21、*初顔合わせ2
遅くなってすみません!
ブックマークありがとうございます!!
俺とルセットは暫くクレアが出て行った扉を黙って見ていた。
その沈黙を破ったのは家庭教師ことマリア先生である。
「ルセット様、王弟殿下。私は陛下の所に今後の事について相談に向かいますので、お2人で今日1日お過ごしください。ルセット様。お時間になりましたら迎えが来るかと思います。では、失礼致します」
そう言うとお手本のように綺麗な礼をして部屋から出ていった。
「…………」
再び沈黙が訪れた。
今回は扉を見つめているのではなく、ルセットと見つめあっている。
ルセットにじっっと目を見られているので、無言で見つめ合う形になっているだけだ。変な意味はない。
「ふぅ…」
ルセットが息を吐いた事でまた、沈黙が破られた。
「ノアは悪い人では無いようですね。
シェロを知っている、と言うのが気になりますが」
ルセットは瞳を閉じて『シェロを知っている』を強調し、そう発した。
…悪い人では無い? どう言う意味だ…。
あと、シェロを知っている、というのはどうやってわかったんだ?
黙り込んでいる俺を不思議におもったのかルセットは話しかけてきた。
「ノア?考え込んでどうしたのです…ってああ。何故、知っている?って事ですよね?」
「えぇ。なんで私がシェロという者を知っていると分かったのかと」
「ノアは能力をご存知ですよね?今回わかった理由は私の能力のおかげ、という事ですよ」
「…能力……ですか?」
この国は、能力という人知を超えた力を持つ人が沢山住んでいる…という事は知っている。
大体の人々は名前を頂いた時に目覚めるのだとか。
だが、私にはまだ無いのだ。能力とやらが。
「生憎と私には能力とやらは備わっていないようなので、詳しく説明してくれるとありがたいですね」
「そうですか?でも、ノアは既にお持ちですよ。どんな力かはわかりかねますが、いつか必要になった時に、必ず力になってくれます」
いつか必要になった時に使えるようになる…か。
ルセットも、その能力が必要だったから発現したというのか。
「一応、この国の全ての人に能力がありますよ。
ただ、使えるようになるかは本人次第らしいです。で、僕の能力なのですが」
「ちょっ、ちょっと待ってください。そんなにすんなりと自分の事を話していいのですか?」
普通、そういう事は隠しておく方がよいのではないだろうか?……普通なんて知らないけども。
「大丈夫ですよ。ヴィル様に許可を頂いた上でのお話ですから」
「…そうですか」
ルセットはまたじっと俺の目を見ながら話し始めた。
「僕の能力なのですが、簡単に言うと"人の本質を見抜く、物事の正解を見抜く"要は人を見極める事ができる、というものです」
「人を見極める…」
そんな力が必要になる環境ってどんな所だよ…。
そう考えていたら、ルセットにニコっと笑われた。
「で、ノアは一体いつ、シェロと出会ったのですか?」
ニコっと笑いかけられた笑顔は有無を言わさず、早く答えろよ…と言っているようで怖かった。
「……5年前、同じ商会の商品だったから知っているだけですよ」
逆にいうと、それしか知らない。
シェロ…は、記憶がなかったようだから。
「5年前…商会…。それは、オークションの事でしょうか?」
ルセットは僅かなワードだけで、オークションと言い当てた。
流石…と、思ったけど それもそうか。
5年前 シェロが関わってるとしたらそれくらいだもんな。
「そう。オークション。そこで私達は目玉商品として売られたの。瞳の色と見た目が綺麗だったから、目玉商品」
目玉商品という言葉を聞いて、ルセットは目を見開いた。
「王族をオークションに出すどころか、目玉商品とは…」
そこに引っかかるのか。
まぁ、そうだよね。
でも、仕方ないんだよね。
平民の両親が売りに行ったから。
誘拐したくせに持て余して売った残念な人達。
「まぁ、仕方ないですよ。目み良く産まれた私とシェロがいけないので。…それと、シェロは王族じゃないと思いますよ?綺麗な碧眼だけど。王族だったら、貴方の方が可能性が高いんじゃないでしょうか?」
シェロが王族だったら俺が困る。
まぁ、ないと思うけど。
王族に、あの髪色は産まれないはずだから。
「そうですか。……私が王族なわけないじゃないですか」
ルセットに微笑まれて躱された。
末端がやらかした記録があって、外見も年的にも近いからそうかなと、思ったんだけどな。
「では、私からも1ついいですか?」
ルセットはニコニコしながら指を1本立た。
「なんでしょう?」
「ノア、賢しこまった話し方、嫌いですよね?」
「………」
「あれ?図星ですか?」
「…うるさい。慣れてないんだよ」
いきなり何を言い出すかと思えば…
当たり前ではないか。だって5年前からずっと喋る相手はクレアだけだったんだ。勿論ベネット様と話す時は敬語だ。…同年代の男子と喋った事ないのだから、仕方ないじゃないか。
「ふふふっ」
「…おい、何笑ってる」
「いえ、僕は好きですよ。敬語じゃないのも。
どうですか?貴方様の命令次第で僕も敬語を使わないようにしても大丈夫ですよ?」
ルセットはこてんと首を傾げて「上から目線みたいになってしまいましたね」可笑しそうに言った。
「……。あぁ、わかった。わかったよ。これから2人の時は無理に敬語を使わない。それでいいか?」
これから俺はルセットに言いくるめられる気がしてならない。
…いいんだけどさ。
軽口を叩けるような関係になっておいた方が今後楽な気がするし。
*
ヴィノア様という王弟殿下様は、見た目は完璧な王子様であったが、蓋を開けたら素直な可愛い方であった。拍子抜けである。
なんか、こう…シェロを巡ってどんぱちするかな…と思ってたんだけどな。
途中、僕の知らないシェロを知ってると分かった時軽く殺意が湧いたのは…許してほしいかな。
だって、シェロがよく喋っていたんだもん。
僕はやっと、ちゃんと話して貰えるようになったのに(シェロは黙って考え込んでる事が多い)。
彼は出会ってすぐ打ち解けてたんだもん。
「なぁルセット。俺、シェロに会いたいんだけど、どうすればあえる?」
「シェロの名前を呼ぶのは許してないけど」
ちょっと強く言っちゃうのも、仕方ないよね。
「え、別にいいじゃん。だってシェロって愛称でしょ?」
「…なんで愛称だとおもったの」
「なんとなく?シェロって呼び名が特別に聞こえたから…かな?数人しか呼んでなさそう」
なんとなくで言い当てられてしまった。
シェロ。どんだけ愛されてんだよ…ノアにさ。
「正解。でも、名前はまだ教えないよ。
あと、ノアはシェロが学校に入学するまで会えないよ。これはヴィル様とシェロの総意で決定事項」
そういうと、ノアの綺麗な顔がこちらを向いたまま固まった。
……黙ったままだったら、本当に王子様だな…と思い顔を見ていると、悲鳴が上がった。
「ぇぇぇぇぇえええ!?」
その日、王宮では悲壮感漂う悲鳴がこだましたとかなんとか……。
シェロ。
兄さんは王弟…ノアと仲良くやって行けそうです。多分。
「な、なんで…なんでシェロも同意してるんだ…?」
「ん?ヴィル様がとても悲しそうだったから」
「……え」
ノアは凄く困惑していて面白かった。
「僕達、カトラリーの子はヴィル様最優先で物事を考えるから仕方ないの。諦めてね?ノアがシェロの優先順位の上位になることはないからさ。…まぁ、頑張って」
僕は今までで1番だと思われる笑顔をノアに向けた。
「……いいもん。別に。俺には5年前にシェロと語り合った(?)思い出があるもん。手だって握ったし」
「手を握る?ごめんね。それ、毎日シェロとしてるわ、僕」
「……え」
「ふふふっ。今日だってお家に帰ったらシェロが、『お帰り ルセット兄さん』って迎えてくれるからね。今から楽しみだなぁ」
「…………」
ノアがプルプルし出したのでここまででやめておく事にする。
こんなに素直でこれから先大丈夫なんだろうか。
とりあえず話を変えておく事にする。
「ねぇ。ノア…さっきの綺麗な赤髪の子とはどんな関係?」
さっき出て行くところを見てから気になっていた事。
「クレアの事?俺を買って、育ててくれた方の1人娘。俺の大事な大事な友人」
「大事な友人」
「ん?ヤキモチか?クレアは綺麗だからなぁ」
「や、ヤキモチ?バカ言わないでよ。今日、会ったばかりだから。ヤキモチも何もないから」
自分の顔に熱が少し集まった気がした。
……なんで熱くなったのかなんてわからないけど。
僕とノアは、僕はの迎えが来るまでまるで昔からの友人みたいに話していた。




