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異世界で、変身ヒーローやりました。  作者: ヤガミタケト
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68話 バイト3日目、振り向けば巫女がいる

ヤマトにはある伝説があるのです。

ある一定期間のみ現れる、空から現れ贈り物を置くために家々に侵入する輩。

その名は--!(あとがきに続け)

「学生さんたちかなっ、と」

まさか事務方に配置された学生さんたちの登場か?


そんな人身御供、いや、人手は大歓迎だな。

書類整理とか、地味なホチキス、場合によってはゴミをシュレッダーなどなど。


雑用は本当にきりがない!


というわけで、気持ち早めにお出迎えしないとな。


「はいよ、ただいま開けますよっ」

事務所の玄関を開ける。


そこにいたのは、学生ではなかった。

一言で言うなら、女が立っていた。


学生ではない。巫女服だから。


女性の中では背は高いが、160少し超えたくらいか。

かわいいと綺麗の中間。

黒髪ロングの、美女。


うん。目が覚めた、というか目なら既に覚めているが。


それくらいの美女。


それがもう一回言うと、巫女服で、しかも片手に朱色の和傘。


「お手伝いに参りましたわ、あなた」

笑顔で一言。


静かに、ドアを閉じる。



……うん。何だったんだあれは。


期待していたのとは大きく違う。

少なくともオレの想像は、学生さんたちがお仕事探しにやって参られやがりました、というところか。


そして、桜丘の人間ではない。見たことないし。

話だけは聞いたことがあるイブキの姉、という線もあるかもしれないが、そもそもその人は遠くの神社で修行というか下働き中とかなんとか。


しかも性格が底抜けに明るいらしいので、あえて断言しよう。


イブキの姉じゃない、あれは。



となると、あれはハニトラか。美人局か。

何かの勧誘である可能性が高い。

新聞の勧誘か? それとも宗教の勧誘か?

うちは間に合ってます。特に宗教は、かのだらしない廃神ネトゲ好きのソハチハヤノミコトを奉ってますので。

……ありがたみがない神になってしまうが、事実だ。


さて、オレの中の結論は出た。この間、10秒未満。

改めてドアを開けよう。いなかったら、それでもよし。疲れてるんだよ、オレ。で終わるから。


では。いざ参る! オープンザドア!


「落ち着かれましたか? あなた」

「新聞も宗教も間に合ってますむしろ間に合いすぎてオレの出る幕がないのでもうお引取りください」

抑揚なく一息もつかず言ってしまった。後悔はしてない。


そして、ドアを閉める。


よし、よく分からない幻は見てなかった。多分疲れてるんだよ、オレ。

さ、仕事仕事……っと。


ドアを背にして歩こうと--。


「お仕事も大変そうですが、今日は外に出てはいかがですか」

ドアを開けて、巫女の声が来たああああああっ!

やべえよ、幻でも勧誘でもなさそおおおおおっ!


振り向けばそこに、やっぱり巫女がいた。

そもそも神社だから巫女がいるのは当たり前。じゃなくて、あんた見たことないんだけどっ!

桜丘神社の人間ではない! つまり、あんたが犯人だ! 何の犯人かは別として!


「……心の声が聞こえているのですが」

「いや、不法侵入巫女に何言われても犯罪は覆りません! 幽霊だったとかしてもノーサンキューでお断りまっしぐらだ! さあ、あんたの罪を数え、じゃなくてお引き取りください!」


と言いながらも、人に指を指してはいない。

失礼に当たりますので、注意しましょう。どうしても、という場合は、軽く礼をしながら、手のひらを見せるように、そして手を開いた状態で相手に向けるべきでしょう。


個人的にポーズを決めて決め台詞を言いたいが、あれをやっていいのは2人で1人の変身探偵だけだ。

え? そのおやっさん? 故人は別。



「心の声から出ていらっしゃるその方々はよく分かりませんが、私のことは計画書をご確認ください」


「な、ん……いや、それを知っていると言うことはチハヤ、か?」

計画書、ということは、チハヤかヤクサのどちらかということになるが、ヤクサには重要な仕事、――学生たちの監督というか監視、危なくなったら何とかしてくれ、ということを頼んでいるので、つまるところ、この目の前の巫女はチハヤということになる。


なるのだが、だが。


チハヤ成分がどこにもない。

例えば、桜色の着物、なし。

例えば、イブキによく似た顔、なし。こっちは美人系だ。しかもクール系。仕事できそうな人って感じ。

イブキは可愛い系でもあるので。オレは可愛い系のほうが好みだ。うん、今と関係はないが。


そして言葉遣い。駄目神様の言葉遣いではない。

丁寧さが言葉の節々にも表れ、かつ態度にもにじみ出るとはこのことか。

しかし不法侵入はいただけないが! って、神の場合はそれは適用外なのか?

ヤマトの警察さん、どうなの? 教えて、偉い……、いやマックスでいいや。

確かあいつもヤマトのとっても偉い人、のはず。



何事も全力っ! つまりマックスにお答えしますぜぇぇえええ!



……なんか幻聴が聞こえた気がするが、気のせいだ。気のせい。


「あら、詳しくはチハヤ様からは伺ってないようでいらっしゃいますね。改めまして、私はヨシノと申します。チハヤ様の部下、とでも言えば分かりやすいでしょうか。以後よしなに、旦那様」


手を前に重ね、一礼。

その姿勢とか乱れない一礼とか。どこぞの秘書もびっくりだよ!


というかチハヤの部下、か。


出来ない上司の下では、できる部下が育つ、っていうやつか?




チハヤ。この人ってか神っていうか。

大切にしろよ! 多分この人、ってか神だろうけど、すごいと思うから!

できるキャリアウーマンというか一流を超越した秘書のような気がする。


つまり、超一流の秘書巫女神みたいな!



……オレも言っててよく分からなくなってきたが、つまりはすごいってことだ!


しかし、あれ? 計画書には確か……?

ご意見ご感想お待ちしております。


(前書きより)

曰く、空より雷鳴のごとく現れ。

曰く、ありとあらゆる障害さえも超越し。

曰く、時に雪降り積もる場所からやってきたとも、うだるような暑さの海から波に乗り、とも言われ。


かつて姿を見たものはこう言う。

竜の紋章携え、純白と鮮烈なる赤の帽子を被りし、その人物。



誰が呼んだか、不審なる雷鳴竜の化身。


そう、奴の名は『サンダークローズ』!



チハヤ「というイベントがあるのじゃよ」

ヒロユキ「どんなんだよそれ」

チハヤ「イベントの時には強制的に参加するのじゃ」

ヒロユキ(マジかよ)


まさかのネトゲイベントでした。


いつか閑話で出せたらいいなーと(ぇ

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