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【アニメ化決定】ロメリア戦記~魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織した~  作者: 有山リョウ
第七章 ラナル平原編~ガリオスの脅威~ 

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第三十七話 三体の兄達

ロメリア戦記のアニメ化が決まりました!

ロメリア戦記がアニメになります。アニメ公式サイトがございますので、是非ご覧ください。



「どけ! イザーク! 訓練の邪魔をするな!」

「そうだ! 邪魔をするならばお前でも許さぬ!」

 ガオンとガストンは殺気だった声をあげる。


「訓練、これが訓練ですか?」

 イザークにはわけが分からなかった。兵士は戦いに備え、訓練に努めねばならない。だが訓練はあくまでも訓練だ。訓練で怪我をして死んでしまっては意味がない。そのため訓練では木剣を使用し、当たりそうな時は寸止めをするのが習いである。


「こんなものは訓練と言えません! ただの殺し合いです!」

「貴様には関係のないことだ、イザーク!」

「この程度で死ぬのならば、それまでよ!」

 二体の兄が吠える。何故そこまでするのか、イザークには分からなかった。そこに割って入る声があった。


「兄上もガストンも、その辺にしておけ」

 イザーク達が顔を向けると、そこには白い衣を着込んだ魔族がいた。ガオン達に劣らぬ巨躯であるが、鎧は着ておらず、肩に三色の宝玉がついた杖を担いでいる。


 ガリオスが四男のガダルダであった。同じガリオスの息子であるが、魔法をよく使うこの男は、ほかの兄弟とは違った空気を纏っている。


「止めるな、ガダルダ!」

「そうだ! 我らは実戦を想定して訓練をしているだけよ!」

 吠えるガオン達に、ガダルダはつまらなそうに顔を顰める。


「ふむ、訓練か。確かに訓練は大事だ。しかし今やらなければならないことか? 今は将兵こぞって砦の強化に明け暮れておる。訓練をしている場合か?」

 白い目で指摘するガダルダに、ガオンとガストンは言葉を呑み込む。


「それに、魔王軍は強さこそが正義。我らは年嵩で兄ではあるが、イザークのほうが強い。イザークに従うべきではないか?」

 ガダルダの言葉に、ガオンとガストンは目を剥く。魔族は武を尊び、強者が正しいとする倫理が存在する。これは時に年齢や軍隊での階級すら超えることがあった。

 ガオンとガストンは顔を歪め、噛み締める牙の隙間から唸り声を漏らす。


「そんな、私が強いだなんて……」

 イザークは首を横に振った。しかしガオンはその場に崩れ落ちるように膝をついた。両手に握っていた双剣も手放し項垂れ、両手を地面につく。ガストンは槍を握り締め天を仰ぐ。


「何故だ! 何故我が血は目覚めぬ!」

「我らもガリオスの子ぞ!」

 ガオンは地面を殴りつけ、ガストンが吠える。両者の声は慟哭となっていた。

 血の目覚めという言葉に、イザークは兄達の焦りの原因を理解した。


 先程の事故現場で、イザークは女魔族を助けるために、普段の何倍もの力を発揮した。魔族であっても常識はずれの力だが、父のガリオスも同じことが出来た。

 ガオンとガストンは同じことを自分達も出来るはずだと、無茶な訓練を行っていたのだ。

 地面を殴りつけるガオンの拳が、裂けて血が滲む。


「いけません、兄上」

 自分を傷つける行為を見過ごせず、イザークはガオンの腕を止める。

「うるさ……」

 ガオンはイザークの手を振り払おうとしたが、その言葉を呑み込む。そして苦しげに顔を歪めて立ち上がり背を向けた。その背にガストンも倣う。


「どこへ?」

「兵の様子を見にいく! それでよかろう!」

 ガダルダの問いに、ガオンが怒鳴って返す。ガダルダはそれ以上何も言わず、去っていく二体を見送った。兄達の背中を見て、イザークはどうすればいいのか分からなかった。迷うイザークにガダルダが口を開く。


「気にするな。奴らが弱いのは奴らの問題だ。そして自らの弱さを受け入れられぬのも、奴らの問題。お前が気にすることではない」

 ガダルダはヒラヒラと手を振るが、イザークは兄達とどう接すればいいのか分からない。


「イザークよ、強者には強者の振る舞いがある。慈悲や情けは、他者を傷つけると知れ」

 ガダルダは溜息を一つして忠告する。兄の指摘にイザークは何も言えない。


「む、翼竜か」

 イザークを見ていたガダルダが、視線を跳ね上げる。イザークも視線を追うと、三頭の翼竜が西から向かってくるのが見えた。

 翼竜の茶色い首には黒い布が巻かれ、竜の紋章が見えた。魔王軍の翼竜部隊だ。


「確か……ゲラシャが来て軍議をする予定だったな」

 ガダルダはグラナの長城を守る副将の名をあげた。元はローバーンで財務長官をしていた魔族だが、二年程前に失脚し、現在では最前線にまで飛ばされているのだ。


「ということは、今から軍議ですか?」

「そうだ。イザークよ、この軍議にはお前も参加しろ」

 ガダルダはイザークの返事を待たずに歩き出した。


「お待ちください、私にはその資格がありません」

 イザークは歩き出す兄に言い返した。軍議は簡単に参加出来るものではない。ギレ山砦には一万体の兵士が詰めており、総大将であるガリオスを筆頭に、千体の兵士を指揮する千竜将が脇を固めている。イザークはドルガ千竜将率いる千竜隊の一部隊長にしかすぎず、軍議に参加するには十分とはいえなかった。


「なに、一体増えたところで誰も気にせぬ。経験と思え」

 肩越しにガダルダに言われ、イザークは仕方なくその背中を追った。


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― 新着の感想 ―
そこで弟を虐めたりせず自分達を追い込むところがジメジメ陰湿じゃなくてまだ良いですね。 まあ今そんなにやりすぎ訓練はせんでええやろ、とは思いますけど。
ろめ様「目覚めなくていいです、そんなもの」
まぁ、明らかに強い奴に卑屈になられると、傲慢でいるよりムカつくかもしれない。 しかしイザークまだ階級的にはそこまででもなかったのね。
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