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ガルバレイ鉱山-2

「王都へ攻め込むには兵士の数が足りないというのは明白だろう。」


軍議によりそう一言漏らしたのはレツィオ・トニーノ


ノウェリス平地での戦闘で帝国を勝利に導いたその人だ。


「しかし、兵士を増やしたからと言ってどうなるモノでもない。では、どうすれば?」


誰に向かって言った言葉ではないのだろう。実際、その将軍もつぶやき程度の考えに等しかったのだろう。


「何、数で攻められなければ少しずつ兵士を送ればいいだけの事。精鋭のみの軍でガルバレイ鉱山を駆け抜ければ良いのだ。」


別の将軍はこう返した。


しかし、重大な事がある。


「しかし・・・しかし、だ。ガルバレイ鉱山には凶悪種が居るのだぞ?精鋭のみの軍団とはいえ、敵うとでも思うと?」



フレアドラゴニル



ガルバレイ鉱山を根城とする凶悪種、ドラゴン種の一頭だ。


その口から吐き出されるブレスは中位の水魔法すらかき消す火力を持ち合わせている。


人間ならばすぐに熔けるか炭になる。


それほど迄に下位種でも危険なのだ。


「確か・・・熟練の冒険者を数十名使っても敵わなかったと聞くが?」


「とはいえ、ここから以外では攻め込めぬだろう?ならば行くしかあるまい・・・ましてやこの機を逃せば王国は軍備を更に整える事が出来るのだ。そうなれば我が軍の劣勢は必至、最悪の場合で壊滅も有り得るのだ。」


「・・・では、鉱山へ進軍しよう。今の勢いは殺すには惜しい状況だ。凶悪種が出てこぬ事を祈るばかりだが・・・」



帝国も王国も、自ら死地へ飛び込む事を決意する。







帝国は軍を鉱山へ向ける。

鉱山の所有国は王国だ。

入った瞬間から王国軍が攻撃を仕掛けてくるかもしれない。そう考えるべきだろう。

古代では谷間を通る敵の真上から石や矢を落として敵を殺したりする事があったそうだ。

『上からの攻撃』がどれくらい有利になれるかと言えば計り知れない。


遮蔽物が屋根くらいしかなく、更に遭遇戦ともなれば屋根なんて物が存在するはずもない。

そこに攻撃されたとなってはひとたまりもないのは明白である。


まさにこの鉱山はその様な、所謂「的になりやすい」地形になっていた。

しかも、この山道は切り開かれたものではなく、地震によって裂けた大地の上に土砂が積もった、そんな地形なのである。

山の斜面の途中を思いっきり裂いたかの様な形であるため、山方面の崖上はなんとなく見えるが、反対側は崖上を見ることができず、それを造っている絶壁しか見えない。

そんな場所に兵士を隠さない将軍がいるのか?余程の知恵の回らない者でなければやるだろう。あるいは相当の知恵者ならやらないかもしれない。

出てくるのではないか、という緊張感を持たせることにより敵の精神を疲弊させるのも一つの攻撃となる。


それが果たして効くのかは定かではないが。

状況次第、という事もあるだろう。



さて、帝国が鉱山に侵入する際、兵士は熟練の者ばかりを選りすぐっている。

精鋭に限らず、新兵なども引き連れても構わないのだが、出来るだけ戦力の損失は防ぎたかったのだ。

それこそ、大軍を率い、敵の罠に嵌ったとすれば被害は大きい。

全面退却も有り得るのだ。

それを考慮しないレツィオではない。

そんな理由で選りすぐられた精鋭中の精鋭。


重装歩兵200名

軽装歩兵220名

軽装弓兵70名

魔術師50名

計 540名


決して少ない数ではないが、戦争をするにはいささか少なすぎる、と言ったところか。


しかし、この少ない精鋭だけで構成されている理由もある。

と、言うより多く兵士を選抜する必要はない。という安全の表れである事もある。


ただ単純に、鉱山は道のりが長く、それなりに道も細い。

そんな所に多過ぎる兵士を連れていったところで針のむしろが増えるだけだ。

だからこそ、相手も同じだろう。

と、言うのがレツィオの考えだ。


実際、待ち構えている防衛軍は少ない。山道に駐屯する兵士は4桁を超える事はないだろう。

一度に大量に山に入る事が出来ない。という条件が相手も苦しめているのだ。

谷という条件から、長蛇陣になると奇襲に弱くなる。

とはいえ大量の兵士がぎゅうぎゅうに詰まった方円陣ではまともに武器を振るうことも叶わない。


レツィオの思考はそれらを当たり前の様に考えていた。

風を読め、と言われたら完全な計測をしたであろう頭脳だ。


それらを考慮する位は造作もないのだろう。



そして、兵は山道を進む。


死地へ赴く兵士達の顔には、


『誇り』と『勇気』


が見え隠れしていた。


怖気付かない兵士達は将軍の命令を忠実に聞く、

完全な軍隊であると言ってもいい。


レツィオ・・・いや、将軍格の人間が、

「お前は役に立たない。だからここで死ね。」

と言えばそいつは言われた通りに死ぬだろう。


『自らの魂は祖国に還る。』


それが兵士達の勇気の源であると言えるのかもしれない。


概念的には宗教となるが、狂愛にも等しい愛国心が彼らをそうさせているのかもしれない。



しっかりと、山道の土を味わうように確実に進軍する帝国。





そして、徐々に加算される奇襲への不安を味わっていた。

前話よりは長めですが、変に話を拗らせた感じが否めなく自己嫌悪中ですむー。


そんなことよりサブの小説の方が見てくださってる方多いようで。

ありがとうございます。こっちも見てね!(笑)

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