表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/7

1章 2話 「デアイ」

「う、うぅ…………」


目を覚ますと、そこはベットの上だった。偶然通りかかった人が、俺のことを助けてくれたのだろうか。起き上がろうとしたが全身が痛み思うように体が動かない。顔を触ると、包帯が巻かれている。───これは。包帯の上からでもわかる。決して良い訳ではなかった俺の顔が、コブで大変なことになっている。あのチンピラめ、恨んでやる……と思っていその時。



*ガチャリ*



ドアの開く音が聞こえた。体が動かないので顔だけを向ける。そこに立っていたのは、腰に剣を携え、細身ながらも筋肉質で、凛々しい顔をした白髪の男だった。


「おや、気がつきましたか。怪我は大丈夫ですか?最低限の手当てはしたつもりなのですが…」


この包帯は彼が巻いたものらしい。異世界に来て不安だらけだった俺にとって、たとえ最低限の手当てだとしても、そこから彼の優しさを感じることができて心に染みる。


「あぁ、お陰様でそこまでひどくはないよ。あんたが手当てをしてくれたんだな、ありがとう。」


俺がお礼を言うと、彼は少し照れくさそうな顔をする。かと思うと、すぐに先程の凛々しい顔に戻った。


「さて、目覚めたばかりで申し訳ないのですが…なぜあなたがああなったのか、事情を詳しくお聞かせ願えますか?」


なるほど、目の前の彼は善意の一般市民、という訳ではなく、王国の騎士、と言ったところのようだ。市民が俺のことを見かけて報告してきたということなのだろう。


「あぁ、大丈夫だ。」


俺は彼に事情を話す。道を歩いているところをチンピラに絡まれ、ボコボコにされた、という情けなさすぎる話を。


「なるほど………申し訳ありません、あなたがこんな目に遭ったのは、私達騎士団の力不足故です。もっと治安維持に尽力していれば……」


「いやいや!そんなことはないだろう。頼むから謝らないでくれよ。倒れていた俺のことも助けてくれたんだし。」


「…………あなたは優しいのですね。」


その言葉、そっくりそのままあんたに返してやりてぇよ!こんなに良くしてくれて、俺はもう既に涙が出そうだ。


「ところで、お互い自己紹介がまだでした。

───────僕はラルドリア王国騎士団所属、テレグ・アルフォンスです。以後、お見知り置きを。」


「俺は朝霧隼だ。本当に色々ありがとう、テレグ!」


俺が自分の名前を名乗る途端、テレグの顔色が変わった。その目には警戒心があらわになっている。


「………アサギリ、シュン……?

失礼ですが、あなたの出身は一体どちらでしょう…?」


俺は答えに詰まった。俺はこの世界にどんな国があるかなんて知らない。ラルドリア王国出身を名乗っても、騎士団でこの国と関わりの深い彼にはすぐに見破られるだろう。


「………えっと、ここから遥か遠く、かな…?」


彼の顔が更に険しくなる。どうやら警戒度が上がったようだ。どういうことだ?俺の名前になにかあるのか?


「………………………」


テレグは黙ったままだ。先程までの優しい青年はどこへやら、今俺の目の前にいる彼は、優しさではなく明確な敵意を俺に向けている。


「俺の名前、なんかおかしいか……?」


「………申し訳ないのですが、あなたを牢屋へ連行しなくてはいけません。副団長に会わせないといけなくなったので。」


理解ができなかった。どうしてそうなる?俺は何もしてないし、何かできるわけがないだろう。さっきまでチンピラにボコボコにされてぶっ倒れてたんだぞ?そんなことを考えている間に、俺はテレグに牢へと連行されるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ