22話 限界を超えてでも、求めるもの
そういえば、オレ、AIに何を感謝されたんだろうか?
むしろ感謝しないといけないのは、オレだ。
もし、AIがなかったら。
喫茶店の経営が破綻する。
料理が作れないし、天才かつ変態たちの相手だけではオレがつぶれる。
異世界人との戦闘?
それ以前の問題だ。
AIがいてこそ、充実した今のオレがある。
よし。
つまりやることは。
AIに感謝しながら、目の前の馬鹿神もしくは駄目神、駄女神を倒すことだ。
AIの、いいかどうか分からない現状の傾向については、後から考えよう。
「よく吼えた! ならばいくぞ異世界人!」
「……速いな」
スピードがさらに増している。
あと、ダメージからの復帰も早い。
さすがは神。なんともないぜ、っていうやつか。
「せやあっ! そいっ!」
この掛け声にだまされてはいけない。
接近後、急停止。
フェイントかまして、背後を取られたと思ったら、裏拳。
下段足刈払い、アッパー。
さらに、回転しながら、手刀と足払いを繰り出してくる。
掛け声よりも、攻撃のほうが早いので、騙されるとフルボッコだ。
「はいなっ!」
で、あの突進タックル。
のように見せて、オレのアールインパクトによく似た腹パンチ。
いや、多分だが、アールインパクトのほうがパクった感じがする。
威力が段違い。喰らってわかるその威力。
結論から言おう。
反撃なんてできませんでした。
ダスクプラウザーで受けたり流したりはしたけど。
最後のあれ。
あえて吹っ飛ぶために後ろに飛んだけど、なに、あれ。
『腹部への被害甚大です。身体への影響までは防御しましたが、スーツの防御機能低下』
うん。よく分かる。
なにせ、オレは青空を見ているのだから。
大の字に寝ているとも言う。
気づいたら、寝てました。
いや、気絶してたのか。
AIからの情報から、オートで受身は取ったが、かなり吹っ飛ばされたようだ。
ダスクプラウザーは握ったまま、っていうのは訓練の賜物だな。
『腹部箇所に、同様の攻撃を受けた場合、身体への甚大な影響が予測されます』
こういう場合、何かないものか。
やっぱり、必殺技か。
いやいや、超進化か。
待て待て、やはり新しい武装とか何かかな。
……あったらどんなに楽か。
今、ヒロシとアヤがいたら何か作ってくれるかもしれないな。
心の中で土下座でもするから、あいつを倒せる何かをください!
って、だめだ。あいつらに心の中であっても土下座なんて。
考えの末期症状か。
仕方ない。推測で動くのは問題だが、やられるよりはましだろう。
それに、この推測が正しいなら、オレのスキルである可能性が高い。
多分だが。
オレのスキルは、言葉をかんでしまうと発動する。
そのスキルは、多分『相手の能力を無効化』することになると思う。
なんだか主人公っぽいな、このスキル。
ただ、意図的に言葉をかむのではなく、偶然かむことによって発動すると思われる。、
途端にかっこ悪く見えてきたなこのスキル。
とりあえず、早口言葉を言えばどうにかなりそうだな。かっこつかないけど。
計画としては、相手の神的な力をオレのスキルで無効化。
その後、『ユナイト』の全力でぶっ倒す。
もしくは額に「にく」って書くか、それか背中に「負け神」って紙でも貼るか。
『マスターのスキルも不明確な上に、具体性のない戦法では不安要素だけしか見えません』
さすがAI先生。正解。
そこなんだよね。というか、勝つ要素がなく、負ける要素しかない場合。
どうあがいても負けるしかないわけで。
やけになって、確率も何もない不確定要素を全部入れてしまえば、どうなるか、というところなんだけど。
うーん。駄目な戦い方だな、と思う。
ただ、今は本当に四の五の言ってられない。
ありとあらゆる可能性を出して。
奥の手云々とか出し惜しみはせずにしないと。
死ぬ。とはいかないまでも、再起不能か。
いや、『ユナイト』が壊れて、ここに残されたら、どっちにしろ死ぬな。
それだけじゃない。失うものが多い。
多すぎる。いつの間に持ってたんだろうな。
……ああ、ヒロシが言ってたことってこれか。
ヒロイン枠はいらないが、守るものがあれば、っていう話。
……ちっ。あー、もう。
これは、うれしいな。
ヒロシに言われたことが正しいってのは悔しいが、それ以上に。
守るものがあれば強くなるって言うのが、本当であること。
天才で変態だが、あいつらは、守るべき仲間だってこと。
『何故、笑顔なんですか?』
……全く、ピンチなのにな。
あと、AI。答えは、誰かに笑えばいいと思うよ、とか言われたことを思い出したからだ。
ごめん、嘘。
よし。天才たちと違って、オレは馬鹿だから。
守るべきもの、守りたいもののために、愚直にやってみるか。
空を眺めるのは終わり。
ゆっくりと立ち上がる。
「まだやるとはな……。そのまま寝てればよいのにな」
空から落ちてきた神が、降り立つ。
ったく。日本の戦闘力がインフレ傾向にあるバトル漫画みたいなことを。
ただ、シュィーン、みたいな降りてくる効果音がないのだけは、やはり現実か。
「あいにく、目覚めはいいほうなので」
嘘です。AIの目覚ましで起きれるだけです。
「寝たおかげで、色々策は考えたので、次はやれるかな、と」
嘘です。全くの無策です。
「ほう。ダメージが残る体でできること、ねぇ」
「そちらこそ。それなりのダメージは有りそうだし、ハンデってことで」
嘘です。こっちのほうがダメージ甚大です。むしろハンデはオレにください。
「吼える口は達者、か」
「これから、腕も達者にいきますので、……覚悟してろって」
さて、ハッタリと出たとこ勝負の第2ラウンドといくか!
無策なんだけどな!
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ようやく女神戦もクライマックス。
あと2~3話くらい続きます。
無策のヒロユキの戦法と、未知のスキルにご期待ください。
AIに頼りっぱなしではないです!
むしろ自分が頼りたいw




