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異世界で、変身ヒーローやりました。  作者: ヤガミタケト
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閑話 世界の平和と、白衣を守る者たちに

シングルベールシングルベール、ボッチで家掃除ー♪

今から思えば、オレは、とんでもないものを見てしまったのだろう。


深淵とは、まさにそれだったのだ。


覗いてしまったが最後。

覗き込まれていた。



この世に正義は星の数ほどあるだろう。

その正義たちは、悲しいかな、他の正義と対立し合い。

自身の正義を信じ。

他を悪と断定して、戦いを続けていた。


これは、正義に対立するのは形ある悪ではなく。


形なき、人の中に住む盲目的な正義であること。


そして、その盲目的な正義に立ち向かう、ちいさくてよわくて。


それでも、それは、とてもゆうかんな、幻想物語。




オレは、気づいたら、街並みにいた。


高層マンション。街路樹。カフェでお茶する人や、バス停で立ち話をしている女性陣。

突っ立っているオレを避けて歩く親子連れ。


車の通りだけはあまりないが、一体ここは、どこだ?


ユーナに確認をしようとして、ふと気づく。


『ユナイト』着てない。


普段着のままのオレ。いつ変身を解除した?


いや、太陽が昼ごろみたいに真上にあるって時点で、仕事はどうなった?


寒くもないが暑くもない、そんな世界に不思議がったオレを迎えたのは。



遠くのビルが音を立てて崩れ去った、その破壊の余波。

逃げる人の波だった。


だが、オレを過去の俺と思うなよ! 


瞬時にビルとビルの隙間に入る!

名づけて、ボッチ逃げの術! シャドウステルスオンリーワンとかでもいいが、どっちにしても寂しい。



数十分後。


喧騒が止んだ。

ボッチステルスを解除する、もとい、ビルの隙間からこんにちわ。


だ れ も い な い !

お母さん探すお子様とか、人波にやられて倒れてる人とか、脱ぎ捨てられた靴の片方とか。

最後は違うけど、それすらもない。

なんて逃げのよさだ! 本当に何にもない!


「ゲフゲフゲフ! 逃げなかった人間がいるとは感心だゲフ!」

声をするほうを見たが、よし。

すぐに見なかったことにしよう。


だって、基本人間のビジネススーツで、顔だけカエル。しかもややリアル。

つまり微妙にデフォルメ。


「うぉい! このカエル紳士怪人・ゲロリーが声をかけているのになんて奴ゲフ!」

「……語尾がゲフとは狙いすぎだろ」

ああ、こいつ。自己紹介までしたぞ。って怪人? カエルで紳士?

組織の戦闘員じゃないのか?

「何のことか分からんゲフが、我らカラフリィーズの実験体にしてやろうゲフ!」

どうやら組織のやつらとは違うようだ。

カラフリィー? そんな名前の組織の割には、変な怪人を作ったな。

少なくとも、語尾にゲフでは、カラフルさはないと思う。

それに実験体とか、よろしくない言葉も出たので。


よし、倒そう。人間じゃないから、すぐ倒そう。

ユーナ、ユナイドライバーセット!


……あれ?


ユーナ? ユーナさん?


はんのうがない。というかユナイドライバーもない。


あれ? 落としてきたかな?


「ん? 何で飛び跳ねたりしているゲフ? 逃げるならまだしも妙な奴ゲフね」

お前には言われたくない!

だが、やばい! ヤヴァイ! どーすんのオレ!


……いや、待てよ? ビルを破壊したのが奴でないならば、もしかして今のオレでも倒せるかも?


「少しは大人しくしろゲフ」

バス停の停留所にあったベンチを片手で持ち上げて、軽々と投げてきた!

さすがに威嚇だったのだろう。オレの後ろに落ちたが。


力については、少なくともオレよりかはある、と。

あああ、もう面倒だ! こういうときこそ、武器はないものか?


目線は敵に、気取られぬように斜め後ろに静かに退く。

周囲を見渡せるようにして、武器を探しながら、場合によっては撤退する。


ダスクプラウザー! ヒイラギ・クレナイ! ……デュエルバスターは使えないから除外ってしても、反応なしかよ!


使い慣れてきたダスクプラウザーはもちろん、試作のガンナー装備であるヒイラギとクレナイの反応もない。

武器の召還も不可か。


「あきらめない目ゲフね。奴らの仲間みたくイラつくゲフ」

正解。だが、正確には逃げるのをあきらめない、なんだが。

そして、どうやら奴らには敵対する奴がいるみたいだが、早く来てほしいものだ。

というか、来てくださいお願いします。


「やめろ! 怪人め! お前たちカラフリィーズの野望は俺が打ち砕く!」


キター! オレの後ろから、ようやくかっこいい口上キター!


と、オレの頭上を飛び越え、怪人にとび蹴りをかました!

ぶっ飛ぶ怪人。そして颯爽と着地する、イケメン。

赤いシャツに、白いズボン。髪の色も赤。

……? 地毛っていうのも珍しいな。


「あんた、大丈夫か! 後は俺にまかせろ!」

「ん? ああ」

そう言うと、赤毛の男はすぐに怪人に体を向ける。

オレは、ちょっと離れて見学モード。


「カエル怪人ゲロリーめ! 町や人をめちゃくちゃにしやがって! 許さん!」

「ちっ! 思ったよりも速かったゲフね!」

「ハッ! 俺のケミストリーは誰よりも速いんでね! 行くぜ、着……用っ!」


ケミストリー? 化学反応のことか? 間違っても歌手ではないと思うが。

って、赤毛の男の左手につけていた、腕時計が光る!

変身なのか!?


「燃えるぜ俺のケミストリー! 白衣イン! ブレイジングっ、ハート!!!」

収まった光。白衣とゴーグルつけた赤毛の男がそこにいた。


白衣?


「来たな、ブレイジングハート!」

「さあ、俺の最高の化学式でお前を反応させてやるよ!」

って、殴り合い蹴り合いが始まった。


白衣って言うと、ヒロシだが。

まさか白衣を着て変身とか、誰得展開だ?

いや、ヒロシは得か。


「くっ! オラ様のギガベロアタックを受けても吹っ飛ばない、だと!?」

「当然だろ? こっちは白衣を着てるんだぜ?」


いや、理由になってないぞ赤の人。

白衣は変身スーツじゃないはずだが。


「白衣は、汚れや危険から身を守るためにあるんだからな! だから、前ボタンもしっかり留めておくことで」

「なぬっ!」

華麗なる速さで空中胴回し蹴りを決める赤の人。

「防御だけでなく、スタイリッシュになる! 前をオープンにするってのは、社会の窓を全開、いや、白衣に対する冒涜だな!」

ぶっ倒れ、そして吹っ飛ぶ怪人を指差す。


赤の人! その怪人、白衣着てませんよー!

突っ込みたいが、水差すのもいやなんでやめとこう。


「さあ、化学式を書き終わろうか!」

超ジャンプ! っておい! 人のジャンプじゃないぞ! 『ユナイト』のジャンプ並みじゃないか!?

倒れたままの怪人に向けて、

「見せてやるぜ! 白衣の力! メテオエリクシールっ……ストライク!!」

高層ビル屋上近くの高さの空中から、七色きらめく炎を纏い、物理法則無視の斜め45度直線下降のキック!

「無念だあああああああああっ!」

そのキックを喰らい、怪人は叫びを上げ、爆発した。


え? 燃えるんじゃなくて爆発?

そもそも白衣の力じゃないよね? 化学式じゃないの?

と、突っ込みどころ満載。


その爆発を背にした、赤の人はというと。

白衣の襟を両手で掴み、軽く絞めてから、手を離し。

「地球の平和と白衣は俺たちが守る!」

ビシッ決めて叫んでいた。


どんな展開だ。



「大丈夫だったか、君!」

白衣とゴーグルの赤の男が近寄ってきた。

「……なんかすごいな、あんた。特に白衣が」

「おおっ! 分かるのかい! そう、この白衣こそ次世代、いや、新なる白衣と言っても過言じゃない!」

一回転。ターンを軽やかに決める男。

何? ジャ○ーズ? 歌って踊れるアイドルグループ?

「俺たちは、ハクイーズ! この世界の平和と白衣を守るために組織されたのさ! ちなみに俺のコードネームはブレイジングハート! 燃える化学式を白衣に秘めた男さ!」

サムズアップで歯が輝く。


いや、燃える化学式って、酸化還元反応じゃ。

燃えることで酸素が引っ付いて、酸化するってやつ。


……白衣に秘める必要がないな。


「ちなみに奴らは、カラフリィーズ。白衣を色彩豊かに染めようとする奴らだ。そのためならば、世界を征服することすら厭わない……。あのビルみたいに壊すことなんてお手の物さ」

遠くの粉々にされただろうビル、のあった先を見やるブレイジングハート。

って、面倒だから赤の人にしよう。


白衣を染めた時点で白衣ではないと思うが、もうほっとこう。


普通に自分たちで白衣を染めて、悦に浸っていればいいのに。

なんて思いも、別に言う必要もないだろう。


「もし、君も白衣の力が必要なら言ってくれ! 俺たちはいつでも駆けつける! それがハクイーズだ!」


もう一度サムズアップされる。

多分呼ばないぞ。むしろ白衣を率先して作る側が近くにいるからな。

それに、呼んだら次は戦隊もので来そうな気がする。

俺たち、だからな。

白衣戦隊ハクイーズ、か?


多分、化学・物理学・生物学・医学、あと何かあったっけ?

とにかく5人で来そうな気がするが……、変な考えはやめよう。


「じゃあな! とう!」

そして赤の人はジャンプ、ではなく走り去っていった。


取り残されたオレ。

「で、どうやってここから家まで帰ればいいんだよ」

赤の人が走り去ったほうを見ながら、呟く。


『マスター、お疲れ様でした』

ユーナ!?

『フハハハハ! どうだヒロユキ! 私の作った『体験型白衣戦隊ハクイーズ第一話』は!』

『ハカセからの依頼で、マスターに先行体験していただきました』

ヒロシ……! やはり貴様の仕業か!

『すごいだろ! 私も体験したが白衣のすばらしさをミクロン程度しか詰め込めなかった! くやしい!』

どうでもいい。心底どうでも。

『ちなみに次とかその次とかももう出来ていてな! なんと最後のヒーローは』

「ユーナ、仕事があるだろ」

聞く義理はないな。本当に焦ったからな。帰れないとか本当に。

『了解です。VRシステムを終了します』

『ちょ! おまっ! 私の解説、いや! まだエンディングテーマが』

あるのかよ、エンディング。



こうして、オレは、悪と正義と白衣が戦いあう世界から、帰還したのだった。

ユーナとヒロシには説教した。

さらにユーナには、ヒロシに変な方向で加担しないように、殺気入りで伝えた。



え? 続編? 体験は絶対したくないな!

ご意見ご感想、ご評価お待ちしております。


ようやく800PV近くなってきました。

ありがとうございます!(これが投稿されているときは800超えてません)


この回は書くのが楽しかった!

実はイブキの回よりも先に出来てしまった……!

イブキのほうが書き始めるのが先だったのに!!


あ、あと、白衣戦隊にはOPもあります。


つかめ 地球の平和

守れ 白衣の未来

白衣に秘めし 正義の心


と続いていきますが、全部は書けません。白衣愛が尋常じゃない(汗

……物語にしろ歌詞にしろ、続き書けという希望があれば、書き……いやどうでしょう?


本編は年末くらいに投稿します。

クリスマス? あ、ケーキを1人で買ってもなんとも思われない日ですね?


本編の予告としては、ライバルと書いて戦友と読む。

そんなヒーローがマックスに登場だ! MAX!(暑

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