46話 金くれるくらいなら同情して! ……じゃないな
思えば凄い人生だ。
そう思う経緯をざっくりと説明してみよう。
まず、日本で36年生きてきたが、衣食住は最低限困ってなかったと思う。
ただ、受験とか試験とかにはほとんどすべからく落ちている。
日本での就職先は、人員で欠員が出たと言う理由だけで、入れたというラッキー。
ただ、ダメリーマンの自分にとっては実はアンラッキー。で、十数年あんまりいい記憶ないのですっ飛ばす。
そして、ある日の夜。
帰り道のこと。
いきなり原因不明で転移させられた先のヤマトで、人生初の家なし生活の危機が迫っていたのだった。
分かりやすく言うならば、家なき子になりそうだってこと。同情するならギブミーマネェェェェエエ! ってやつ。
そらーときみとーのあいだー、とかいう歌ね。
いや、家なき「子」じゃないな。
家なきおっさん。なるほどなー。
って、そりゃあただのホームレスじゃねぇかああああ!
よし、心の叫びを銀○風にやってみたけど、なかなかいいな! 爽快感がある!
今後もたまにやってみよう。
そんなことをやりながらも。
朝の習慣で、つい早起きで食事を作ってしまったが。
オレは今日、昼前にはここを発つ。昼になったら、現状ホームレスでホープレスなわけで。
いや、待てお金はあるんだ。
泊まる所がないので、どうしようってことだ。
大切なのでもう一度。お金はある。使わないので。豪遊? そんなことが出来るわけがない。
ここはヤマトだぜ? 異世界人とバレたらどんな目にあうか。
というわけで。日本人とばれたら、宿泊云々以前の問題になるので、基本的に野宿かなぁ。
いや、ばれなきゃいいんだが。ばれなきゃ、だが。
いっそ、マックスと戦ったあの温泉近くで野宿すれば少なくとも昼寝と温泉つきの一週間か。
……『ユナイト』頼りの衣食住と安全っていうのもな。
ほら、人間ですから。普通の人の暮らしをしたいんだよ。したいんですよ。
『かなり快適に過ごせますよ? 雨風だろうと熊だろうとばっちりカバー!』
悪魔のささやきが聞こえてきたが、スルー。
オレは一般人。普通の生活がしたいだけ。
とは言ってもこのままではホームレス中年。
やばい。どうするか。
マックスとミサトに頼る……ってのもなあ。
オレ異世界人だし。『ユナイト』でもあんまりいい気はしないだろうし。
ヒロシは「たまには守るべき外の世界をしっかり見ておくといいぞ!」と、まあ、泊める気なし。
アヤ……は論外。アヤとうわさになるとか、論外というか不名誉というか。
イブキ……ってバイトの子に頼めるか! というか年頃の女の子に頼むことじゃない!
年頃ではアヤも同じか? いや、論外は論外なので別枠だあいつは。
最後にチハヤ……は、そもそも生活力ないだろ。
神と書いて半分ニート、と読んでも差し支えもなければ失礼にも値しないだろう。
チハヤという神だけはそれでいいと思う。
結局のところ。
……うわ、誰にも頼めない! ってことだ。
どうするの! どうするのオレ! どこぞの古いCMみたいに選択肢というかカードがあるわけじゃないけどね!
よし、こういうときは。
ヒロシとアヤを起こして食事にしよう、そうしよう。
ほら、何かいいアイデアくれるかも。変態だけど天才だからな!
「一週間の休養と思って旅に出ればいいんじゃないか?」
「あたしんちは駄目だからね!」
天才だが変態どもめ! いいアイデアだって言ってるのに、なんだその普通コメントは!
「ちきしょう……。人事だと思いやがって」
「いや、人事なんだが……。地下工事に日中どころか夜中もでてくる全身黒スーツで、目が青白く光る人物が出てきてみろ。変な話題になりかねん。一般客が寄り付かなくなるからな。ちなみに変身解除はすすめないからな」
食後のコーヒーを一口飲むヒロシ。ちなみに今日のオレはオレンジジュースだ。
「まさか、生身のままだと危険とかなんて……そんなわけないか。ヒロシが無事ならオレだって」
「すまないが白衣を着てないと駄目だ。それとも着るかこの選ばれし白衣を」
「野宿でいいな野宿がいいな! って白衣オアなんとかみたいな選択肢だなそれ!」
悪いが、というか悪いのはそんなラメ入り白衣を用意したやつだが、そもそもそんなイロモノを着るつもりはない! というかお前が着ているのは普通の白衣だろうに!
そんな白衣を着るくらいならオレは人間の尊厳を守るわ!
「本当にあたしんちはアウト! いやまじでこれはもうどうしようもないの! ハカセの依頼でも無理! あ、ハカセオンリーなら別! 来ても大丈夫なように地ならししときまーす!」
なんだ? 地ならしって。
アヤの家ってどんなのか見たことないけど、地ならしって。
多分、掃除の意味だろう。そう思おう。オレには関係ない話だ。
「くっ、神はオレを見捨てたか」
「その神に頼めばいいのでは? 素性も知ってるから楽だろうし」
「なんでだよ! あいつはイブキの家の居候だっての! あの神、一歩間違えたら引きこもりでニートでネトゲ廃人だっての!」
一歩どころか現在、半歩くらいはのめりこんでるから、やばいんだよなあ。
前も「ネトゲの攻略についてうまく検索エンジンにかからんのじゃ!」とかでユーナと話し合ってたからな。ユーナが律儀に答えてたが、その後どうなったのかは不明。
イブキがずっとにらんでたからな。
多分、ネトゲ廃人、いや廃人ではなくて廃神か。
そういうものにはなってないと思うが。思いたいが。
「ほほほぅ……。わしの話と思えば、誰がネトゲ神じゃとぉぉぉおおお!」
「違う! ネトゲ廃神だ! ネトゲ神だとある種の究極の褒め言葉だろうが!」
どこから出てきたか分からないヒキニートの神、もといチハヤに突っ込みを入れる。
もうどこから出てきたかのツッコミは、他に任せておくことにした! 面倒だしな!
「それはネトゲの神々に申し訳ないことを! ……じゃない!」
おお。チハヤがノリツッコミを!
って。んなこと、どうでもいいけどさ。
もうどうなるんだよオレのこれからの一週間は……。
ご意見ご感想、ご評価などお待ちしております。
題名はまあ、適当なのでスルーしてください。
スルーしない場合はご回答を感想に(笑
ようやく、ヒロユキが日本での経験を活かし始めます。
スキル? 何ですかそれおいしいの?w
相変わらず発動条件が分からないスキルよりも、
ホームレス生活から脱却するほうが大切なのです!(ユーナ)
次の日曜と月曜で、書けなかったこの約一週間の分を取り戻そうと思います。




