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異世界で、変身ヒーローやりました。  作者: ヤガミタケト
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閑話 まさか、お前は

大抵のこういう話はフィクションが多く含まれていますが、この話においては100%そうですと断言させていただきます。

朝早くに起きたと思ったのだ。

いつもと同じ時間だと思ったのだ。


目覚ましアラームが、静かな環境という空気を読まずに鳴り響く。

そんな状況の前に起きたのだから。


何かがおかしい。

目を開ければ、見慣れた天井であることは問題ないだろう。

もし見慣れない天井であったら、巨大な人型兵器に乗るんだ、オレ。

うん。その場合、うっかり暴走させるのもフラグのうちだが。


何がおかしいかがよくわかった。


この天井は、――日本のオレのボロアパート!


まさか戻ってきたのか? 戻ってきてしまったのかオレは!

ジャパンに! 日本に!?

一応お決まりをやっておこう。


頬をつねる。


痛覚あり。よし夢じゃない!


なんてこったあああああい!

せっかく新しい創作料理とか考えてたのに!

いかん。布団から跳ね起きてしまったが、その上でorz体勢を。


日本に戻りたかったですか? と言われれば、かなりNO! なのだ。

だって、なあ? あっちでかなり中途半端だったんだぞ?


えーと確か、『ユナイト』に変身して、チハヤはたいて、『マックス』はたいて。

ってあれ? そこから思い出せない。

何か、変な奴に会って。だったっけ?

というか、いつ寝たんだオレ?


っていかんいかん。出勤時間が!

ご飯は適当に、パンとインスタントのスープで野菜と果物は丸かじりで。

スーツは、しわが酷いがクリーニング出す暇ないな。

とりあえず、シャツネクタイ、腕時計、スマホ、鍵、定期券。

長財布は、いつも通りの軽量感。

カバンに詰め込んで、と。

ここでナイフとかランプとか詰め込んだだろう! とか思ったあなた。


残念ですが、本当に時間がないので突っ込みません。すみません。

いってきます!

おっと、施錠はしておく。



オレの職場は、バス30分からの電車15分.

とどめに、最後に徒歩15分という微妙な位置にある。

もっと近いところに引っ越すべきだろうが、いい物件がないのだ。


だって給料手取り20万いかないんだよ?

サービス残業もしなきゃいけないから副業なんて出来ないし。


そんな風だから。

こういう場所、こういう時代もあって、そりゃあ景気がよくなっているなんてお世辞にも言えやしない。

その点、ヤマトはいい場所だったと思う。

恵まれている、のだろう。少なくともオレの周囲は。


っとバスに揺られ終わったので、次は電車に少し揺られます。


ちょっとだけ駆け足で、駅を通過し、ちょうど来た電車に……人がゴミのようだじゃなくて。

こんなんだったけ? いや、乗車率高すぎだよね相変わらずって感じだな。

……いかにヤマトで電車を利用してなかったか、ってところか。


満員電車って精神的にも圧迫感あるね。


そんな電車に揺られて、開いた出入り口から吐き出されるようにホームに下りる。


後もう少し。

駅前の桜並木を、特に思うことなく早足で通過。

ゆっくりとした人の波を縫うように、すばやく通過。

なんだか暑い。こんなに蒸し暑いのは、春の陽気かそれとも地球温暖化か。


そういえば、昔、駅のホームで思ったんだけど。

電車の通過前にここで飛び込んだら、楽だよなって思ったことがある。数回。

どこでもドアを開けられるよ? みたいな軽い気持ちで思ったのだ。


今思えば、かなり病んでるって思う。


歩行信号青確認。

と、マナーの悪い自動車が走ってくるので、様子見てから改めて横断。

危ない危ない。仕事へ行く前に天国行くところだった。


天国にいけるかどうかは分からないが。


と、あれこれ考えていたらついたのだが。

だが。

こんな建物というかこんな会社名だったか?

目の前の建物は、勤め先の中規模ビル、ではなく。

東京とかの超一等地に建ってそうな高層ビル。

会社名が『ユニバーサルアソシエイトカンパニー』とアルファベットで書いてあるが。


確かオレの勤め先はそんな横文字じゃないのだが。

おかしい。いや、買収されたか?

いやいや、そもそも高層ビルなわけがない。

築ウン十年のちょっとボロの。


ま、いいか。

まずは聞いてみるとしよう。お邪魔します、と。

自動ドアはスムーズに開いた。



「いえ、黒川ヒロユキさんという方はこちらには所属しておりません」

受付の美人さん、ありがとう。

丁寧に電話で確認までしてもらったのだが、やはりオレはここの人間はないようだ。

まあ、自動ドアくぐってから何か違うと思ってたけどね!


だって、快適だし、観葉植物とかなぜか噴水とか。

どこぞの高級ホテルですかって感じですよ! あ、ドリンクサービスですかありがとうございますっ!

冷たいお茶を紙コップで頂いてしまった。

一気飲み!


他にもスマホで電話してみたが、登録してある会社や上司は現在使われておりませんのアナウンス。

同僚とは電話交換してないから分からないのだが、いやオレはぼっち属性じゃないぞ!

友人にもかけてみるか。……はい使われてません!


というわけでオレの推測。

どうやらまた異世界かよ……、と思考が逃げ出したくなってきた。

実家もつながらないし。

ヤマトの人間の連絡先? ユーナ任せだったし。そもそもかるうまカフェの電話番号さえ知らないオレ。


さてどうするか。

あ、お茶ありがとうございます。紙コップは、あ、どうもすみません。


家に帰って調べるとしますか。何か手がかりがあれば。

と、外に出ると春の陽気。というか暑いな。

早く駅に戻るとするか。


相変わらずの人ごみを縫うように、ってか遅い! 『ユナイト』仕込のオレの速さは、こういうところでも発揮できるようで。

満開の桜を早歩きで通過。綺麗? そんなことを考える余裕はありませんが何か?


あ、駅に入ったら涼しいな。何か変なにおいがする、が……ってこりゃあ!

即座に引き返す!


気持ちの悪い、卵の腐った匂い――硫化水素とか、あるいはアンモニア臭。

人の髪が燃えこげるようなそんな匂いも!

外に転がるようにというよりは、まさに転がり出る!

あの匂いは吸ってはいけない系だ!


瞬間、耳が何も聞こえなくなった。

目を開けているのか閉じているのか分からないほどの白色。

生きてはいるのだろう。

背中に蒸し暑いどころじゃない、ただ、熱を感じて。

抱えていたカバンの重みとその感触が、オレを生きていると感じさせてくれた。


ほんの数秒のことだ。


だが、オレにとっては何分何時間にも思えた。



駅が爆発した。それだけのことだった。



「こ、やばいだろ。変し」

変身……と言い掛けて、無理だと悟る。


『ユナイト』、いやユナイドライバーなんて持ってない。

そもそも、日本にそんなものがあるわけもなく。

つまり、黒川ヒロユキはただのおっさんなわけだ。

ユーナもいないならヒロシもいないしアヤもいない。

チハヤもいないならイブキもいない。

ましてやマックスやミサトも、いないのだ。

スキルなんてそんなご都合、日本には存在すらしない。


――とにかく、逃げるしかない!

人が呆気に取られてたたずもうが、泣いている子供がいようが……!


ここにいたら、死ぬ、という感覚だけが、正しいと理解しているから。


だが、実際はどうだろうか。

目の前に助けを求める人がいて。

泣いている子供がいて。

うめき声や泣き声、悲鳴――。


それらを聞いて、黒川ヒロユキは、それでも逃げる男だったか。


昔はそうだった。今もそれをするはずだった。

「あー! ったく! 緊急避難は法律で認められてるんだけどな」

そもそもそういう仕事は汚職続きの警察屋さんや自衛するみなさんに任せるべきなのだ。

一般人にやらせることじゃない。


だが、目の前に泣いている子供がいるのなら。

すぐに逃がすことはできるだろう。

ここは危険と伝えることもすぐに出来るだろう。


すぐに、というのは、その場にいないとできないことだ。

「雑用だけは、ずっとやらされたからな」

自分なりに気合入れ。そうさ、これは専門に引き継ぐための雑用。

出来る限りの「すぐ」だけやって撤収しよう。

と、近くにいる倒れて泣き叫ぶ小学生低学年くらいの男の子に向かう。


痛いって泣いても、誰もその痛みは分かってはくれない。

誰も助けてくれないかもしれないが。

訴えるだけで終わる、そんな存在じゃないだろ。

助けてもらうことを望むだけの、そんな思いじゃないだろ。


だが、今はそれでいい。


その声が、自分がここにいるという訴えなのだから。

大人になったら、聞いて救えるやつになればいい。


「よっく頑張ったな! オレと一緒に病院でも行くか!」

あ、やばい。

またあのヤバイ匂い。今度は、まあ、かなりきっついわけで。

「悪いな! 丸くなれ!」

放物線ではなく、弾道のようにして子供を野次馬化してきた人ごみに投げる!

「野次馬ども受けろよ!」


またもや、発光――!

オレは――、そこで意識を失った。





目を開けた。

見慣れた天井だ。

何これ? このフレーズだけだと、本当に人型決戦兵器の適合者じゃないかオレは?


「お、おそようさんだな! さすが私の『VRビビル体験半日間』! 危険はいつでもデンジャーで隣り合わせのミラージュ! 君もこれで生き残れレッツサバイバー! というネーミングで作ったのだが」

「殴らせろとは言わない。蹴っ飛ばす」

「なかなかどうしゴファー!」

起き上がったときに、白衣の変態が何かの説明をしだしたので、とりあえず、起き上がって蹴る。

そりゃあ、目の前に犯人がいたら、誰だってやっつけるだろ?


ったく、オレの4月1日の午前中を返せよ。


午後から普通に休日を満喫しました。

そういえば、英国だと嘘は午前中までしかつけないとか何とか。

まさか、ヒロシは――そ、んなわけないな。


うん、悪ふざけが過ぎる。

ご意見ご感想、というかいや今回はお好きな人だけ。


エイプリルフールだ! 小説家としては微妙に逃せないイベントですよ!(ぇ


というわけで今回の小説家になろうでのエイプリルフール短編大賞は私がもらったーっ!(嘘


なんたってこのためだけに構想を2日間練ったのだ! 仕事の合間にも考えた!

仕事しろって思った! 自分でもおかしいくらいにな!


そしたら4月1日マジで午前中仕事に借り出される羽目になった。

それこそエイプリルフール……じゃなくて実話です。


なんて日なんだ。うわああ。

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