37話 温泉に求めるは、風情と情緒
今の仮面ライダーとユナイトを比べてはいけません。
ヒロユキが圧倒的に戦いを拒みますから! 残念っ!
『で、マスターは何をやってるんですか? 一応聞いてみるけど』
敵情視察中。
細かく言うなら、隠蔽モードで小屋とは到底見えないオンボロな建物の陰に隠れて、戦闘員3名の入浴姿を覗き中だな。ちなみに3名とも男だから、倫理的には問題ない。
そして、オレの好みはいたってノーマル。
イブキ・チハヤ・アヤ・ミサトの中からタイプを選ぶなら、イブキ派だ。
『なんだか、いらいらしました。私がいないのはとてもいらいらしますね、ええとても』
気にするな。あくまで例えだ。野郎に対してのそういう趣味はないってこと。
『……まあ、彼女たちとはいつかは決着をつけないといけないのですが置いときましょう。、で、なんでそんなことを』
未来への勝利のために。
よく考えれば分かる話だ。
敵を知り、己を知らば百戦危うからず。
時代を切り開くにはまず情報を。
情報伝達が、全ての勝敗を決めると言っても過言ではない。
ということで、情報収集をしているんだが、何か?
『なるほどっ! じゃあ、本音は?』
誰が好き好んで3対1で戦うか! そもそも1対1でも戦いたくないっての!
痛いのいやじゃん! そりゃあ『ユナイト』は強いよ? オレが言うのも何だけど。
でもな。痛いのはいやだし。ほら、前のチハヤとの戦いで、分かったんだけど。
戦うことは凄く体力いるのさ。明日の仕事にも差支えが。
ただでさえヒロシとの話はツッコミで体力使うし。
さらにマックスとか。何なの? ヤマトのやつらってああいうやつらばかりか?
変態であればあるほどめちゃくちゃ強いとか天才とか。
もしそうだったら、こんな異世界来たくなかった。チェンジだ! チェンジを要求する!
『まあ、……ノーコメントで』
……そういうわけで、面倒事は、例え『ユナイト』が強くてもごめんだ。
それに、なんだかんだ言ってあの戦闘員たち、面白そうなことやってるからもう少し見てみるか。
「そうなると、効能としては肩こり腰痛、リウマチに……美肌か?」
「あと、飲用もな。ただし、多量に飲用することで症状の改善が見込まれるわけではありません、と」
「さらに味の保障もいたしません、も追加」
真っ当な調査じゃないか、あれは。
願い事がかなう、よりかは真っ当だぞ。
特に研究資材とか持ってきてるわけではなく、スーツのまま入浴しているからスーツの能力だけでなくスキルの併用とみた。
「あとは、あれしかないんだが」
「パス」
「あ、俺も」
「いや、誰だっていやなんだけどさ……。任務だからなあ。一応俺らの上になってるあの子がまた色々言われるんだぜ……」
「「「はあっ……」」」
温泉に浸かって、悲嘆のため息とは……悲しいな。
それにしても、あれ、か。
予測できないが、ユーナは分かるか?
『温泉ぶち壊すとかは選択肢から除外できるけど……うーん。この話の流れからしたら、いやでもまさか』
まさか、って何? 何かあるのか?
「なんで温泉の効能を立て札作って書かなきゃならんのだ、俺たち」
……えー!?
っと、ユーナはやっぱり、って予測済みなのか。
まあ、確かに面倒だし。字が綺麗じゃないと、恥ずかしいものがあるよな。
そもそもそんな任務、面倒だよな。
「しかも毛筆手書きオンリーってのはどんだけ何を求めてるのかわかんねえ」
求められているのは温泉としての風情とか情緒だろうな。
まさかサインペンとかマッ○ーとかで書くわけにもいかんだろうし。
「で、立て札はある程度上質な木限定と来た……。山奥の温泉にマジで何を」
……あいつら、何もわかってないようだな。
これは言うべきか言わざるべきか。
お前らのボスは、温泉に風情と情緒、そして雰囲気を求めている!
「俺の知り合いで似たような任務やってた奴なんだけど、適当にバックれてみたら、その後、上司からボス直々の言葉でサボるなって来たらしいぞ。……まるで現場を見てきたかのように細かい指摘までされたとか」
「マジかよ、怖いを通り越して凄いわボス」
「会ったことないけどな……うわさじゃマッチョの老人で殺人拳の使い手とか」
「え? マジで! 俺の情報だとあの子と同じロリ系でしかも巨乳、でギリ合法とか」
「……いや、それはただの妄想じゃないのか? ちなみに俺が聞いたのはスライムとかタコとか何とか」
いや、全部ハズレだろ! 妄想だろ! 元ネタが全部分かるわ!
謎だらけかよ組織のボス。
名探偵の黒ずくめの組織なみに分からないことだらけじゃないか。
うっし。
こうなれば、あれでいくか。
伊達や酔狂で、日本にいたときに事務職でそれなりに電話対応やら来客対応とかしてたわけじゃないぞ!
というわけで、潜入捜査だ!
レッツラドン!
『はいストップ! レッツラドンは古いでしょうが』
止めるなユーナ! 奴らの情報を聞く機会だ!
って古いのはご愛嬌だ! 気にしないで!
『お風呂セットも何もないのに、しかも『ユナイト』のまま行ったら潜入もないでしょうが』
大丈夫。安心してください。
そんなこともあろうかと、お風呂セット戦闘用、もとい銭湯用は格納空間に準備済み。
そして、トランクスの水着も既に着用済みだ!
温泉には邪道かもしれないが、なあに。
もしかしたら水中戦とかあわよくば海水浴とか温水プールでの戦闘とかも考えてたときだったからな!
先人はこう言った。
備えあれば憂いなし! 我が生涯に一片の悔いはあれど!
『悔いあるんかい!』
人生生きれてば、未練なんていつもタラタラなんですよユーナさん。
っと、じゃあ、ミッションスタート。
ミッション名『さすらいのはぐれ異世界人がやってきた 秘湯編』!
ご意見ご感想、ご評価そしてブックマークなどお待ちしてやがらてますので、
張り切って適当に頂けるといいかもしれません、他人への合格祈願みたいに。
センター試験お疲れ様でした! ってこれ読んでる人で試験やってる人!
もうちょっとべんきょうしても、いいんだよ?(ユーナより)
ようやく、次回からはぐれ異世界人純情派 秘湯編が始まります。
嘘です。いい加減銭湯、じゃない戦闘を次々回くらいから……。
相手はまさかのあいつ、だと?




