あれからいろいろあった(3)
♪ チャラッチャラッチャラッチャチャチャラ〜、デケデケドンデケデケドンデン
>さあ、新作映画が放映されてからの三回目。……そう、説明するのが遅れましたが、本作は「音声多重(中略)活劇│映画」だったのです! 途中で「番組」と言っていたかもしれませんが、あれば誤りというか癖みたいなもんでした。ハッハッハ。なので、これから映画という線で統一しましょう。夏休みの子供向け映画ですね。……いや、│子供向けです!……くっ、文科省の推薦がないくせに、と攻めてくると言い返す言葉がないです。しかし、私は屁理屈では負けません! だから、子供向けという部分は譲りませんが、その前に「おっきな」を付けるところで妥協しましょう! ん? それじゃあ通常の夏休み映画と変わらないですか? あのね、こっちは先に進めたいのに、やいのやいのとツッコミ思念を飛ばしてこないでください。急いでいるんですから。……ほら、「また進まないよ」とウンザリしている視聴者も……え? ウンザリというかニマニマ? 「これこれ。P1ならではのグダグダ感」って感じですか? ……確かに、ウンザリする思考の方ならこんなところまで辿り着いていないはずですからね。
とにかく、始まります! ついでに断っておくと、次回からオープニングテーマ曲は省きますね。なにせ、映画ですから。
えー、ここでもう一つお知らせがあります。パンツイッチョマン、ノーパン元│刑事と続いていた近況報告ですが、最勝寺先生から「カッコ悪いからもうやめてくれ」とクレームが入ったため中止させていただくことになりました。
「カッコ悪いって、今に始まったことじゃないでしょう!」と思われている方、私もそう思いました。
最勝寺先生は「物書きである以上、物語の中で示していくべきで、それを『実はこうでした』ダラダラ話し続けるのはどうかと」と仰っていました。続けて「それってまるで、最終回に『アイツとアイツはどうだった』と作中のキャラに言わせたり、『これから二人はこういう展開になる』とか描いちゃったりする漫画と同じカッコ悪さがあるよね」ということでした。ちなみに、ここで最勝寺先生は具体的な作品名を挙げていましたが、そこは角が立つのでこちらで修整させてもらっています。
そう説明されても私はイマイチピンとこなかったので、さらに聞いたところ「作中で表現しきれなかったことをゴチャゴチャ書いたり、作品が終わった後の読者同士のあーだこーだいう楽しみを公式がドカンとハンコを押しちゃうことで台無ししちゃったり、カッコ悪いじゃん」と。これについては、前半部分はまさに当番組のとおりだと――あ、これは映画の言い間違えではないですよ。映画は始まったばかりで実績はほとんどないけれど、番組の方はたくさんの例が残されていますからね。そう。だから、「自分の事を棚に上げちゃってるじゃん」と思いました。後半部分も、私はよく知らないのですが、「語句解説」とかいう形でやっているんじゃないんですか? ん? 「それとはちょっと違うかも?」ですか?
まあ、それはそれとして、こんな感じで上司が演説をぶっている時はとりあえず「はぁ」と話を合わせておくのが無難なのです。結局は、あんな人でも最高権力者ですから、逆らったところでどうにもならないですからね。
そういうわけで、次はこの人を取り上げてください、というたくさんの声が届きましたが、申し訳ありません。これ以上の近況報告はございません。
しかし、代わりに、誰への要望が大きかったのか、という情報を公開させていただこうと思います。実質の人気投票ですね。
人気投票といえば、票の数が多い方が勝ちなんですが、当方の集計は「声」なのでちょっと変わります。もちろん、数が多ければ届く声も大きくなるのですが、個々の声が大きければ多少の数の差は覆せちゃうことになるのです。いわば推し力の総合的な判断です。これってむしろファン――というか今はフォロアーって言うんですか? そういう支援者にとって純粋な意味での人気投票と言えるのかもしれません。コアなファン――あ、今はフォロアーって言うんですか? あ、もういい? 字数制限に厳しく言う割に字数稼ぎネタを使っちゃいますね。思いついたらすぐ口にしちゃうんですよ。
気を取り直して、コアなフォロアーにとっては「ニワカばかりの烏合の衆が」と思っていても数の暴力に負けていた局面を、推し力の結束で打ち破れるんですからね。すごいですね、私たち。理想の採点者ですよ。
で、結果発表をいたしますと
♪ ドロロロロロロロ~~、ジャン!
> 桜ちゃんです!
# パチパチパチパチ
> パンツイッチョマンとノーパン元刑事に続いて三枠目の異能者フリップフロップ・チェリーですし、そのポテンシャルは先の二名を遥かに超えると目される存在です。人気が集まって当然ですね。おっきなお友達にはパンチラタイムが――あ、文科省はそういうの好まないからダメ? あー、パンチラはありません。あったとしてもそれは視聴者の想像力の為せる業です。
しかし、もうブーブー言っている不満の声が届くことからわかるとおり、実は桜ちゃんが押しも押されもせぬ首位ではありませんでした。そう、ほぼ同着と言っていい方も存在していたんですね。それは――
♪ ドロロロロロロロ~~、ジャン!
> 銀子先生です!
# パチパチパチパチ
> 拍手に関しては我々スタッフの音ですが、届いてくる歓声がすごいですね。やはり、比較するなら桜ちゃん推しの方は数が多く、銀子先生派は声の大きさで勝負している感じです。順番に関してはどちらかを先にせざるを得ないので、その点はスタッフの中での決選投票とさせていただきました。
銀子先生派の方の声は、こっちが聞いていないのに理由まで乗ってくることが多く。それによると「シリーズP1のヒロインだから」とか「パンツイッチョマンの恋人だから」とかありました。念のため、最勝寺先生にも確認を取りましたが、それらの情報は公式には一切認めていませんから。そこのところ、思い込みが強すぎるからって勝手に正史にしないでくださいね。特に恋人については、銀子先生にリッキーという――っと、今度は殺気が飛んできますね。銀子先生は気付いていないようですが、リッキーが浮気をしているという情報はかなり支持者を苛立たせているようです。
他に「養老家」を推す理由に上げる声がありましたが、確かにこれは無視できないところです。異世界におられる視聴者の方には関係ありませんが、ゴツゴウ・ユニバースの日本で生活している人にとっては、養老家は知ってしまったが最後それからの人生に暗雲がかかってしまうような存在ですからね。人は自分の歩く道が危ないとわかっていないと平気で歩けるんですが、いつ崩れ落ちるかわからない脆いものだと自覚すると一歩一歩が不安になるものです。だからみなさんも、周囲に養老家みたいな存在が潜んでいるかどうか、調べない方が幸せだと思います。
人気投票ついでに、我々スタッフたちがもっと来ると思っていたのにそうでもなかった、逆人気投票の結果についても触れておきましょう。なお、純粋な意味での不人気投票はそもそも声が届かないので認識できません。だからあくまで、こちらの予想ほどこなかった方になります。
ドラムロールをするほどではないので、さっさと挙げましょう。
それは貝積社長です。シーズン2のラスボスにして、オルヒトの社長――って、そちらではアパレルメーカーの「オルヒト」は存在しないんでしたね。こちらでは世界的なメーカーなんですけれど。
貝積社長への興味が薄かった理由として、ほとんど前線に現れなかったというものが考えられます。忙しい社長様なので当然ですが、物語に登場するキャラクターとしては忙しくても無理をしてでももっと露出をした方が印象に残る、ということですね。……まあ、こちらは一方的な盗撮――じゃなくて観測なので、本人が「もっと出番を増やさねば」と意識していなくて当然です。むしろ、露出を意識されたところでこちらがカメラを向けなければどうにもなりませんからね。
貝積社長に代わって、前線で頑張り続けてくれたはずの頭蓋骨博士もこれまた人気はありませんでした。おじさんというかお爺さんは、人気が出ないものなんですね。
ちなみに、貝積社長はおじさんというイメージですが、同じ年なのに頭蓋骨博士はお爺さんという見かけです。年齢と共に変わる外見って個人差がある、というか努力で変わるものなのでしょうね。
予想より伸びなかった二人の代わりに伸びたのが、「メガネ☆きらりん」の異名を持つ秘書添谷さんと、ギャル科学者こと理珈香さんです。
添谷さんは、振り返ってみれば登場人物の中でほとんど唯一と言っていいほどの知的な青年枠のキャラですね。三十代までの男性キャラのほとんどが変態ですし、後輩タカは金魚のフンですし、はっきりいって消去法から来る「知的な若者」です。ですが、あくまで「知的」なだけです。言っていることはけっこう行き当たりばったりだと思います。
理珈香さんは、ギャルと科学者という異色な組み合わせそのものは最後まで馴染んで混ざり合わなかったと私は思うのですが、麻酔三連コンボは強烈でしたね。パンツイッチョマンやノーパン元刑事は、野生の勘といえる警戒心から対応しちゃいそうですが、桜ちゃん相手ならKOしそうです。恐ろしい戦闘力ですね。
科学者という点は実際そうして働いているからそれなりに説得力がありましたが、ギャルというのはちょっとキツかったですね。もちろん、ファッションとしてのギャルは幾つになっても好きであれば続けていけると思います。そこは問題なかったです。でも、ギャル語に関しては、おそらく周囲に同種の方がいないから独自発展をし過ぎて、もはや理珈香語でしたね。
それに関して、こういう内容のメールが届いたので紹介させていただきます。
前略――あ、これはそう書かれていたのでなく、本当に書き出しからある程度省略しました、という意味です。「小学生の娘が理珈香さんが好きで将来ああなりたいと言っています。勉強嫌いの強制としては使えるので、ひとまずはその方向を後押しするつもりです。そこでお願いがあります。理珈香さんが話す『理珈香語録」をまとめて特別に番組として放送していだだけないでしょうか? 娘のように覚えたいと考えている子供はたくさんいると思います。」以下略。
えー、お母さま、まずはおたよりありがとうございます。ここで、一つハッキリさせておきますが、娘さんみたいに理珈香語を覚えたいという子供はきっとたくさんいません! そして、理珈香語録もまとめる予定もございません。ですが、いつ理珈香が登場するかわかりませんので、今後とも当番組をよろしくお願いします。
他に注目すべきキャラクターとして挙げられるのは、ヨーデル歌手「アナベル切山」。単回の敵役としては破格と言えるほどの反響が届いています。……ん? 応援の声が「♪レリレリレリレリ」というのもありますね。あ、ここで言ってしまったから、真似する方が増えて、レリレリが大きくなりました。でも安心してください。こちらは声を集められる一方で、カットすることも可能ですから。はい、静かになりましたね。
敵役といえば、第一シーズンの「穴穿き」を推す声も大きいですね。第二シーズンの貝積社長が「印象が薄かった」と言われる対比もあるのかもしれません。確かに、穴穿きが歩道橋で大きな麦わら帽子を被ったシルエットの後ろで打ち上げ花火が上がったシーンは第一シーズンで最も絵になるシーンの一つと言われています。
個人的に興味深いのは、作中で最強と目される「忝い侍」を推す声があまり大きくなかった事です。これがもし少年漫画雑誌であればきっと上位に名を連ねたであろうに、シリーズP1を視聴し続ける方はやはり大人の方が多いようで、いかに強くとも無職という点が大きくマイナス点になっているようです。
もう一つ敵役といえば、「枚鴨市のモリアーティ」という異名を与えられた……えーと、名前なんでしたっけ? ……スタッフからもすぐに出てこないようですね。まあ、それくらいの存在だから、やはり視聴者の方からも注目されていないようで、彼の様子を気にする声はほとんど届いていません。そのステルス性能こそが恐るべき箇所なんですがね。すごいですね。多くの場合、作中では凡人と思われているけれど視聴者はヒーローとして注目している、というパターンが多いのに、作中だけでなくメタ的にも無視されているって、破格の性能です! ……あれ? それほど誇るべき点でもない!? まあ、確かに、これ以上膨らませられませんね。ハッキリ言って地味な存在です。
♪ パンパンパパン、パンパパンパン、パンパンパパンパン(ツー)
> はい、そうなりますよねぇ。出だしは本気で「今回は本編始めるぞ!」と意気込んでいたんですけれど、人気投票始めちゃってから、「あ、これ、アシ出ちゃうな」と自覚していました。だけど、最勝寺先生のいう「近況報告は止めて」という指示は守っているのできっとセーフです。
では、次回こそ本気出す、の証明として、あの方にマイクを譲りましょう。
〈次回予告〉
世界の枠よりハミ出し者が
囚われ暮らすその施設
そこを訪ねし│英雄ひとり
次回、『変革の女王VS綺羅星の騎士』
パンツを洗って、待っときな!




