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異世界で、変身ヒーローやりました。  作者: ヤガミタケト
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16話 いい加減に、足りないもの

さあ、今日も今日とて仕事だ。


大地のスキル持ちの戦闘員は、しばらくの後、他の戦闘員に担架で運ばれていったことが、ニュースで出ていた。

パワードスーツの誤作動の可能性か? などとテロップが出ていたようだが、喫茶店は平常運転。


さすがにオレも道やビルなどは修復できない。

『ユナイト』ならできるのだろう、が。


『可能ですが、時間がかかるためお勧めできません』


という機械音声での案内。

個人的には直したほうがいいんだろうが、ヒロシからは、

「ヒーローが土木作業やっている姿を見て、どう思う? 私には耐えられん!」

いや、別にいいんじゃないだろうか。

困っている人の味方=ヒーロー、ならば。


と言おうと思ったが、やめた。

作業中、ヤマトの人たちに、同じ異世界人と勘違いされて、攻撃されたら、凹む。


うん、辛いそれ。


ただ、店は平常なんだが、外はそういう事態のため、閑古鳥。

昼ごはんにはありつけたのが救いだ。


今回は、茄子肉味噌パスタ。和風パスタの中ではいけるものだと思っているが、喫茶店で注文するやつでもあるまい、とメニューには入れてない。

注文されれば作るが、需要する客層が分からない。


「しかし、及第点ではあるがよくやった」

「貫通弾じゃないのがポイントダウン」

科学者の2人からは、それなりに辛辣な評価。

あ、パスタのほうじゃなくて事件解決のほう。


料理の評価まではやつらにはされたくない。

アヤは「うまい」もしくは「まずい」。「甘い」「辛い」という端的になる。

ヒロシは、食レポでもやったらいいんじゃないか、という感じになる。


まずは黙って食え。


「で、2人とも。そっちはいいんだが、戦闘員との会話は聞いてたんなら確認したい」

「ああ、一部始終確認してたぞリアルタイムで」

アヤの食事スピードは遅いので、ヒロシだけが答えている。


アヤは……、ええい、口に含みながら頷くな。味噌ソースが飛ぶだろうが。


「なら話は早い。異世界人のスキルって何だ? オレにもあるのか?」

「あ? そっちか。残念ながら私は知らんぞ。あるらしい、とまでは知っていたがな」

「じゃあ、発現方法とか」

「全く分からん。今まで見てきたやつは何かしら出てきたから『なんか出ろ』くらいで出そうだがな」


うーん。嘘は言ってないと思うが。

ものは試しか。


なんかでろー。


出ないですね。ええ。分かってましたが。


『ヒロユキから周囲における特異的空間変調は見られません』


AI、ありがとう。個人的には悲しいけどね。


ただ、もしやまさかと思うが。

「オレが『ユナイト』になれるのがスキルとかじゃないだろうな」

「んあ? 面白ジョークだな。それは断じてない。変身については、全てユナイドライバーでの対応しか出来ない。また適合者の探し方はスキル云々ではなく、空間波長が--っと、いわゆる先天的な波長が合うやつを探しただけだ。そいつについてはユナイドライバーでも検索可能だ。ちなみに日本人ヤマト人だけでなく海外の人間や犬猫などの動物でも調べたが、適合率がどれだけ高くても90%くらいだったしな」


ちなみに、ヒロユキは文句なしの100%。これはもう、なんだ。見つけたとき、感動した。

それ以外の適合率のやつは、モルモット実験で空間のねじれというか、ゆがみが発生してミンチ死だ。


って、コーヒーを飲みながらさわやかに話しているが、さわやかじゃない。


「じゃあ、空間を自在に操るとか」

「それもない。というか、今、ヒロユキ自身が試したから分かるだろ」

AIの声が外部通達になっていたからな、と言うが、オレもそんなスキルじゃないことは分かっていた。


じゃあ、何だろうな。今までそんな予兆もなかったからな。

もしや、料理がうまくなるとか……でもなさそうだし。


「それよりも、重要なのがあるだろうが」

「……あったか?」

ないと思うが。


戦闘員との会話で出てきた組織の実情とかは、ヒロシは知ってると思うし。

『ユナイト』のスタイルチェンジは、そもそもスーツの作成者がヒロシだ。

機能はなかったかもしれないが、推測は出来るだろう。

他、他、ほか、何かあったか?


「そう。ヒーローといえば、ヒロインそして戦う強い理由だ!」

「戦いたくないので不要だな。あと、ヒロイン枠はオレは募集してない」


3回くらい撃沈するともう、なんか、年のこともあって、欲が失せる。

彼女? いればいいかもしれないが。そこまでになるな。

草食系? 何とでも言え。大体の日本人はそんなものだ。

恋愛とは一種の感情的疾患、と言う人もいるからな。そうなると結婚とかは病気の末路だ。


「……うん。全く重要じゃないことが判明した」

『戦闘効率を妨げる不安要素は不要です。ヒロシの意見には否と判断します』

ほら、AI様も言ってみえるだろう。これで2対1だな。


「待て待て待て! 私にも根拠があって言っているのだ! 話を聞け!」

ちっ。民主主義による多数決を覆そうとするのか。

やるじゃないか、ヒロシ。

では、聞かせてもらおうではないか。圧倒的根拠とやらを!


AIがオレの意見に同意しているから、ちょっと大きい態度ができる。

ハッハッハ。


「まず、誰かを守るという気持ち! これは重要だ。仕事ではやらされている感じ、ということで自らの意思が発揮できず、流されてしまう。だが、これが明確な目的からの自発的行動ならば、人はいくらでも力が発揮できる。私はそれを信じている」


おお。なんだかかっこいいな。科学者っぽくはないが。


「正義や悪などは個々の価値観だ。だが、誰かを守ることや強い意志を貫くことは価値観ではない。自分で決めたことだ。ならば、何かの責任や一時的な感情ではなく、自分自身の意思で目的を叶えるために、人は生き抜くことが出来るのだ。例え、悩み惑い苦しんだとしても、それすら切り抜ける」


演説になってきたな。ただ、……言わんとしたいことは分かる。


「その意思はどこから来るのか。自分自身の中でしかない。だから、ヒロインという環境的な要因。そして守る、という自発的要因を組み合わせることで、自身が生み出した意思を相乗的に強化し確立するのだ」


ちょっと科学者っぽくなった。言いたいことはわかった。

分かったが、オレには両方とも欠けていることは知っているだろうに。


「というわけで、次の課題は「ヒロインを探せ」だな」

「却下。一気に俗っぽくなったな」


アイドル発掘じゃないんだから。

ヒロイン登場、なるか。

……あれ? 作者の様子が……(ぇ

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