軍団長アルフレッド
あとがきに大切なお知らせがあります!
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「ガイザル帝国皇帝、シヴァ。帝国に仇なす者は俺が殺す。あまり期待してはいないが……せいぜい、楽しませてくれよ?」
「はっ、相手にとって不足無し! アルフレッド、参るッ!」
こうして帝国最強対混沌迷宮軍団長という、この世界における最強格同士の戦いが幕を開けるのだった、。
「それじゃあ、やるか」
ガイザル帝国最強の男、勇者と帝国皇帝を兼ねる『古今無双』シヴァ。
獰猛に笑いながら駆けるアルフレッドを見ても、彼は何一つ普段とは変わらぬ様子で、首を右に曲げた。
ゴキリと骨を鳴らしている間に、アルフレッドは既に指呼の距離にまで迫っている。
一閃。アルフレッドが放った剣閃は円弧を描きながら、シヴァの首筋を刈り取る軌道を取った。
無防備に隙を晒していたシヴァへの攻撃は、当然のように命中する……が、それだけだった。
攻撃をした側だというのに、顔をしかめたのはアルフレッドの方だった。
彼の得物である総オリハルコン製の直剣が、びくともしない。
薄皮一枚を裂くどころか、むしろ掌に帰ってくる衝撃でアルフレッド自身が剣を取り落としそうになるほどだった。
「はっはぁ!」
シヴァは攻撃をされたことを意にも介さず、そのまま掌を開いてアルフレッドの方に向けて伸ばす。
その動作に、武術の修練の跡はない。
彼はただ手を無造作に、けれどアルフレッドですらも追いつけぬほどの速度で、手を伸ばしてみせた。
ぶちり、と何かが音を立てて千切れる。
「ごっふ……!?」
アルフレッドの首筋から、大量の血液が流れ出し、そのまま口からも血の塊が噴き出す。
その首元には何かに引きちぎられたような跡が残っていた。
「硬い……が、取れないほどじゃないな」
シヴァはそう言うと、手元にあったものを投げる。
風切り音を放ちながら高速で遠ざかっていくそれは、アルフレッドの首筋の肉だった。
なんということはない、シヴァはただ高速で近付き、その握力でアルフレッドの肉を千切り取ったのだ。
「さすが魔物、まだこの程度じゃ死なないか……」
シヴァは今度は逆方向に首をゴキリと鳴らしてから、首から血を流すアルフレッドの方を見た。
その顔には、つまらなそうな表情が張り付いている。
先ほど戦い始めた時に彼が感じていた昂揚は、既に消えてしまっていた。
シヴァはまっすぐに進み、アルフレッドへと近づいていく。
何か特別な魔法やバフを使っているわけではない。
だがシヴァの走るスピードは、獣型魔物として高い知覚能力を持つアルフレッドですらギリギリ捉えることができるというほどの異常な速度だった。
「つまらないな……帝国を苦しめてる魔物っていうから期待したのに、この程度か」
ズプッと音を立てながら、シヴァの貫き手がアルフレッドの胸に大きな穴を穿つ。
そのままシヴァが手を抜けばそこから大量の血が噴き出し、アルフレッドはそのまま地面に倒れ込んだ。
ペンキをぶちまけたように広範に広がる血。
遠巻きに戦いを観ていた誰もがシヴァの勝利を理解し、戦場に人間達の歓声が沸き上がる。
「さて、それならついでに魔物達をまとめて潰してから……」
そのまま魔物達の殲滅に移ろうとするシヴァ。
彼は戦場で常にそうしているように退屈そうな顔をしながら後ろを振り向き……
「……え?」
その後頭部から、攻撃をもらった。
鋭く鋭利な何かによる、突き。
そのまま後ろを振り返ると、そこには血を噴き出して死んでいたはずのアルフレッドの姿があった。
「……痛っ」
シヴァは急ぎ引き下がってから、自身の後頭部にそっと手をやった。
わずかな凹凸。出血まではしていないが、おそらくわずかだが皮膚が裂けている。
「ははっ、どうやら一矢報いることはできたようだな」
あっけにとられたような顔をしているシヴァに、剣を引き抜いたアルフレッドがしてやったりと笑う。
シヴァの攻撃は、たしかにアルフレッドを貫いたはずだった。その証拠に彼の胸部装甲はシヴァが貫いたことで使い物にならなくなっている。
だがそこから覗く肉体には、怪我一つ見て取れない。
自分の攻撃が不発に終わった? 幻術の類いか?
否、それはあり得ない。
シヴァは生まれつきそういった類いの技は効かない。であれば考えられるのは……。
(自動回復……それも蘇生クラスの、瀕死状態から生き返ることができる力)
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