51話 36歳、はじめて異世界で黒歴史を作る
『ユナイト』のスタイルとその今後の説明が大半を占めてます。
お好きな方は嬉々としてお読みください(ぇ
桜丘家での1週間の終わりに見たのは、なつかしの六畳一間。
何が懐かしいって、日本での1人暮らししてた部屋と間取りが一緒なんだよ。
台所とトイレと玄関がないだけで。
え? テレビ? 机の上に置いたPCだけで十分でしたよオレは。
それが今や、PCがなくてもよくなってしまった。
では、風呂に入るまで、早速やることをやってしまおう。
「変身、……サイレントで」
『You are……、あ、すみませんつい』
あれか、押すな押すなよ絶対に押すなよ系列か。
残念ながらオレはそのつもりではなかったのだが。
芸人じゃないからなオレは。もちろん志望でもない。
まあ、声も大きくなかったし大丈夫か。
『で、どーします?』
「スーツの修復具合と、スタイルの強化案の確認を」
寝ててもいいんだが、風呂に入る前なので、少し考え事でもしよう。
明日は働くことになるんだし、場合によっては疲れたばたんきゅー、なんてこともありえないとは言い切れない。
そういうところが心配なのさ、36歳にもなると。いわゆる体力の衰えってやつ。
あ、布団は敷いとくか。多分押し入れに、あったあった。
ない場合は、収納ボックスから出すしかない、と思っていたからあってよかった。
『機能的には8割程度、表層部分については問題なしと言ったところでしょうか。ただ、追加機能やマスターの提案した概念から発展させた機能については情報不足ですね。ヒロシレベルでないと実用化は不可能かと思われます。……相談したほうがよかったんじゃ』
それは最終手段だ。
あいつに相談したら、この機能をいらないことに使いそうだからだ。
白衣とか白衣とか白衣とか白衣とか。まれにヒロシの秘密地下基地にも応用しそうで怖い。
『まあ、引き続き頑張りますね。で、スタイルのほうですが』
今のところ、実用化しているのは『スラッシャー』と『ガンナー』。
強化案としては『スラッシャー』はダスクプラウザー以外での武装構築とその武器を用いた技の構築。
『ガンナー』についてはビーネストトリガーとの連携の強化と、ファーストアンドラストの簡易版の作成。
これらについては、うまくいってないのが現状。
そもそもこの二つのスタイルについては、ある程度完成している状態なのだ。
『スラッシャー』はそもそもダスクプラウザーがあって完成した「剣撃特化」。
この『スラッシャー』からヒントを得て作った『ガンナー』は「銃火器特化」。
これ以上には望めないのだ。オレの考えとしては。
だから、完成しているスタイルに関しては、スタイルそのものをいじくることは考えられないので、武装系統を強化するしかない。
というわけで、武装強化プランを立てている状態だが、難航中。
これは情報が少ないのもあるが、オレがややこしい武器を使えないというのが大きな障害なのだ。
提案したオレ自身が障害とは思わなかったんだ。オレは。
『まあ、そちらも相談したほうが……と。後はタイプ『G』と『D』ですか』
なんだったけ? 黒い悪魔と殺虫剤だったっけ?
『防御系スタイルの開発コードを自分でつけたのに!?』
軽めの冗談だ冗談。呆れるな頼むから。
『G』と『D』のスタイルについては、『スラッシャー』や『ガンナー』と比べて防御や防衛を主にしたスタイルになる。
そもそもオレが率先して戦うよりかは、今までの攻撃の中で、一番やりやすかったのがカウンター。
一撃ぶっ飛ばしカードの、右でぶん殴る! もといアールインパクトがあるからか、そればかりに頼っている部分が強い。
それを補助するもしくは、攻撃特化している二つのスタイルに対するバランスの意味もあり、ユーナに機能構築やらその他もろもろをお願いしているのだが。
『情報は出揃ってるんですが……。何でしょうね、データ上は完璧なのに、これを仮想でデータを当てはめてテストすると、マスターと『ユナイト』の親和性が落ちるんですよ何故か。実戦には投入できないくらいの駄目駄目さで』
前もそれ言ってたけど、何それ? 親和性が落ちるってことは、あれか。
エヴ○か。シンクロ率みたいなものか。
どこぞの初号機パイロットみたいに300%とかになると暴走してるとか、のあれのこと?
『うーん、似てるんだけど……。どちらかというとマスターのほうが拒否ってる感じが』
まあ、そりゃあ戦いは根っこから否定してるけど。
防御系のスタイルさえも否定してるわけじゃないつもりなんだけどな。むしろ発案者は自分だし。
『改善案はありますがどれも実用向きじゃないですね……。あ、あと開発コード『M』についてですが』
そっちは良く覚えてる。むしろその開発コードでボケたら、オレがただの馬鹿だから。
『あっちはさらに難航です。『マックス』との戦闘データは参考になりましたが……。そもそもこちらは相当な無茶ぶりってことは』
いや、もしかしたらできたらいいなと思ったんだ。後悔はしてません!
日本人のロマンの一つだと思ってるからね! いやオレのロマンか。
そもそも優先度は低いから、ユーナの暇なときというか。
むしろ率先してやらずにどうしても暇つぶししたいときのためというか。
『でもできたらうれしい』
もう最高。わが生涯、少しくらいの悔いが減るくらいに。
「ヒロユキさーん、お風呂どうぞー」
軽いドアのノックの後、イブキの声。
「ありがとう、すぐ行くよ」
『ちっライバルめ。いちゃラブを邪魔されたぁ……。マスターでは後ほど』
舌打ちしたユーナは無視して、敷いた布団の上から立ちあがり、その後ドアまで3秒。もちろん変身解除。
ドアの向こうには、猫パジャマの湯上り美少女……だと!?
シャンプーだか石鹸だかそんないい匂いに騙されてたまるか!
「え? 何で閉めるんですか」
「湯上りの美少女に会った時はこうしないといけないのだ」
「え?」
いかんいかん。何故にドキッとせねばならんのだ。
落ち着けオレ。相手はイブキだ。オーケー? オーケーだな?
よし、次だ。ここはイブキの家で、オレはバイトで。これから風呂な訳で。
その風呂に先に入ったイブキがオレを呼ぶわけで。……変な想像はNGだ、いいな。よし。
そもそも今回の彼女の動向に他意はない。そうさ絶対ない。よし、それも問題なしクリア。
よし、改めて確認したが動揺する要素はない。さっきは心の準備がなかっただけだ。
いわゆるドッキリアタックにびびったわけだ。
よし! 改めて、いざ出陣! エイエイオー!
黒川ヒロユキ、ドア開けまーす!
「あ、開いた。ってヒロユキさん、なん、で! 閉め、ようと、して、るんですか!」
「離せイブキ! さっきも言ったように、無防備な湯上り美少女を前にしたらオレはこうすべきだと!」
「よ、く、分かり、ませんが! お風呂の、場所、案内し、ますっ!」
ドアを開ける力が強くなった! くっ! ドアに接近しての体でのこじ開けか! 嗅覚のみに訴えるだけでなく、物理的距離を詰めることで、より五感に訴えてくるとは!
「分かった! 分かったから落ち着いてオレにドアを閉めさせろ! これ以上は目の保養が凄すぎて死ぬ! 目隠ししてくるから!」
「目、隠し、は! 意味、ない、です!」
この馬鹿なやり取りは、もう数分続くのだった。
ということを、風呂に入ったときに振り返って思ってみれば、一番の感想は、本当に馬鹿だ。オレ、に尽きる。ああ、恥ずかしい恥ずかしい。
言葉で美少女美少女連発してたけど、イブキに変に思われなかったかどうかも気にはなるが、それ以上に年甲斐もないあの動揺。
ああ、恥ずかしいし情けないったらありゃしない。
女性に対する褒め言葉も連発してたような覚えもあるようなないような。
いや、やめよう。これは「ヤマトでの冷静さに欠ける行動」として今後の教訓としよう。
風呂から出た後、部屋で変身後に延々とユーナに色々言われたのはまた、別の話。
というか思い出したくもない。こちらは封印。いや、むしろ忘却。
ただ、黒歴史が増えました。にしておこう。
よし! とにかく、明日からバイト頑張るぞ。
結局、何のバイトかは知らないけどな!
ご意見ご感想お待ちしております。あとご評価も大歓迎。
スタイルとして開発コードとして出したのは、
「G」、「D」、「M」ですが、
それぞれサブタイトルがあります。
G:必殺何とかフィンガー!
D:夢はご飯の勇者。
M:黒いモグリ
全部のネタが分かる人がいたら教えてください。
作者が尊敬します。本気と書いて「もとけ」と読んでしまうくらい本気で。(何
やっぱイブキはヒロインですのでこういうところはしっかり出番を、と。




