28話 オレの愛しの、ってタイトルがジャックされ
戦闘? しばらくは日常に浸らせてください(by主人公)
さあ、君たちに最新情報をお届けしよう。
って君たちって誰? まあいっか。
チハヤとの戦いから、1週間過ぎて。
色々大変だったんだ。
……本当に色々と。
色々と、と言う部分。
話すと長くなるので、よし、話そう。
まず、ニューカマーの2人から。
イブキのほうからいこう。あんまり問題ないから。
まず、20代前半。童顔。高校生でも、っていうのは置いといて。
大学生で、やっぱり神職の資格取る勉強している、とのこと。
アルバイトも未経験。
実家で神職の手伝いしてるから、ある意味それがバイトだろう。
やっぱり巫女だけあって、家ともめた、らしいが。
そりゃそうだ。
喫茶店でバイトします、っていきなり娘から言われたら、親としてどう思う?
だが、チハヤの説得で、一瞬で送り出し決定。
さすがは神。神職の家系だから、神には従うよな。
と言ってみたら、イブキからは。
「チハヤ様の意見ですか? 基本通りませんよ? わがままですし、逃げますし、人間だったらニートですよニート!」
神の沽券、ないのかよ。何が、両親を動かしたのか?
いや、異世界でもニートって言葉あるのか。確認したら同じ意味だった。
すごいよ、ニート。異世界共通語だな。
まあ、ニートについては興味そそられるものがあるが、置いとこう。
両親を動かした点については。
「……え? えーと。あれですよあれ。社会経験とかそんな感じの! ええそうです!」
もうお気づきだろう。
絶対に違う、と。目線が空を舞い、最後に赤面。
その時点で、貴様の嘘はバレバレだ!
じゃあ、本当の理由は何? と思うがそれはやめておこう。
まともな人間がスタッフとして入る。そちらのほうが重要だからだ!
ちなみに、巫女服ではお店に来ないでください、と伝えたところ。
「あ、当たり前です!」
ありがとう、まともな返答!
で、今はというと。
私服と店のエプロン。アヤと変わらない、感じだな。
スカートは店として動きにくいのでNG。
髪も首の辺りでまとめてもらっている。衛生上、必要。
「「ありがとうございましたー!」」
アヤとのコンビもうまくいっている。
皿を割る率もアヤより少ないが、経験の差か、オーダー伝達にはミスがちらほら。
皿を割るよりは、費用上問題ないのだ。
間違いのオーダーの分は、まかないに行くわけなので。
皿はもう、買うしかないからね!
他、気になる点としては。
休憩時間に神様について話をすることくらいか。
ヤマトの神と日本の神の相違点を話している。
天照大神の天の岩戸に隠れた話についてが特にビビったのだが。
ヤマトでは、仕事に忙殺されまくった天照が1人でボイコット。
適切な労働時間と休憩時間とおやつ時間を求めて数ヶ月戦い抜いたのだとか。
信じられん。と思ったが、チハヤからも間違いない、ということで本当の話だったようだ。
なんだかまだまだ色々な話がありそうだ。興味がある。
と、たまにヒートアップして休憩時間がなくなることもある。
今度、休みのときにイブキの神社に行ってみようかな。
「イブキ、お疲れさん。厨房で一休みの後、また頼む」
「はーい!」
フロアのイブキに声をかける。
最初は、苗字で呼んでいたのだが、さくらおかさん、と言っていた、のだが。
問題が2つ。
チハヤの苗字も桜丘、となっていること。美容院とか店の予約も桜丘チハヤ、だそうだ。
なので、さくらおかさん、と呼ぶとチハヤも来る。
そしてもう1つ。
「その、わたしのほうが年下なので、……イブキでお願いしたいんですが」
人を呼び捨てにするのは気が引けるんだが。
え? ヒロシ、アヤはある意味人外。というか変態。
チハヤに至っては人ではない。
なので、まともな人には礼儀は払う。
せめて、イブキさんで。と伝えたんだが。
「じゃあ、わたしはヒロユキ、って呼びます」
黒川さん、よりはいいと思う。が、待て。年下の女の子に呼び捨ては、なんだかなあ。
せめてさん付けで、とお願いしたら、イブキをいつの間にか呼び捨てで、となった。
あれ? なんでこうなった? と思ったが後の祭り。
ちょっとはうれしい。下の名前プラス敬称で呼ばれることについて、だが。
……今までまともな女の子に下の名前で呼ばれたことがないとかそんなのはないぞ。
……すみません。人生で一度も呼ばれたことないです。
「あれ? 新作ですか?」
「ああ、まだ試作でね」
透明なグラスに入っているのは、透明な炭酸飲料。
下には真っ青な液体が薄く揺らいでいる。
あと、そのコップのふちに、今回は6分の1カットのオレンジ。
それを3つ、厨房のそばの簡易休憩場所に用意してある。
ただのいす3つと小さいテーブルを置いてあるだけだが。
「ストローで軽くかき混ぜてから飲んでみてくれ」
「はーい。……あ、微炭酸の、えーと、ベリー系の味わいですね」
正解。3種類のベリーを組み合わせて、青色を作る。
そして、隠し味にレモン。
それを微炭酸のサイダーで割る。
夏用に作ってみたが、別に夏限定にしなくてもいいかな、と。
オレの中の開発コードは『スカイベリースパーキング』。
ただ、炭酸を強くすると味わいが薄れるので、微炭酸へ変更。
商品名は『トライベリーソーダ』とでもしておこう。
店で出すなら、だが。
「フフッ」
「ん? 何かあったか?」
「あ、いえ、ヒロユキさんって本当にずっと『ユナイト』着てるなあって」
ああ、そういう視線ね。
黒の戦闘服を身にまとい、行うことは料理。
確かに珍しいだろうな。オレもそう思う。
「正義のヒーローが変身前は普通に仕事、とかは分かるんですが、なんだか面白いなあって」
「まあ、変身後も普通に仕事してるからなあ。戦いじゃなくて、料理だけど」
戦闘も料理も、仕事は仕事だ。
かなり仕事内容にギャップはあるが。
という感じで、イブキとはそれなりに良好な関係だな。
そしてもう1人……の前に。
『マスター! イブキといちゃつかないで私といちゃついてください!』
AI……ではない。
先日、名前をつけたので、そちらを呼ばないといけないな。
『ほら、私はちょっと不機嫌なので、次の言葉を言ってくださると機嫌が直りますよ? リピートアフターミー、オレの愛しのユーナたん』
「……ユーナ。仕事をしような」
『ぐぬぬ』
AIもといユーナ。
もともと自己進化により自我を萌芽させていたところに、チハヤが戦いの功績とかなんとかで、加護を与えた……らしいが。
そしたら、進化どころかなんというか神と機械の融合みたいになった。
面倒なので神化と書いて、しんか、と読もう。
神化AI、ユーナの誕生である。
基本性能がもう跳ね上がりすぎてよく分からない。
ただでさえAI大先生だったのに。
「ユーナはヒロユキさんのパートナーだから、いいねー」
イブキのお決まりのフォロー。棒読みっぽいが、……これが効果覿面。
『……そう! イブキ! いいこと言いました! 私はマスターの公私共に愛されるパートナー!』
だが、どうしてこうなった?
ご意見ご感想、ご評価などお待ちしております。
神化AIユーナさんに、タイトルをジャックされそうになりました。
さすがは神、作者にまで影響を……っ! なんて子!
次はチハヤとユーナがメインになります。
さらにその次? 白衣が勝利の鍵になりますよw




