あれからいろいろあった(2)
>はい。こんばんは。あるいは、こんにちは。押しているので、とっとと始めさせていただきます。
前回、「また来週~」と言ったのに関わらず、まさかの数日リリースに相成りました。最勝寺先生の気まぐれなんですが、本人に言わせると「まともに話が始まってもいないのに一週間も待たせるのはアレだからな」だそうです。我々スタッフはしたり顔で聞いていましたが、「話が始まったところで、まともではないですよ」と思っていたのは、私だけではないでしょう。
前回、ノーパン刑事をノーパン元刑事と呼ぼうと決めたところで強制終了させられました。しかし、数日空いたおかげで、視聴者の方々の意見も概ね「それでいいんじゃない」でまとまったのが確認できました。ですから、これで進めていきたいと思います。
で、そのノーパン元刑事は、警察を辞めてから探偵業を始めていました。
アニメなどのフィクションで今なお人気の探偵ですが、現実にはかなり地味で厳しい仕事です。そんな仕事をあのテキトーなノーパン元│刑事が継続できそうにないですよね。それに一部の方が知っているとおり、探偵を職業とするにはライセンスが必要です。資格の勉強をしている姿が、あのノーパン元│刑事に重なりません。
しかし、そもそも警察官に成れていた時点で、ああ見えてあの男、資格試験を突破できないタイプではないようです。人は見かけによりませんね。まあ、複数選択肢問題、いわゆるマークシート形式でなくなったら途端に厳しくなりそうですが。…はい。きっと、あの男の突破力は単なる勘である可能性は高そうです。
……あ、今、「だったらあの少年探偵はライセンスないじゃん」という声が聞こえましたが、あれは別に探偵業務を営んでいるわけじゃないから問題ないのです。「(前略)探偵さ」とキメ顔で自己紹介する前に、(自称)という部分が省略されているだけです。声になっていないから視聴者は気付いていないだけで、きっと台本には「(自称)」と書かれているんでしょう。……はい、そんなわけないですね。でも、「『音声多重(以下略)』と一緒だ」と一方的に考えると親近感が湧きませんか? なので、そういうことにしておきましょう。相手はアニメ界の大巨人なので嚙みつかないようにお願いします。
さて、あのノーパン元│刑事が探偵に成れるんだと納得したところで、その後やっていけるかどうかが大きな疑問として残ります。
「大きくなったらパン屋さんになりたい」という夢を持つのは自由ですが、それを続けるのは難しいです。経営的に黒字を続けていくのも大変ですが、パン屋さんの場合、毎日出る売れ残りの廃棄に心を痛めて辞める方もいます。パンが好きで始めたのにそれを毎日処分しなくてはならないのは辛いですよね。……いや、自分で食べろ、とか、誰かにあげろ、っていうのも限界があるのはわかりますよね? だからそういう無理を押し付けないでください。
こういう社会の厳しさを義務教育レベルではなかなか教えてくれません。まあ、社会が厳しい世界だと伝えすぎると「だったら出たくない」という方が増えるから、半ば騙し討ちで放り出すのは社会効率としては間違っていません。荒波にも揉まれれば大抵の方は何とか泳げるようになるものです。
あ、今の比喩は、本当の水泳には適用しないでくださいね。荒波に揉まれても泳げなくなりませんから。溺れ死にますよ。気をつけて!
ということから、ノーパン元│刑事も経営的に溺れる結果が目に浮かびます。探偵の一番の依頼は、毎週のようになぜか発生し、しかももっぱら偶然巻き込まれてしまう殺人事件の解決なんてわけはなく、今も昔も浮気調査です。ノーパン元│刑事が辛抱強く続けられそうにありません。
しかし、ここで助っ人が現れます! ……あ、はい。そうですね。そっちのつもりではなかったのですが、まあ確かに助っ人ではありますので、そちらから紹介しましょう。
ノーパン元│刑事のかわいい後輩、タカこと│赤羽――あ、本名の方はよく知らない? じゃあ、こっちですね。タカこと後輩刑事――って、彼もあの後に警察を辞めているんですよ! ノーパン元│刑事の勧めに従い大学の法学部へ入り直す道を選んだのです。現在、受験浪人真っただ中。なので、後輩刑事改め後輩元刑事。……あまり見分けが付かないですね。そういえば、元刑事というより、今の立場を付けるべきかもしれません。後輩浪人……あ、大学浪人をしている方に「浪人」とあまり言わない方がいい? ただでさえ心を病みやすい立場だから慎重な対応が必要なんですね。では……後輩タカにしましょう! タカでもいいんですが、よく考えたら私は登場人物をほとんど呼び捨てにしていないんですよね。職業柄というか、育ちが出てしまうというか……あ、そんな事はどうでもいいですか? しかし、「どうでもいい」というツッコミをすると当番組の大半の内容が対象となるので、お互い発言内容には注意しましょう。
……ノーパン探偵。いや、こっちも現職に合わせるべきかと口にしましたが、何か違うな。絵本になっている探偵にケンカを売っていると思われたくもないし、やはりノーパン元│刑事でいきましょう。
というわけで、受験勉強の傍ら、アルバイトとしてノーパン元│刑事の探偵事務所を手伝っている後輩タカ。ちょっとどんな感じになるのか想像してみてください。
……どうですか? 皆さんの想像でも「それだけじゃダメだろう」となりませんでしたか? そうですね。基本的に後輩タカはノーパン元│刑事の金魚のフンなので、先回り的にノーパン元│刑事のできない事を処理するのに向いていません。
そこで、登場する助っ人の本命は、あ、ドラムロールお願いします。
♪ドロロロロロロ、ジャーン
>岩崎彩子さんです! ……え? 「誰、それ?」な反応ですね。ほら、涼ちゃんと呼ばれていた後輩タカの想い人ですよ。意外なことに、彼女も警察を辞めてノーパン元│刑事の探偵事務所に勤めているのです!
……「え? それってもしかして……」と思った視聴者の方、やはり居ますね。そう、私もこの事実を知った時そう思いました。後輩タカは無邪気に「やったー! 涼ちゃんも来てくれたんだ」と喜び、ちょっと涙目になっていましたが、はっきりいって「そっちじゃないんじゃね?」ですよね。事実、岩崎さん……あ、わかりにくい? じゃあ、こちらも涼ちゃんで統一しましょう。そう、その涼ちゃんは後輩タカへの応対をそこそこにノーパン元刑事へ「私も手伝いますから頑張りましょう!」と熱い視線を向けていました。
あ、わかっちゃいないのは、後輩タカだけじゃなくてノーパン元刑事も一緒ですね。これは、仕事を辞めてまでして追いかけてきた涼ちゃんが可哀そうですが、こちらを立たせると後輩タカが萎むので、まあ、現状維持の今のままがよいのかもしれません。
気になるのは、「え? 今まで、『涼ちゃん→ノーパン刑事』――あ、ここは警察を辞める前なので敢えて「元」を取っています――を匂わせる場面あった?」です。答えは、ありました、になります。いくら名が体を表す支離滅裂なゴツゴウ・ユニバースとはいえ、理由もないのに誰かが誰かを好きになるわけではありません。しかし、そのシーン、当番組としては補足できていませんでした。「そんなの詐欺じゃねえか」とおっしゃられても、こっちだって起きている全てを放送できるわけじゃないんですからね!
というわけで、こちらも過去映像を掘り返してみました。異世界観測万華鏡システムは一定期限の動画を記録しているんです。優秀ですね。
担当エンジニアに言わせると「録画ではなく、過去そのものにアクセスしている可能性がある」という難しいことを言うんですが、こっちが「それで何か変わるのか?」と聞いたら「別に」と返ってきました。だったら、ややこしい事を言わないでほしいですよね。理系の人ってこういうところありますよね。
ま、まあ、一応、その証明方法として「大門博士がいる過去にアクセスして、向こうがこちらを認識したら過去へのアクセス、認識しなかったら過去情報の蓄積だ」と提示されたんですが、おっかないので試していません。
ともかく、過去に涼ちゃんとノーパン刑事の間にどんなアレコレがあったのか、当時の映像を一緒に確認してみましょう。……え? そんな時間的余裕はない? もう三千文字超えている。し、仕方ないので要点だけお伝えしましょう。
まず、涼ちゃんは普段標準語を話しているので気付きにくいですが関西出身の方なのです。ある日、食堂で関西風のうどんが期間限定で提供されることを知った涼ちゃんは、喜んで購入するのですが、席に持っていくまでに躓いてしまいます。どうもけっこうなドジっ子みたいですね。それで鑑識係というのはどうかと思いますが、そこはゴツゴウ・ユニバース、細かい不具合は気にしません。
ラブコメであれば主人公の男子に熱いうどん汁をぶっかけ、ギャグ路線ならなぜか自分で頭からかぶる、という展開になるものですが、ここは定番を無視しがちなゴツゴウ・ユニバース。おっとっととたたらを踏んだ先に居たのはノーパン刑事でした。ノーパン刑事は、うどんののったトレイだけを受け取って、涼ちゃんはビタンと顔面から倒れます。ノーパン刑事に渡ったトレイは、他の作品だったらそのまま静置するんでしょうが、ゴツゴウ・ユニバースは重力や慣性には厳しめですね。やっぱりうどんのつゆがこぼれそうになるところ、ノーパン刑事は慣性が働く方向へトレイをうごかしつつ傾けます。当然反動が起きるので、すかさずトレイは逆に振られ、それが小規模になりながら数回繰り返されます。
ノーパン刑事: ちっ、やっぱりなかなかうまくいかねえなあ。こぼれちまったぜ。
>と本人は言っていますが、トレイの上のうどんのお椀はほぼ無傷状態。こぼれたつゆは少量です。その後、ペタンの座り込む姿勢に戻っていた涼ちゃんに、トレイを持っていない方の手を出して、「大丈夫か」と引き起こしました。
……まあ、それだけといえばそれだけのシーンですが、ここで涼ちゃんは「素敵!」と思ったようです。「食べ物の恨みは恐ろしい」と言われますが、逆に「食べ物の恩義は深い」のかもしれません。
この後で後輩刑事がやって来て、涼ちゃんに一目惚れするようなので、これは運命的な出会いのシーンと言えるのですが、向いている矢印はてんでバラバラ。いかにも最勝寺先生らしい、統一感のなさですね。
あ、一部の方はもう気付いていると思いますが、「要点だけ」と言っておきながら、それなりに臨場感を出しちゃいましたね。私も話しながら気づきましたが、視聴者の方々はこちらの方がいいと思ったのでそのまま通しました。
♪ パンパンパパン、パンパンパパンパン、パンパンパパンパン(ツー)
>ああ、やっぱりエンディングテーマが来ちゃいましたね。ですが、このままでは、結局探偵事務所の経営はどうなっているのが不明のままなので、押し通ります!
ノーパン元刑事が探偵になってまもなく、女生徒が下校中に誘拐されそうになっているのに出くわし、それを阻止します。ここから大富豪のお家騒動にまつわる事件に巻き込まれ、それがスキャンダルとして明るみに出ないうちに解決したことで、ノーパン元刑事は多額の謝礼をもらいます。また、その結果、大富豪の傘下の組織や今後の取引相手の信用調査のような案件も受けることになります。そのまま、実質お抱えの探偵になると思いきや、そこは「いや、身内に置くのはちょっと」と距離を取るあたり、大富豪が数世代に渡って名門であり続けている説得力を感じました。それだけでなく、大富豪はノーパン元刑事を知人に紹介します。体の良い厄介払いですね。しかし、ノーパン元刑事は変態といえども実力者であるため、いわゆる上級社会で優秀なトラブルシューターが現れたという噂が広まり、そこから割のいい仕事が舞い込むようになります。
まさに好都合すぎる展開ですが、ゴツゴウ・ユニバースがこういう面を見せるのは稀なので、貴重な機会です。視聴者の皆様と希少さを味わいたいと思っておりましたので、無理を押して紹介させていただきました。
では、――とお別れする前に、もう一点。これは、ノーパン元刑事本人が探偵業を営むようになって一番力を入れていたポイントです。なので、紹介せざるをえません。
ノーパン元刑事は、事務所内で暇な時間ダーツを投げて過ごそうとしていましたが、異能に目覚めてから通常のダーツルールではもう百発百中に近い状態に至ってしまったので、独自に負荷を掛けることを考えていました。その具体案が、動く的、でした。
時に後輩タカを伴ってDIYショップを行き来すること数週間、ノーパン元刑事はついに、事務所内に張ったワイヤーを的が滑走するシステムを構築します。スイッチポンで、的が傾斜になっているワイヤーを滑っていくのですが、何度か試すうちにコツをつかんでしまい、結局また百発百中状態になってしまいました。数週間かけた努力が一日で解消。まあ、それでも一時期は楽しめたようなので失敗ではなかったのですが、ノーパン元刑事は珍しくガックリ来ていました。
動く的を外したダーツが窓ガラスを割らなかったか、と心配している視聴者の方がおられますが、そこはさすが弾道を見切る専門家なので、スカっても窓に当たらないように開けていました。……はい、ダーツはその都度ビルの三階にある事務所の外へ飛んで行っていたわけです。外で誰かに当たることはなかったのですが、それは結果論。おそらくそこまでの被害を考慮していなかったと思います。
外れたダーツは主に後輩タカが拾いに行かされていました。我々からすると、ノーパン元刑事らしいエピソードなんですが、涼ちゃんはさすがに「この人、バカかもしれない」と気付いたようです。ですが、恋は盲目! 「そういうとこ、カワイイかも」と結果的にプラス判定になっていました!
よい子のみんなは、動く的に向かってダーツを投げる真似なんかしたらダメだぞ! 絶対周りのものを傷つけちゃいますからね。
では、また来週~。




