23話 その言葉には、続きがある
注意:主人公の心の闇がちょっと出てきます。心理的に受け付けない方はすっ飛ばしてください。
相変わらずのでたらめ速度。
正直、交わすだけで精一杯なところ。
ダスクプラウザーの白刃形態のオンオフをうまく切り替える。
とっさに、ハイキックを黒の状態で受け流す。
これで、切れたり切れなかったり。
っていう騙しを時折混ぜて、それでも防御で手一杯。
正確には、防御ではなく回避だけだ。
攻撃くらったら、ひとたまりもない。スペラン○ー状態とも言う。
さすがに段差が1段違うだけで死ぬ、ってことはないが。
隙の少ないパンチの嵐を、剣でこれも受ける。途中、白くしてみる。
……勘が鋭い。距離を置いたな。
とにかく、相手に遠距離攻撃がないのが救いか。
かめは○波とか出されたら、いろんな意味でまずい。
世界観的にも、戦っている自分自身にも。
あと、もう一つ。
オレのスキルについては、試しているが、不発。
東京特許きょきゃきょきゅとか、なまむぎなまごめにゃまたまごとか。
恥ずかしいが試したんだ。
やれることはやったんだ。
この結果が、これだよ! 恥ずかしいままで終わったよ!
神もAIも特に何も言わなかったからいいけどさ。
スキル発動については、もうやれる限りはやった。
……後、何が足りないんだ?
死ぬ気とかそんな感じか?
でも、それってどうやって? 今、これ以上なく、やばいんですが。
とりあえず、今持っているものを確認する。
ダスクプラウザー:剣。
デュエルバスター:銃、大型。多分だけど対戦車ライフル。
ナンブ貫通弾:弾丸。硬い速い威力がすごい。貫通します byヒロシ。
マルチオールアタッコ弾:弾丸。面制圧にお手の物。散弾。後片付けが大変なので注意 byアヤ。
ハイパーノイズ弾:弾丸。またの名を空砲よりうるさい弾。戦いは威力より音だよ音! 偉い人にはわからんのだよ! byヒロシ。
これは、ないな。もう何もない。特に最後! どこかの機動戦士の人が混じってるよ!
こんな説明は必要ない。
まさか、あいつら。
実は、武器とかに説明をわざわざAIに登録してるんじゃ……。
『予測どおり、してますよ』
どうやってるんだか知らないけど、いらない!
あいつらやっぱ変! おかしいよ!
……今、それを言ってもどうしようもないことは分かっているんだが、つい。
ダスクプラウザーの白刃形態はスーツの機能で、というか『ユナイト』の空間固定によって、時間延長をしているのだが、今は機能不全。
休憩させないと、スーツそのものがやばい。
これも、奥の手だったんだが。
使っても、時間稼ぎ程度か。
オレの目的はぶっ倒すことであって、ぶっ殺すことではない。
神殺しとかいう、中二病めいた呼び名は不要。
むしろ、殺し、の時点で基本的には汚名だ。
あえてかぶる必要も、時にはあるだろうが、今じゃない。
よし、奥の手その2。
『了解しました。オートアタック、ブロック重視にて行動制御します』
いわゆる自動戦闘だ。
オレという中身が動くのではなく、スーツという外がオレを動かす。
本来なら、オレが気絶したなどの動けないときに使う、救急避難のためのシステムだ。
それを、オレは攻撃に使えないか考えていた。
肉じゃがを作っているときに。
考え事をするときに、他のことをやっているとうまく考えられないことがある。
だが、自分しかやることが出来ない場合、どうするか。
という考えからの、オレのアイデア。
オレは考えて、AIが動かすという、本来とは逆の役割をやる、という考えに至った。
肉じゃがが出来上がったときに。
AIのできない思考をオレが行うことで、解決策を生み出したり、視界を自由に動かすことで、より広範囲への注意も出来る。
AIについても、優先行動さえ指示すれば、問題なく動けた。
オレよりも無駄がないのは、そりゃあAI大先生だからな!
ちなみに、肉じゃがにこだわるわけじゃないが、ヒロシとアヤに即効で食われた。
オレは食べてないぞ……。その後、食材は余分に補充を要求した。武力で。
さて、考えることは一つだ。
晩ご飯、ではなく、自分の覚悟だ。
多分、スキルの発動について、最も鍵になるのはこれだろう。
大切なものを守る。
そのための犠牲なら、かまわない。
自分すら、犠牲にしてでも。
いや、もっとだ。
仲間と他人、どちらが大事だ。
命の重さは、本当なら変わらないだろう。
だが、主観があるなら全て変わる。
命の重さも、価値も。
仲間を救うためならば、他人を犠牲にする。
正しい、が。これじゃない。
もっと、単純でいいんだ。
何が欲しいのか。何がしたいのか。
命とか、犠牲とか、守るとかじゃない。
もっと、簡単で、陳腐かもしれないが。
そう。我がままでいい。
好きなもの。
嫌いなもの。
いいもの。
わるいもの。
自分と、仲間のためにやること。
それくらいでいい。単純なほど、何も立ち入らせない。
ただ、迷いも大事だ。悩むのも大事だ。
そういうのを経て、より強くなれるのを知っている。
スキルとか力とか、そういう上辺のものじゃない。
自分という、精神。内面のものだ。
自分が自分として、存在するための、唯一の--、明確たる意思。
だから。神様。
あんたの入り込む余地は、ない。
いつの間にか閉じていた、目を開ける。
暗い世界は、青色の空と黄土色の大地。申し訳程度の草木へ。
そこに目立つ、桜色。
「……神様。次でおしまいにしよう」
『ユナイト』に距離を取らせる。
同時に、AIから制御を委譲するように促す。
「ぬ? 変に洗練した動きのわりに、普通にしゃべるのか」
ダメージも息切れもないか。
こっちは制御委譲完了。ダメージはそれなりにあるが、まだまだいける。
『こちらはまだ時間稼ぎは可能ですが』
いや、こちらに分の悪い時間稼ぎはもういらない。
それに、ここから先は、傍観者になってもらう。
休んでてくれ。
『言葉の意味が不明です』
……神に論理は不要だってことだよ。
ここからは、オレがやる。
ありがとう。
「よいのか? 最後の策とやらは」
「一応、策ではないけど……。これからの一撃にあんたがぶっ倒されたら、負け。それ以外はオレの負けで」
「ほう。……面白い! 勝ったほうが、負けたほうの言うことを聞く、というやつか! いいぞ!」
即決か。ありがたい。
こっちも、この状態が、いつまでもつかは分からない。
「じゃあ、行くぞ! アールインパクト!」
「な?」
『は?』
距離は100メートル以上離れている。
AIも声を上げたくなる行動。
アールインパクトは接近戦の、ただ、ぶん殴るだけ。
その言葉を意味する行動の通り、右拳を、何もない、空間にぶちかます。
だが--、
「……ヴィラ・コンテ!」
そして、拳に突き動かされた空間が、動き出す。
ご意見・ご感想などお待ちしております。
アクセス数のユニーク数が600超えました。ありがとうございます。
作者は今日が誕生日です。誕生日プレゼントと思って喜びます。
ようやく、アールインパクトの派生技(?)が出てきました。
主人公のスキルなんですけど、正体は女神戦後に。
あと2話くらいの対女神戦になりますが、よろしくお願いします。




