は縄を掴んで風車のそばで待機する。


「装填完了! 次! 魔法兵三十人、風魔法準備! 風速『小』! 放て!」

 メリルが声をあげると、黒いローブに杖を持つ男達が現れる。男達は緑の宝玉が付いた杖を掲げると、宝玉が光り輝く。するとにわかに風が吹き、風車が回り始めた。

 彼らは魔法を使える魔法兵であり、手に持っているのは、風を生み出し操る魔道具だ。


「風速『中』へ移行!」

 メリルの号令に従い、風は徐々に強くなる。風車の羽根は風を受けて勢い良く回った。

 私は髪を押さえながら、風車の内部に目を移した。内側では羽根の回転が支柱を通じて歯車に伝わり、歯車が次々に回る。回り始めた歯車は勢いを増し、弾が設置された車輪が動き出す。


「風速『大』へ移行! 最大風速!」

 メリルが号令すると更に風が強くなり、風車の羽根は目で追えぬほど早くなる。内部の車輪も恐ろしい速度で回りはじめ、歯車が唸り声をあげる。


「発射!」

 メリルが号令すると、弾を運んだ兵士が、掴んでいた縄を引く。車輪に固定されていた弾が外れ、突き出た筒を通って外に飛び出る。

 放物線を描いて飛んでいく先には、ギレ山砦の土塁があった。

 弾が土塁に激突すると、大気を震わす爆発音と共に土塁の一部が吹き飛んだ。煙と土埃が治まると、土塁には大きな穴が開いているのが見えた。


「……いいですね、普通の投石機より威力がある」

 一撃で土塁を破壊した威力に、私は頷く。


「打ち出した弾の中には、爆裂魔石が入っていますからね。威力は予定通りですが、それよりもちゃんと狙ったところに飛んでくれています」

「筒を長くしたのが良かったようですね。これなら十分使える」

 私はポケットから地図を取り出して広げた。地図にはギレ山砦の全景と、罠や防衛設備が設置された場所が記入されている。翼竜を使って、レイに偵察してもらったものだ。


「では残り二台の組み立てと準備が整い次第、順次この場所を攻撃していってください。攻城兵器の攻撃の後、歩兵部隊を前進させます」

 私はメリルに地図を渡した。ギレ山砦は峻険な岩山に築かれており、攻略するには狭い道を登っていかねばならない。守るには有利な地形だが、逆にいえば守る場所は限られている。そこを風車型攻城兵器で攻撃すれば、幾分か楽に攻略出来るはずだ。


「しかし風車を、円運動を攻城兵器に利用するとは、ロメリア様も妙なことを思いつきますね」

 メリルは感心した目を向ける。攻城兵器はテコの原理を利用した投石機などがよく知られている。だが投石機は威力が頭打ちとなっていた。威力の向上を求めるのならば、大型化するしかない。しかし大型化すればその分重くなるし、輸送も大変である。何より攻城兵器自体に負荷がかかり、壊れる危険性が出て来る。だから私は全く別の方法をとることにしたのだ。


「昔アンリ王子と旅をしていた時、嵐に遭遇して風車小屋に避難したことがあったのです」

 私はもう何年も前のことを思い出した。ひどい嵐で風に飛ばされそうになりながら、何とか風車小屋に逃げ込んだ。しかしそこはどこよりも危険な場所だった。


「中には小麦を挽く石臼があったのですが、嵐で風車がすごい勢いで回り、石臼も高速で回転していました」

「そいつは……」

 メリルが顔を引きつらせる。私もあの時は恐怖に血の気を無くしたものだった。


「すぐに外に飛び出たのですが、次の瞬間石臼が砕け散り、破片が周囲にある全ての物を破壊しました。その時思ったのです。嵐の力を受ける風車には、すごい力があるのだと」

 身をもって知った教訓を私は語った。もちろん通常に吹く風では、嵐の時のように風車の羽根を回せない。だが魔法の力を使えば、補うことは可能だ。

 三十人の魔導士が一斉に風を操れば、瞬間的に嵐に匹敵する力を生み出せる。


「ガリオスを倒すための兵器が、こんな形で役に立つとは思いませんでしたね」

 私の言葉にメリルが笑う。風車型攻城兵器は、本来はガリオスを倒すために造られたものだ。


 私はガリオスの戦力を、城や砦と同等と見積もっていた。当然ガリオスを倒すためには、城や砦を落とすぐらいの力がいる。そのため私は、小型で威力に優れる攻城兵器の開発に着手した。だがこれが難航した。攻城兵器の威力を上げると、どうしても大型化するからだ。

 そこで私は考え方を変え、従来の攻城兵器によく使われるテコの原理を用いず、風車による円運動で威力の向上を図ったのだ。これは成功し、威力はまずまずといえた。


「これがもっと小型になればいいのですが……」

 私は風車型攻城兵器を見上げた。対ガリオス用の兵器として作ったが、大きすぎて準備に時間がかかり、ガリオスを攻撃するには適さなかった。組み上げた物を馬車に載せて移動出来るぐらいでないと、ガリオスに攻撃出来ない。


「それは難しいでしょう。この大きさでも、輸送を考えて小さく作ったそうですから」

 メリルが苦笑いを浮かべる。残念であるが、これは私の要求に無理があるのだろう。小型で軽量、しかも威力を上げることが簡単に出来たら、誰も苦労はしない。


「しかし、ギレ山砦を攻略するにはちょうどいいでしょう」

 私は先程吹き飛んだ土塁に目を移した。一撃であれだけの威力があるのなら使えるだろう。


「では私は本陣に戻ります。あとはよろしく頼みましたよ」

 私はこの場をメリルに任せ、北に目を向けた。ギレ山砦の北には、見晴らしのいい丘が存在する。本陣を置くのに最適の場所だったため、当然丘の上に本陣を築いた。

 よく見える場所から、戦争の推移を見守ろう。


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がりおす「え、俺石臼と同じなの?」 ぎゃみ「閣下、手を止めてないで小麦粉をひいてください」
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