27話 集まる! 混沌と募集中
オレは、喫茶店の料理担当だ。
ならばこそ、担当には全力を尽くす。
思い出せ。『ユナイト』で培ったのは、体の動きだけじゃない!
コンマ数秒での温度、湿度、その他多くの環境要素。
出来上がる、料理の最適状態への、最適解。
客に満点を貰う前に、自身での満点を取れる最高の答えを!
「じゃが、ヒロユキ殿は、異世界人なのじゃよ……。ヤマトの人間ではない」
「え……。じゃあ、犯罪者じゃ」
「と思うじゃろ? ところが、ヒロユキ殿は奴らの悪行と戦うヒーローなのじゃ!」
「……あー。チハヤ様、拳で語ったってやつですか?」
……よし。ここしかない!
そう! これが、オレの、答えだ!
急須から満遍なく、二つの湯飲みに交互に注ぐ。
湯飲みも、大福を置く皿も。適温に暖めてある。
大福もセット。
……お茶も、完璧に注いだ。急須のお茶は注ぎきらないのがポイントだ。
いざ、出陣!
「で、消えそうになったわしを、ぶっきらぼうじゃが優しい言葉とその思いで救ってくれた……。敵であるわしを! お姫様抱っこもして! 傷ついてぼろぼろなのに!」
「……それは……」
「……異世界人とか関係なく、惚れる」
「わたしも惚れる、うん」
「すまん。客にお茶も出さないとは失礼した」
「「だわわあわわわわわわわわわあ!」」
うお! なんだこのシンクロは!
声だけじゃない。赤面ぷりも、動きも。
左右確認後、しゃがみ、立ち、腰掛けるとみせかけてもう一度しゃがみ。
立ち、腰掛ける。
そして、突っ伏してから、ゆっくりと顔を上げる。
人の出来る最大速度で、だが、完璧に同じ動作。
「「何でもない何でもないですよ」」
それをされた方は、確実に何でもないわけがない、と思う。
「いや、まあ、……粗茶ですが」
何を喋っていたかは、よく分からないが、シリアスは終了していたからよしとしよう。
それよりお茶と大福ですが、どうでしょうか?
……。
ああ、まあ。結果論としてはいいんだが。
うーん。何と言えばいいんだろうか。
一口と一気で終わった。
おかしいな? なんだか、よく分からないけど、悲しいんだ。
上を見てないと、何かが目から流れそうで。
いや、そうやって男は強くなるんだ。
そうさ、そうに違いない。
……ちきしょー。
「なにやら、渾身のおいしいものがある、そんな気がして私が来たっ!」
「続いてあたしもキター!」
厨房からカウンターに、来てはいけないややこしいのがー!!
たそがれることすら許されないのかオレはー!!
「あ、マスターさんとウエイトレスさんだ」
「む、確か君は常連さんの」
「イブキちゃんじゃん。……巫女服って相変わらずのお手伝い?」
「なぬっ! 科学の天才である私にとうとうそちらの方面までお誘いが!? では早速この白衣を」
カオスっぷりが半端ないぞ。
「巫女服の上に白衣……とは、斬新じゃの! わしは」
「イブキちゃんから聞いてます。その桜色の着物から、一応神のチハヤさん?」
「『一応』は余分じゃ!」
「な、何だってー! 神まで私の白衣と科学を所望するか! やべぇ、私が余計に天才に見えてくる」
白衣も科学も所望されてないぞ。
そもそも、ただの自己紹介だ。
ああ、混沌が……。
「そういえば、『ユナイト』はどうしたヒロユキ? ってやべっ」
「この2人なら、正体については問題ない、問題はないが」
ヒロシ、お前も口が軽い!
だが、いい機会だ。
この混沌を打開する、最良の一手!
「『ユナイト』は修理中だ。神様との戦闘でぶっ壊れた」
「何を言うかヒロユキ殿! わしのことはチハヤでよいと」
だまれ駄目神。混沌を這いよらせるんじゃない!
珍しくヒロシが沈黙しているんだから。
固まっている。しかもシリアス顔で。珍しい。
「なん……だと……」
前もこのやり取りあったような。
「ヒロユキ貴様……っ!」
「勝ったことは勝ったが……、神相手だったからな。すまない」
近い。そして静かな、だが、確かに怒っている。
胸倉掴まれるのも時間の問題って状態だな。
「貴様! この喫茶店を巫女神喫茶にするつもりかっ! ここは何があろうといつか白衣喫茶にしようと心に決めているのになんてことを!」
「……」
平常運転だな。面倒なくらいに平常運転だ。
って初めて聞いたな白衣喫茶。
需要があるとは思えないほどの端っこ産業だな。
……いや、趣向を凝らせばいけるのか?
そんなことはどうでもいいか。
「あ、外に超合金5段変形白衣が」
「マジか! ちょっと見てくる! やっべえ! 何それっ!」
ちょっと見、くらいでもう外にいるんだが。
凄いな、超合金5段変形白衣。何だがよく分からないフレーズだが。
「ま、ハカセはいいとして、あたしはそんなのじゃ納得いかな」
「アヤ、お前もヒロシに呼ばれてたぞ、手で」
「マジで! ちょ! ハカセ! すぐ行きます! 待ってー!」
すごいな、ヒロシ。アヤもちょ、の時点で外にいたぞ。
とりあえず、混沌の原因は処理して、と。
「あやつら、ヤマトの人間のはずなんじゃが、異世界人すら超越してる気が」
「あれくらいのバイタリティがないと喫茶店のマスターとかはできないんじゃ」
残された神と巫女は、なんだか深刻な様子。
仕方ない。
この話はヒロシからして欲しかったが。
オレが言ってもいいだろう。
ヒロシの希望は朝と変わらないだろうし。
そもそも今のヒロシが言える状態でもあるまい。
それに、オレの正体がばれているっていうのも、ちょっとある。
だから。
「唐突ですまないが、2人とも。ここでバイトしないか?」
--ヒロイン枠と言う名の、人手不足解消を図ることにした。
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先日、休みだったときに一気に書こうとしてたら、
・童話ネタがおりてきた
・違う話のプロットがおりてきた
・咳のし過ぎで、意識が混沌に巻き込まれた
という影響にて、筆が鈍足の領域に入りました。
また頑張ろう……。




