38話 組織はすごかった、だがしかし
昨日投稿予定がずれました。
犯人は……睡魔に負けた作者だっ!(ビシッ
「……失礼しまっす」
「……え、あ、はいどうぞ」
変身を解いたオレの温泉ゲットと、戦闘員の1人との最初の会話だった。
お見合いじゃないが、知らない人間同士の会話などこれくらいだろう。
そう、今のオレは「はぐれ異世界人」。放浪しながらヤマトを旅する適当な日本人。
時にバイトをし、時に人助けをし。
日本と変わらないヤマトをぶらぶら探索する、自分を見つめる旅。そんな36歳男性だ。
よし、適当な設定確認完了。
『私はトランクスのポケットにいますので、何かあったら変身を。……本当に危ないときは勝手にさせますけどね』
片やトランクス水着の男。
片や戦闘員スーツの男が3人。
秘湯に男4人。
気まずい。
ここは、とりあえず、外見からアプローチというトークで切り込みを入れる。
営業の人間から教えてもらった、髪形や服装、時計などから「高級」もしくは「かっこいい」と伝えるやり方だ。
本来なら、褒めた後に「あ、あんたがつけてるからだね!」みたいに繋げるらしいが。
……事務職にそこまで求めないでくれ。
さあ、スタートだ。
「兄さんたち、珍しい服着てるね! かっこいいじゃん、ショ○カーみたいでさ」
「んあ? ……おい、あんた、何でこのスーツをショ○カーって」
「ってことは日本人!?」
よし、まずはつかみはOK。何せ日本人で男なら、ショ○カーで気づかない奴はいないだろう。
一度はどこかで見るからな、仮○ライダー!
なつかしのテレビ特番とかではもうおなじみだ。
今じゃ、劇場版にでも出演するくらいだ。年齢層関係なく、男ならほとんど知ってるってくらい。
「おおっ! ってあんたらも日本人か! いやー奇遇だな! 何せよく分からんがヤマトにいてさ! 知り合いなんて誰もいないし。日本人ってバレると警察に通報されるんだぜ……。まあ、いい機会だから今じゃ適当にぶらついて、適当にたまに仕事して、って旅してるんだよ」
うし。オレの説明終了。
さあ、お前らのターンだ。ドローしな!
「激レアなパターンだな! 俺らは全員転移したとほぼ同時に組織の誰かに保護されて、でヤマトでの常識を学んで、って『サンクチュアリ・ガーディアン』、組織の名前なんだけどな。そこで働いてるって訳さ。学校よりかは楽しいし、何よりスキルってのが面白い!」
「そうそう! そのスキルの使い方もボスからこの世界に来た先輩っても年齢は変わらないけど、日本人たちに教えてもらってさ……このスーツも最初は雑魚かよって思ったけど、めちゃくちゃ凄いし強い。そりゃショ○カーも着るわな、って思うんだよ」
「……ん? あんた本当に日本人か? 年齢は俺たちより上だろうし、組織に保護されてない日本人は皆無って言われてるんだが」
おおっと! そんな疑問が出てくるのかよ。
さすがにショ○カーだけでは日本人とは分からないよな。
日本ネタはヒロシでも出てくるくらいだからな。
じゃあ、オレがいたときの最新を!
「年齢は確かに、36だがな。だが、年齢が圧倒的知識の差であると教えてやろう! オレがいたときの日本では仮○ライダーはボトルで変身! ワンピー○はアニメじゃコックが結婚詐欺に! ガンダ○は最新は鉄血! オレの日本の経験は伊達じゃない!」
さあ、オレのカードの威力はどうだ!
切り札その1! 圧倒的日本のオタ一歩前知識!
メジャーなアニメネタで、どう出てくるかな!?
「……おっさん、あんた、すげえよ。いや、兄さんと呼ばせてくれ」
「そうだな、兄さん。疑って悪かった。確かに兄さんは日本人だ!」
「大人なのにアニメとか特撮への情熱、パネエ」
「何を言うか。大人だからこそ、傾ける情熱はより凄いのだよ。そしてアニメや特撮は、今を生きる子供や大人のために、いい年の大人が作るんだからな! オレはそういう大人をこれからも目指すさ」
そう、大人じゃなければやれないことだってある。
子供のために、大人のために。懸命に情熱を傾けて作り出すものがある。
子供が大人になり。大人が年を取っても。
それぞれの心に残る、それぞれの思いは、褪せることなく輝き続ける。
その輝きを生み出して欲しいから、アニメや特撮、漫画やラノベはあるんだと、オレは信じている。
抽象的だが、そうオレは信じる。
「兄さん、あんたは神か」
失礼な。神なら今日は……ネトゲをやってるはずだ。ギルドイベントでなんとか、らしい。
「いや、お前らと比べたら、ただのおっさんさ」
年齢的にな! 一回り違えば、もうおっさんなのさ! 人によっては20後半でもおっさん呼ばわりだからな。
そうなるとオレはおっさん呼ばわりを回避することは無理だ。
「やべえ、こんな人が日本にいたとき近くにいたらよかった……っ」
「あー。そうだな。親とかは勉強しろ、いい学校行け、だけだからな。俺たちが何したいかとか本当に分かってくれちゃいないって感じでさ。大人ってのはアニメとか漫画、ゲームに関心がなくなる奴のことだって思ってたよ」
全く……なんて日本なんて親だ。
温泉なのに、何だかしんみりしてしまったじゃないか!
戦闘員全員上向いたり下向いたりで、テンションが下がりっぱなし。
「そうか……。じゃあ、今はそれなりには満足ってことか」
うーん。このトリオ、悪い奴らじゃないんだよな。共感できるところもあるし。
今までの破壊系の戦闘員たちとは毛色が違うな。
「そりゃ、まあ、日本よりはいいけどさ……」
「まあ、スキルがあるし、友達も出来たし。任務も人を傷つけないやつだし……。訳分からん任務もあるけど」
「衣食住しっかり保障で、思い通りに外で買い物とかは難しくても、組織の施設で全て完結できるのが強みだしな」
「ほうほう」
すごいな組織。ヒロシにはあんまり聞いてなかったけど、衣食住が完結できるってのは凄い。
資金源とか、資材調達とかどうなって……。あ、スキルがあるか。
浸かった温泉で顔を洗い、戦闘員の1人がそういえば、と。
「なあ、兄さん。これにさ、温泉の効能とか書いてくれない? 筆とかあるし」
と、彼が横にある立て札を指差す。時代劇に出てきそうな、あれだ。
作ったのか? それとも持ってきたのか? どちらにしろ難儀なものだ。
しかも、小学校から延々と使ったことがある、そんな思い出がオレにはあるが、書道セットつきだ。
「俺ら、こういうのは苦手でさ」
「そもそも俺らのスキルって、毒判定といわゆるリトマス紙鑑定と成分分析だからな……。もっと言うと全員腐っても理系」
字の綺麗さを求めるなよ……、と3人とも温泉に沈もうとする。
むむむ。温泉を調べるにはベストチョイスなんだが、字とかになると一瞬でバッドになるのか。
人選ミスってないか、組織の上司。
「わかった、ここでやらんと男がすたる気がする。……後から文句言うなよ?」
「恩にきるぜ兄さん!」
一瞬で、湯から顔を出す3人。
いや、本当に助かったー、とかどんだけお前らは毛筆に恐れを感じてるんだ?
で、数十分後。
「兄さん、あんたは神か」
「習字の教科書みたいな字が」
「パネエ。マジでパネエやつがキタよ。MPK。『マ』ジで『パ』ネエのが『キ』タ」
どこぞの芸能人が使う言葉がまぎれてきたが、気にしない。
事務職をなめるなよ?
一応だが、オレは書道のある流派では3段レベルの書道経験者。
さらに、複数の大学の書道コンテストで優秀賞をかっさらう男なのだよ。
だが、実は書道なんて事務職では使い道がないんだけどね。
「まあ、こんなもんでどうだよ」
さて、温泉に入りなおすとするか。
「おっし! 後は俺らに任せてください! あのオンボロ小屋の近くに立てれば完成だ!」
「やった! これでさっさと帰ろうぜ!」
「いやー、あの子がこれで怒られないと思うとよかったよ」
と、温泉から出た戦闘員3人が立て札を持って、ボロ小屋の近くへ。
「異世界人め! こんな秘境まで来て何を企てているかは知らんが」
3人ではない男の大声。聞いたことがあるような、いや、ないような。
……いや、他人だ他人。
「このヤマトを守る男と書いて、ヒーロー! 大地マックス、気合マックスにただいま参上!」
……他人だ他人。
そう、オレは、はぐれ異世界人。
変態や馬鹿とは無縁の、根無し草……。
……ジロウよ、なんでお前がここにいるの?
ご意見ご感想、ご評価などお待ちしております。
ヒロユキめ……そんな特技があるなんて設定で作ってなかったぞ?
というかそれ作者の特技じゃねーか(笑
というネタバレは置いといて。
何故かマックス登場。
ちなみにマックスが言いそうになったセリフ
「秘境で卑怯な企み……っ! 許さんぞっ! ギャグでも許さん!」
作者としてどうにか止めました(滝汗




