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17、*君に会いたい。

ブックマーク等本当にありがとうございます!

今回もシェロ目線ではありません…

よろしくおねがいします!



ある日の昼下がり。

見つかったばかりの王弟は部屋で暇を持て余していた。


産まれてすぐに誘拐され、6歳の時に誘拐犯だった両親に売られ、貴族に買われて現在11歳。


この国の王弟…王子だという鑑定結果が出て、王宮に召し上げられ、王宮の一室に閉じ込められて早一週間。

「暇だ。暇すぎる」

机と椅子がセットになっている物に座り俺はため息を吐いた。

まだ色々と混乱しているだろうから…とか、まだこの国についてよく知らないだろうから…とか、理由を付けられ、この部屋に軟禁されている。


外に出したくない理由は、得体の知れない王子に王宮を我が物顔で歩かれたくないから…扱い方がわからないから…であるんだろうなと思う。

俺が王宮の人間だったら自分でもそう思うだろうから、この扱いには不満はない…けども。

「何もする事がない。暇で暇で仕方ない」

軟禁するのならば書物などの、時間の潰せるものが欲しかった。

この国について知らないと思っているのならば、なおの事 (そういうもの)を部屋に置くものではないのだろうか…。


今俺がいる部屋は元々俺の部屋だったらしい。

好きにしてくれて構わないと言われたけれど、俺が誘拐された時にこの部屋の時間が止まっている為、部屋に置いてあるものが少なく、つまらない。

置いてある本も絵本ばかりで読む気になれない。


「はぁ、早く自由になりたい」

俺は別に王子になりたかったわけではないのに…。

溜息と同時に呟き、天井を見上げていると、扉が叩かれ1人の少女が入ってきた。

「失礼します。クレアです……ノア様?

天井を見上げてどうしたのです?」

「…暇でしょうがなかったから、天井のシミでも見つけようかと」

「……何を言っているのですか……ここは王宮の一室なのですからシミなどないですよ…」

この呆れたように言った彼女はクレア・ベネット。

赤い髪の毛に緩い縦ロール、黄色い瞳を持ち、5年前に俺を買った女の子。


「なぁ クレア。俺はあの子に会えると思うか?」

俺は視線だけをクレアに移して問いかけた。

「あの子…とは、あの時の水色の子でしょうか?」

「そう。水色の子」

「そうですねぇ」

クレアは少し考え込んでから

「あの方はシャルルヴィル様のところにいますから…ガードが固く、難しいかと。お父様から聞いた話ですと、仕事が少しでも長引くと『早く私の天使達(・・・)に会いたい』と言っているそうです。…重症ですね」

クレアは頰に手のひらを当て、素敵な笑顔で重症だと言った。


シャルルヴィル・カトラリー公爵。

可愛いもの好きの鼻血変態公爵(・・・・・・)

ザンメンと言われているが、若い女の子を中心に人気の青年…で、確かまだ、婚約者もおらず、結婚もしていない。兄上と同い年…だったか。


「今、王様…兄上に頼んで色々交渉して貰っているが…望み薄かな…これは」

はぁ、と溜息を吐いて視線を天井に戻す。


…天使…ね。

天使なのであれば、きっとあの子は俺の想像通りに成長したのだろう。……ゴリゴリのまっちょも見てみたかったけどね。公爵でもまっちょを天使とは呼ばないだろう。


5年前に出会った男の子。

初めは綺麗な女の子だと思っていたら、男の子だった。

目を覚まして、俺の目を見て話してくれた時、こんなに綺麗な子が世界に存在するのか…と思ったくらいだ。

だが、話してみると見た目と中身が違い、凄く砕けた喋り方をする子だった。

一緒に過ごしたのは数日だったが、いつのまにか惹かれていた。

手、を握り返して貰った時に一気に恋に落ちたと思う。

男でもいい。ずっと一緒にいたい、話していたい、俺を見ていてほしいと思ったが、俺たちは売られる身。

ずっと一緒なんて不可能であった。


あの日俺が買い取られたのは、ベネット家というこの国の侯爵家だった。

俺が王族関係の子ではないかと思い、買ったという。

(ただ)、常識の無いまま王宮に召し上げるのもどうかと思ったらしく、5年間同い年であったクレアと共に教育を受けた。

クレアの父親は、あわよくば俺とクレアを婚約させようと思っていたらしいが、生憎俺には心に決めている相手がおり、クレアも「私を1番に愛してくれる人じゃ無いと嫌だと」言った為、婚約は結ばれなかった。


俺は1年前に我慢ならず、クレアに事情を話してあの子を探して貰った。

クレアもあの子を覚えていて髪色が特徴的だった事もあり、直ぐに見つけることができた。

あの子はシャルルヴィル・カトラリーという鼻血変態公爵に買われて、今はカトラリー公爵家で俺と同い年の男とシャルルヴィル公爵と一緒に生活している事まではわかった。

名前はガードが固く、調べることができなかった。

何度か遠目でいいから見てみたいとカトラリー公爵家の前を通ったが、家の外には出ないのか一度も見ることが出来なかった。


「はぁ、学校、という所が始まれば会えると思うんだけど…待てないんだよねぇ」

「ノア様?堪え性がないと嫌われてしまいますわよ」

クレアに呆れたように言われた。

俺は笑って返す。

「大丈夫。あの子の前ではそんな事微塵も感じさせない」

…でも仕方ない。

1目でいいから見たいのだ。

でも、1目見てしまったらきっと、今度は話したくなってしまう。

話したら、一緒にいて、その瞳に俺を写して欲しくなる。

……駄目だな、本当に。

でもきっと、ここまでなら大丈夫だろう。

あの時、『いつか出会えた時は名前を呼び合おう?その時ちゃんと、友達になろう?』と、約束したのだから。

…まぁ、俺の望む関係が、「友達(・・)」ではなくなってしまったのだけれど、あの子は仲良くしてくれるだろうか。

…その前に、

「俺のこと、忘れてないかなぁ。覚えててくれるかなぁ」

あの時あの子は5歳で、でも年上の人と話しているような気分にさせる何処か不思議な子だった。


「1歳上のノア様が覚えているんですからきっと覚えていますよ。それに、ノア様は忘れられたくらいで諦める、という思考回路はお持ちではないのでしょう?」

クレアは呆れたように笑いながら言った。

「勿論だよ。忘れられていたくらいで俺の気持ちは変わらないからね。それに忘れられていたのならば、新しく思い出を作ればいい」

そう言って俺は笑った。

「…怖いわね。私が貴方の想い人でなくてよかったわ。愛が…想いが重い」

酷い言われようである。

想いが重くて何がいけない?

別に好きだと迫っているわけではない。

まだ、あの子を困らせてはいないから。


「誰にどう思われたって、俺は構わない。心底どうでもいい。俺は唯、近くにいたいだけだし」

…出来るのならば、5年前のように話したい…話して欲しいだけである。


「……へたれのくせに」

クレアのボソッと言った不名誉な言葉は聞こえなかったふりをした。



「ヴィノア様。よろしいでしょうか?」

クレアと話しているとノックと共に扉が開かれた。

…よろしいでしょうかも何も、返答する前に扉を開けているんだからノックも必要ないのでは無いのだろうか。

よろしくなかったらどうしてくれるんだ。

まぁ、やましい事なんて何もしていないからいいんだけどさ…。

「何かな?…もしかして、カトラリー公爵様と話がついた?」

部屋に入ってきたのが国王付きの従者だった為、兄上に頼んでみた事の返事が貰えたのかなと思い聞いてみた。

「はい。その事についてお話があります」

まぁ、嫌だだとか何故だとか言われて断られているんだろうけど。

「で、カトラリー公爵様はなんと?」

元々駄目元だ。

「はい。無事シャルルヴィル様より許可を頂きました」

俺は思っても見なかった答えにびっくりし、椅子から立ち上がってしまった。

「…それは、本当か?」

やっと、あの子と会える?

「はい。本当でございます。…唯、」

従者は言いづらそうに一度言葉を切った。

「唯、何?」

俺は続きを促した。

早く結果が知りたい。

「唯、合わせるのは…一緒に勉強等させるのは、ルセット様だけだそうです」

…うん?

ルセット?それがあの子の名前?

「ちょっと待って?ルセット様って、誰」

なんか嫌な予感がする。

「あ、ヴィノア様は名前まではわからないのか…と、言っても我々も知ったのはついさっきですが…。ルセット様というのはヴィノア様と同い年の男の子ですよ。貴方様が求めてやまないのは弟のシェロ様です」

ん?つまり、

「俺はまだ、あの子には会えないと?」

「そういう事になりますね。無事会えるよう頑張ってください。…では、失礼いたします」

そう言って従者は去っていった。


「えぇ…。…まぁ、ルセット様という兄?に会うことを許されただけでもいい方なのか…」

うへぇぇ…と、俺は机に項垂れた。


「ノア様。どんまい、というやつですわね。

まぁ、1歩進んだと思えばよろしいのでは?

それに名前を知る事が出来たじゃないですか。シェロ様…ですね。愛称か名前なのかはわかりかねますが」

そうなのである。

今回の件で名前を知る事が出来たのである。

これは大きな1歩だ。

「シェロ。うん。あの子にぴったりの名前だ。

それに…あれだ。ルセット様?と仲良くなって色々聞き出せばいいんだ。俺は友達になる」

そう俺は決意を固めた。

「……そうですか。頑張ってください。私、陰ながら応援していますわ」



俺の名前はヴィノア・エンフィーダ。

この国の国王の弟。

ベネット様にノアと名付けられ、5年を過ごし、ついこの間この国の王弟、ヴィノアになった。

ベネット様はきっとこの名前を知っていて俺にノアと付けたのだろう。

俺の名前の由来は、父親と同じ音の"ヴ"と、正しい人という意味をもつノアを合わせてつけた名前らしい。


ねぇ、シェロ。

君はどういう理由でその名前になったの?

君の口からその理由がや名前を聞きたいな。


………あぁ、君に会いたい。







彼は拗らせ気味だけど、常識人な予定です。

シェロと会ったらどんな反応をするのやら…

あ、もちろんクレアは常識人です。

王様は弟のはじめてのお願いの為に前回頑張りました。

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