第37ページ 初依頼
「暇だね…」
ぶるり
モンテ司教からの提案は簡単で、僕の能力を利用した仕事をしないかということだった。
今、魔物に関する仕事は冒険者ギルドが一手に引き受けている。
魔物の討伐はもちろん、素材採取なんかも全て。
それで問題はないんだけど、メゾンの時のように実際は無害という魔物もいる。
話しが通じるなら、問題がない魔物もいるかもしれない。
そういった場合に対処する仕事をしないか、と。
ただし、さっきも言ったようにギルドが仕事を引き受けて討伐の流れが一般的。
僕みたいな実績のない人間が、突然そんな仕事やりますと言ったところで仕事がくることはない。
場所は教会の一角を貸して貰ってるんだけど、まずそんな仕事があるっていうことも知られていないと思う。
今まであった依頼は、便利屋だと思われてのペット捜索程度。
もちろん引き受けてきちんと見つけてあげれたのはよかったなと思う。
そんなこんなで、依頼を待って一週間。
従魔たちはカルラさんに訓練をしてもらってて、僕も教会の仕事を手伝いながら依頼を待っている段階だ。
『魔物に関するお悩み承ります』
この貼り紙だけじゃやっぱりダメみたいだね。
と、思っていたところに
「ケイト君、依頼ですよ」
「よっ!」
「アギーラさん!?」
モンテ司教に連れられてひょっこりと現れたのは、冒険者ギルドのアギーラさんだった。
あとから聞いた話しだけれど、実は彼女ギルドライオウッド支部のギルド長らしい。
何故そんな人が受付をやっていたのか不思議だ。
「あんたが面白いことをし始めたって司教から聞いてね。ちょうどいい案件があったから頼みに来たよ」
アギーラさんが取り出したのは、一枚の依頼書。
依頼内容は暴走する魔物の説得。
本来は害のない大人しい魔物である「スマートカウ」。
眠る時以外はいつも走っている魔物。
逆を言えば、走る以外何もしない魔物。
食用としてもふさわしくなく、危害も特にない。
そんな魔物が、暴れまわっているという。
暴れている原因は不明。
あまり人里に近づくこともない魔物だが、あたりの村に現れては村の中を暴れまわっており畑などにも被害がでている。
しかしながら、あくまで村。
冒険者に出す報酬も少なくなり、討伐したとしても素材としてうまみのない魔物を好んで討伐しようという冒険者はいなかった。
「それでなくともうちの冒険者たちは戦うことが大好きだからねー素材採取系の依頼も滞りがちだし」
獣大陸の冒険者は基本血気盛んで腕試しが大好きだそうだ。
危険な場に赴いたり、強い魔物と戦ったりは好んで行うが、簡単な素材採取や弱い魔物の間引きなどは滞ってしまうようだ。
「それに無害な魔物を理由もわからず討伐するのはって思っていたところに、君がそういう仕事を始めたっていうのを聞いてね」
「ちょうどいいタイミングのようでしたね。それでどうされます?」
司教が僕に聞いてくる。
僕の答えはもちろん決まっている。
「受けます!」
初めての依頼が決まった。




