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異世界で、変身ヒーローやりました。  作者: ヤガミタケト
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39話 弱きを助けるつもりで、弱きを挫くのは

ようやくここまで来た……

「……なんだこの人?」

「えーと、確かどこかで」

「ほら、あれだあれ! 掲示板で出た、ヤマトのパワードスーツ! 近寄るな危険注意ってやつ!」


掲示板に張り出される、『近寄るな危険注意』って、熊とかか?

少なくとも、熊よりかは危険だな。戦闘力としても。人間としても。

シャツのセンスもかなり危険だ。いや、センス皆無と言う意味で。


ちなみに今日はゴシック体で「うまさ爆発、マックス!」。


何のうまさが爆発しているのか分からない。

なので、気にしたら負け。負けだ。どこで買ったのか、とかを気にしてたらきりがない。


「ほう、俺の強さはもう知っているのか……! なら大人しく捕縛されろ!」

いや、強さよりも、危険さが知れ渡ってる気がする。

具体的には、馬鹿さとか周囲巻き込んで自滅する必殺技だな。


言っとくが、こんなところで火の大技使ったら大惨事だぞ!

今までの動向から、この馬鹿ならやりかねん!


が、今のオレはただの一般人。ただし異世界人。

下手に飛び込むつもりはない。

温泉の中から、様子見に徹しよう。


「刻め! 俺の魂の炎! ヒートマックスに、変……っ! 身!」

両腰に備え付けた銀の手のひらサイズの箱、『マックストランサー』。

ヒロシ改良。命名ミサト。

マックスが「最強マックス変身ボックス」という名前をつけようとしたが、そんなものは却下だ。

少なくとも、最強ではないだろう。

『ユナイト』もあることだし。


白のスーツなどについては変更なし。

細部の変更もなし。

ただ、機能や運動性などは、従来の『マックス』を5割増で超えている。

あくまで数値上のデータなので、ジロウもとい馬鹿、いやマックスが使うとどうなるか。

そのあたりは、テスト途中と聞いていたが。


どうせ、「テストなんてマックスに必要ない! 最初からマックスに実戦あるのみー」とか何とか言うに違いない。

そういうやつだ。マックスは。


「異世界人よ、ヤマトの魂ここにあり! 俺はヤマトを愛し守るヒーロー! その名も……『マックス』! お前らを倒すものの名前だ、覚えとけ!」

天を指差し、そのままその指を下ろし、戦闘員に向ける。

昔のヒーローとかよくやりそうなやつだな。


「うわ、変身した! って俺たちのスーツは普通に着用するのに……」

「スーツの力の差はあんまりないってことだけど、目の前で変身されると、いいシステムだと思う」

「いや、変身なら左右のあんな箱じゃなくてベルトとかじゃないと」


いろいろツッコミどころはあるが、変身ならベルトがいいよな!!

オレもそっちがいいんだけど……なにせICレコーダーだしな。ユナイドライバーの見た目。


ちなみに最近知った衝撃の事実。

ユナイドライバーで録音はできません!

音楽も聴けません!


……ユーナにいつかこれらの機能はつけてもらう予定だ。


っとしまった。オレはさすらいの異世界人純情派。

『ユナイト』とは一切関係ございません。


「お前らのせいで、この願いのかなう秘湯に入れずに困っている人たちがいる!」

……この温泉にそんな効能はありません。

マックス。お前騙されてるよ。

「あ、この温泉の効能なら、ほら」

戦闘員の1人が、立て札を片手で立てて、もう一方の手で指差す。

「肩こりや腰痛によく効く、リラックスできるけど」

「ドラゴン○ールじゃないから願いは無理だな」

「……7つぐらいの秘湯をめぐるなら、っていや、そんなんなら龍がひっきりなしで召喚されるな」

この世はでっかい温泉地ー! そうさー今こそ……って。

その発想は面白いな。……まあ、日本人にしか分からない発想かもしれないが。

「くっ……! 異世界人どもめ、ふざけるのも大概にしろ!」

「いや、ドラゴン○ールからは確かにふざけたけど……。効能はこの立て札の通りで」

「黙れ! 異世界人の言うことなど信じられるか!」


……なん、だと?


「そもそもここのおかげで願いが叶った人もいるんだ! そんな効能など出鱈目に過ぎん!」

結果論か! どこから判らない、出土不明の結果を言って調べたことを無意味にする……、胸糞悪いな。

「さあ、大人しく捕まるならよし。そうでないなら……力ずくだ!」

「「「ええーっ!!」」」

3人が一斉に非難の声。俺ら戦闘は無理、とか、訓練とかもしたことないし! とか聞こえるが。

今のところ、あいつらが悪いことをしたようには見えない。


やったことと言えば。


・温泉の効能を調べた

・立て札を作って立てかけようとした(未遂)

・スーツのまま温泉に入った


くらいで。無断でやったのはよくないな。

あと、スーツのまま入るのもよくない。


よくはない、が。

何かを壊したことでもない。

むしろ、変な騙し文句で、願いが叶うって謳っているのはこの温泉の持ち主かそれとも……。

まあ、ヤマトの人間であることは確かだろう。

夢を見せるのは大いに結構だが、夢に踊らされるのが人間だ。


正しい効能を立てておくことは決して悪ではない。


だが、マックスは「異世界人」であることを理由に悪と断定した。


オレは、そういうのが、大嫌いだ。


そう、日本にいたときから。


どうせ黒川くんだろう。やっぱ黒川。ミスは黒川……っ!


「ふざけんなっ!」

はぐれ異世界人純情派はここで終わり。

ここからは怒れる異世界人進撃編で行こう。

「スーツを着てない……? お前は」

「に、兄さん! 逃げるんだ! 俺たちでも勝てない! 兄さんじゃ無理だ!」

「俺たちはスーツがあるから逃げれると思うんだけど……、兄さんは」

「って、俺たちも逃げれるかどうか不安なんだけどね……」

全員見るからに動揺。


そんなにスーツの野郎達に混じってトランクス水着の男は珍しいか。

考えれば、そうだな。

パワードスーツの戦いの中に、一般人がいきなり紛れ込んできたら、変だよな。

って、今の状態がそれか。


そういえば、マックス。オレの声を聞いても反応が全くないな。

『マスターがマックスだけでなくミサトに対しても『ユナイト』のまま接してますからね。正体は知らないですよ? 『ユナイト』がマスターであることを知ってるのはヒロシ、アヤ、イブキ、チハヤですからね。私はそれ以上を知ってますが! つまり私こそが! マスターの』

ストップ! はい終了。

いきなり通信してきたと思ったらこれか。

ただ、マックスが今のオレ=『ユナイト』と知らないということは分かった。

そうなると。


「なるほど、こいつらの親玉か! スーツも着ずに余裕だな」

「違うって」

勘違いされることは予測済み。だが、勘違いされる要素しかないか。

ん? だが、オレは異世界人であいつらとはある程度わかり合った仲。

微妙に正解はあるのか。


なんだか面倒だな。


それは置いとこう。

今のところ、オレが一番やりたいこと。


それは。


「3人とも逃げろ! ここはオレが何とかしてみせる」

「兄さん! 無理だって」

他2人も、そうそう、とか言ってるが、逃げてくれないと困る。

「任せろって。……伊達にこの世界ぶらついてるわけじゃないんだぜ。それに秘策もある」

「兄さん……」

「行けって! ほら早く! ……今度会ったらまた話しようぜ!」

戦闘員たちに近づいて、それぞれの肩を軽く叩く。

少なくとも、お前らはいい奴らだ。オレはそう信じる。

だから。


「……すんません!」

「すまない兄さん!」

「また盛り上がろうぜ!」

彼らがオレに声をかけながら、俺の後ろを猛スピードで走っていったことを。


その声を心地よく感じて。


「待て……っ!」

「待つのはお前だマックス」

走ろうとしたマックスの動きを遮るように、立つ。

「くっ、だが! ……お前を捕まえれば!」

「お前の勘違いを教えてやるよ。一つは、オレはあいつらの仲間じゃない。組織の一員でもない」

感情の乗らない、淡々と告げるだけ。


ユーナ、あいつらの動向は?

『索敵範囲外に離脱完了。他に人的生命反応、隠蔽状態を含めてサーチ完了。マックスを除いて存在はありません。空間への広範囲ジャミング処理完了』

全く、出来たユーナさんだ。頭が上がらない!

もうちょっと時間稼ぎが必要かなと思ったが不要の様だしな。


「そして、もう一つ。異世界人が全て悪と認識している点だ。……見せてやるよ」

「何を、言っている?」

警戒する態勢を取るマックス。

先手必勝しないあたり、ありがたい。してきたら速攻変身でカウンター食らわす予定だったが。


水着のポケットから、ユナイドライバーを取り出す。

「行くぞユーナ、……変身!」


『you are the Knight! U-NITE!』


「悪いのは異世界人だけじゃない。ヤマトの人間にも悪人がいるんだってことだ!」


さあ、見せてやるよ。悪と決め付けられた、弱い正しさってやつを!

ご意見ご感想、ご評価など切実にお待ちしております!


ようやくここまで来ました。

ユナイト対マックス!


というか、野郎の入浴シーンなどずっと書き続けて誰得と……っ!

マックスがヒロユキに気がつかなかったのは、

変身を解いた姿を見たことだけではないです。


次回その理由が明らかに?


いや、どうせマックスだから(笑

っていう理由で終わってもいいような気がしてきました

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