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大陸最古の王国ハイルマーの王太子が、公爵令嬢との婚約を破棄~~樹歴1404年、10月8日

樹歴1404年、10月8日となりました。

本日も、ワタクシが異世界ニュースをお届けいたします。


解説はみなさまもお馴染みの


「俺だ」


よろしくお願いします。


では、トップニュースです。



~~~大陸最古の王国ハイルマーの王太子が、公爵令嬢との婚約を破棄~~~



速報です。

大陸最古の王国にして最大版図を誇るハイルマー王国の第一王太子が、公爵令嬢との婚約を解消しました。


「これは……とんでもないことになるぞ」


と言いますと?


「ハイルマーはな、最古といえば聞こえがいいが、その実、内部は腐敗でボロボロなのさ。しかも、だ。王族が力を持っていたのは遥かな昔。今では貴族どものほうがはるかに権勢をもっている始末で、そのバランスを覆さんと当代の王が企てたのが、王族の血と貴族のなかでも最大の発言力をもつ公爵家との血を混ぜて、再び王族に貴族をまとめ上げるだけの強力を回復させようとしたわけだ」


なるほど。公爵家としてもまごの代でハイルマーの支配者となれるわけですから、悪くない仕掛けだったんですね。


「だが、それがポシャった。

しかし、どういうことだ? 俺が聞いていた話では、王太子と公爵令嬢との仲は政略だとは思えないほど睦まじかったはずなんだが」


それがですね。現地からの報告では、王太子が通っている学園のクラスメイトに男爵家の令嬢がいるんですが、その娘に王太子が惚れてしまったみたいなんです。


「それで婚約破棄か?」


ええ。しかも破棄を言い渡した場所が問題でして…。学園の卒業パーティーだったんですよね。


「ということは、だ。

参加していた貴族の子弟が目撃してしまったんだな」


最悪ですよね。


「ああ、もはや王が何と言おうが婚約の破棄は確定だろうな」


いえいえ、ワタクシが言いたかったのは衆人環視のなかで恥をかかされた公爵令嬢の気持ちだったのですが…。


「そうだな…。

公爵家の令嬢も18歳。今更、婚約者を探すのには遅いし、王太子に婚約を破棄されたという事実も尾を引く。

もしかしたら、そのまま修道院行きもありえるな」



リアは幼い頃から決められた婚約者ではあったが、わたしは嫌いじゃなかった。

いいや、好きだった。


リアは何というか。

窮屈なわたしに無いものを持っていた。


公爵家の令嬢とは思えないほど、快活で、いっそお転婆ですらあったのだ。


そんなリアの笑顔を見るだけで、わたしは幸福な気持ちになれた。

彼女となら、この国をもっと好くできると思うことができた。


でも。

知ってしまったのだ。


陛下のほんとうの企てを。


陛下は、わたしとリアとのあいだで子供ができたら、その子を御輿みこしに担ぎ上げて公爵家を乗っとるつもりだったのだ。

その後。

圧倒的な軍事力をもって、他の貴族を平らげ、中央集権を実現しようと画策していた。


その際に邪魔になるであろうわたしとリアは……殺されている。


あの薄情な陛下であればと、うべなえることだった。


リア。

リア…。


わたしは彼女が好きだ。

愛している。

我が身がどうなろうと…彼女を守りたかった。


だからわたしは、学園で頻繁に高位貴族を誘惑をしていた男爵家の令嬢によろめく振りをすることにした。


かの男爵家令嬢は隣国の間諜だった。

高位貴族の子弟をくわえ込んで、ハイルマー内部に亀裂をつくろうとしていた。


そのハカリゴトに、わたしはまんまと乗ることにした。


リア。

愛するリア。


わたしは君を裏切る。

君は、絶望したまま修道院に送られるだろう。


だけど。修道院なら、誰も君に手を出さない。


これから内部崩壊して、数多の隣国から攻められる、ハイルマー崩壊の戦乱の血生臭から、君は無縁でいられる。


「公爵家令嬢、リア!」


勇気を振り絞って。


「わたしはお前との婚約を」


いいたくはない。

口にしたくはない。


それでも、わたしは…。


「破棄する!」


さようなら。

わたしの、リア。



〇樹歴1404年

ハイルマー王国で公爵家が蜂起。


〇樹歴1404年

ハイルマー国王が貴族を集結して、公爵家を迎え撃つも劣勢に。


〇樹歴1405年

国王の愛妾である男爵家令嬢の提言によって、王軍が隣国ソバユに援軍を要請。


〇樹歴1406年

ソバユ軍に背後を突かれたことで、公爵軍が大敗北を喫する。


〇樹歴1406年

動静を窺っていた周辺国がハイルマー王国に攻め込む。


〇樹歴1406年

戦勝パレードでハイルマー王都に入城したソバユ軍が反旗をひるがえす。

王都がソバユ軍に落とされる。

ハイルマー王国の王族は族滅。

ここにハイルマー王国は終焉した。


〇樹歴1407年

瓦解した公爵軍を修道院から逃げ出した公爵家令嬢リアがまとめ上げる。

以後、リアは戦姫として軍団の筆頭にたつ。


〇樹歴1407年

ハイルマー王都にて、抵抗運動が激化。

抵抗運動を指揮する『黒仮面』にソバユ軍が懸賞金を科す。


〇樹歴1407~1412年

公爵が、オスリム国を樹立。

同時にリア率いる軍勢が次々と攻め込んでいた国々を追い散らす。


〇樹歴1410年

旧ハイルマー王都で、ソバユ軍が本国と仲違いしたことにより新たにデジェ国を名乗る。


〇樹歴1413年

抵抗運動を指揮していた『黒仮面』がデジェ国によって捕縛。


〇樹歴1413年

黒仮面、公開処刑。

その3日後。戦姫の率いるオスリム国軍勢がデジェ国との決戦に勝利。

その足で旧王都に入城。


〇樹歴1414年

戦姫リア。

修道院へと戻る。


その際に、焼け焦げた黒い仮面を大切そうにふところに仕舞っていたという。

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