62話 バイト2日目、誤解なくってそれは
まさか、書いている途中でデータが吹っ飛ぶなんて。
それが3回もあれば、心が折れるってものです。
で復帰しました、ってのが今日(ぇ
背中にやな汗かいたよ、本当に。
いきなり現れた美少女いや和服美幼女が「あ、もう死ぬよ?」とかなんとか。
そんなシチュエーションが目の前にあったらどうするか。
つまりはそういうシチュエーションだったので、汗が、というわけだ。
さて、突っ込むところは山ほどあるんだが。
どこから突っ込もうか。
スタンダードに、「神卸し、って何?」でもいい。
だが、そこをあえて避けて「ウツツウツシとか危ないものは他にもあるのん?」でもいいだろう。
ちなみに、「オレ、神職じゃなくて一般人。いや、喫茶店の雇われ料理人(元事務員)か」というところに行き着くのもあるな。
では、早速。
「というわけでみんなはヒロタンの真似をしないようにね! このわたし、ヤクサとの約束だよっ!」
「悪い見本みたいに言うなこのロリ神っ!」
「むー。もう一押し欲しいなー……。あ、そうだ! 一人称をボクにしたらボクっ娘になるからボクっ娘ロリ神……! おお! これならよりはぁはぁできる……さあヒロタン! ワンスモアでボクに!」
「モモ、ヤクサは変態と言う病に病んでやがられます」
「えーと、まあ、そこはヤクサ様なので、でご勘弁を」
モモの顔はどう見ても「それ無理」としか見えないのだが。
そんな顔をしているからなのかそれとも――。
メガネをまた外して、巫女服の袖で拭いてる。
メガネは基本、メガネ拭きで拭かないとレンズが傷つくんじゃないか?
人のメガネだからとやかくは言わないが。
「とまあ、神卸しも危険な術になるのですが、何はともあれ見せないと何とも言えないでしょうから、……では、ヤクサ様!」
「無理はしないでよ? モモ」
メガネをかけなおしたモモに、そっとヤクサが近寄る。
「そんなに無理はしませんよ! 行きます『神卸し』!」
ヤクサがモモの後ろに回ったかと思うと、モモの首に抱き着こうとして……消える。
……消えた、だと!?
ウツツウツシの効果が切れた、のか?
いや、そんな感じじゃなくて、そうか。『神卸し』か!
「いきなりで驚いたと思いますが、これが『神卸し』です」
メガネを外したモモの両目が、左右色違いになっている。
片目はモモの本来の目の色である茶色に近い黒だが、もう一方が、青。
おや? そういえばヤクサの目の色は……緑、というか漢字で書くなら碧のほうが似合う気がするが。
なんで青なんだ?
「古代ヤマト人はこの『神卸し』を行なうことで、自身の内に呼び寄せた神と語り合うことが出来ました。いえ、言葉さえも必要はないのです。感覚で伝えたいこと、教わること、全てを間違いなく伝え合うことが出来る状態。それが『神卸し』なのです」
なんだか性格違いませんか? 今までのモモは偽者ですか!? みたいに淡々と喋ってるけど。
落ち着きもあるし。これだったら教授ってのも頷ける。
いっそ、このままでいたほうが、生徒のためなんじゃないか?
『神卸し』。やはり憑依系だったか。
となると、おのずとこれが危険なものだということは予想できる。
チハヤとイブキを例にして出してみれば分かりやすいと思う。
チハヤは自身を実体もしくは非実体に自由に移行できる。
つまり、魂の自由度が異なると一考できる。
イブキの場合は、非実体は不可能だ。人間だから当然なのだが。
先ほどの考えに乗っかって説明するならば。魂の自由度がない、となる。
つまり、行動するには魂よりも肉体で行動しなければならないという制約だ。
ここで、魂の自由度の違う2つの魂を、1つの肉体に入れたらどうなるか。
答えは簡単だ。
自由なき魂が、弱くなり消滅する。
で、自由な魂が肉体をのっとるのかと言うと、そうではない。
そもそも自由な魂は肉体の必要性がない。
となると、肉体が魂に引っ張られる現象が起こり、肉体が、まあ、死ぬってことで。
魂もしくは精神と考えるとある程度は理解しやすい危険、ってことなんだが。
多分こんな感じだろうか。
「……黒川さん。何で知ってるんですか」
いつの間にモモが密接状態、だと! 気配なく音すらなく……! まさか『神卸し』は身体能力をも上げるというのか? いや、ありえないわけではないのか。
肉体の制限のない魂を一時的に受け入れているからこそ、肉体そのものの制限を外すことができる、と仮定できるからな。
「何を?」
「……さっきの推測ですが、声にもれてます。危険度も含め、それが正解です。というかその向こう側まで指摘されてますが」
「いや、肉体の制限解除までは今推測したぞ。って声に出てたか?」
出したつもりはなかったが。うーん。独り言を呟く中年男性は、見た目からしてちょっと問題だよな。
気をつけることにしよう。
「……この際なので伺いますが、黒川さんはどこの所属なのですか? 相当地位のある神職とお見受けしておりますが」
密着状態のまま、真顔でというか無表情でずっと語られるオレ。
さっきのハチャメチャっぷりとは違う……、これはこれでつらい! つらすぎる!
「何か勘違いしてないか? さっきもそうだが。誰が神職って言った? オレは今は桜丘神社でバイトだが、本職は喫茶店の雇われ料理人で、家族親族そろって神職の家系じゃないぞ?」
とりあえず、よく分からない誤解は解こう。
確か、神職に就いている親戚はいないはずだ。知り合いには……いるような気がするが、そんな大層な話になってないはずだし。
そもそも、神職ってヤマトじゃそんなにすごいのか?
「……神職じゃ、ない? と?」
「いや、別に宗教云々は勘弁してくれ。そっちの言い争いは本当に興味ない。それに、オレみたいに考察したりするやつはごまんといるだろうし。ウツツウツシは……あれはよく分からんが、少なくともオレは神職じゃない。ただの軽食作り屋さんだ」
これは偽らざる本音。宗教戦争は、本当に勘弁して欲しい。前の職場でも、海外との折衝をやっていた部署が、宗教ネタでほぼ毎日愚痴ってたくらいだ。
あと、新興宗教は、変に押しが強かったりするだよな。オレは目を合わせない。早歩きする。
とにかく逃げる、それが一番いい。
と、学生がざわざわし始めた。何、もしやこの大学神職さん以外お断り系?
とモモがいきなり神卸し状態のまま、オレの片手を、両手で握り、胸の前に持ってきて――。
「結婚して婿養子になっていただけませんか?」
どこでそんなフラグが立った?
ご意見、ご感想などお待ちしております。
まさかのニュータイ○理論を書いてしまいましたが、
神との対話、しかも禁術なので基本誤解はあってはいけないなと思って。
こうなっちゃいました! 激しく後悔……してません、と思ってます。思い込みです。
さて、次からはバイト3日目ですが。ここから怒涛の急展開。
ネトゲ神がようやく立ち上がる……っ!




