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混沌迷宮の支配者 難攻不落のダンジョンと最強の魔物軍団  作者: しんこせい
第二部

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顕現


 ステージの上にいた二人の姿がかき消えたその次の瞬間には、互いの頬にその拳が突き立っていた。


 一歩踏み込み殴打をし、相手の拳を喰らうことで下がりそうになる身体を自身が使う魔法によって強引に制動する。


「おおおおおおおおおおおっっ!!」


「があああああああああっっっ!!」


 イシドロとアッズワースが、互いに己の身体を自身が使用可能な超級魔法と同一化させながら殴り合う。


 紫電が爆ぜ、爆発にも似た炸裂音が轟き、辺り一帯の全てを破壊しながらも、二人は一歩も譲らずにその場でお互いを殴り続ける。


 頬を叩かれればボディーに一撃を入れ、胸を叩かれればそのまま胸を突き返してやる

 上下左右から縦横無尽に襲いかかる拳打を、自身もまたそれと同等の拳打によって返す。


 乱打乱打乱打!


 秒間百を超える拳が互いを行き交い、彼らはそれをまともによけることなく喰らい続ける。


 互いに攻撃重視の圧倒的な攻め寄せスタイル。

 同じ神に関するスキルを持っている二人は、その戦い方までも良く似通っていた。


「ははっ、やっぱ男はステゴロだよなあっ!! ――おらぁっ!」


 イシドロは迫り来る拳を最低限避けながら、あくまでも自身の良い攻撃を当てることだけに精神を集中させる。


 彼は左からかかってきたフックの下を掻い潜り、そのまま腕へと拳を当てる。

 折り曲げた指が音を立てて焼けるが、相手の腕の骨からはミシリと嫌な音が鳴った。


「ぬううんっ!!」


 迫り来る拳打の速度は自身と同等、ただしそのタッパと攻撃範囲はまったく違う。

 アッズワースの長い腕から繰り出されるパンチの威力は、その高い膂力から目の錯覚が起こるほどに一瞬で繰り出される。


 長さがある分出てからこちらに向かうまで時間がわずかにかかるものの、そんなものは気休めにもならない。

 同じ殴り合いをしているというのに、まるで剣と槍で戦っているかのように、リーチの差ができてしまっている。


 だが小さいというのは何もデメリットばかりではない。


 腕がかなり高いところにある関係上、イシドロのパンチはほぼ全てがこちら側に振り下ろす、下向きの勢いのかかったものになる。

 故に攻撃をしのげれば相手方の重心が移動するため、体勢を整えるまでの間はこちらが一方的に攻撃をすることができるのだ。


 ッッパァァァンッ!

 頬がはじけ飛んだかと思うほどの衝撃。

 拳の指先がかすっただけでこれだ。


 自身の身体を魔法化させ物理耐性が高くなっているからこそまともに受けられるが、何も無い状態で喰らっていれば一撃で致命傷を負うほどの威力がある。


 いくらイシドロ自体が攻め寄せのスタイルとは言っても、押し切られぬようにするためにはある程度回避や回避のための攻めも必要になってくる。


 アッズワースの砲弾のようなストレートをやり過ごすと、イシドロはそのまま背後に回りレバー目掛けてワンツーを放った。


 裏拳じみた形で放たれるカウンターを、一度目の軽いストレートを放ち空いていた拳を使っていなしながら迫ってきた腕に追撃を加えていく。


(駄目だ、これじゃあダメージがまだ足りねぇ)


 着実にダメージは蓄積させることはできているが、このままだとあまりにも千日手になりすぎる。


 相手の魔力の底がどこなのかはわからないが、魔物である以上こちらより総魔力量が少ないなんていう淡い期待を持つことは間違っている。


 故にイシドロは、自身のギアを更に一つあげることを選択した。


「行くぜアッズワース……雷神顕現!」

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