第7話 領地に到着ー!
魔王城からインコルトに移動する馬車の中で使い魔に名付けをしようとしていた。
使い魔だから、私が呼びやすくて、使い魔っぽくて可愛い名前もがいいよな。
英語だと使い魔はファミリア。でもそれだと長いし、ちょっと呼びづらい。
う〜ん、ファミリア、ミリア、リア⋯、リア!
「よし、貴方たちの名前はリアにするわ!」
「わお〜ん!」
リアは黒い犬で中型犬ぐらいの大きさだ。
すり寄ってきては撫でることを要求してくる。
人懐っこくて可愛い奴らだ。
精神的に疲れた心を癒してくれる。
インコルトまでは魔王城から馬車で約3日かかった。
その間に変化魔法を取得した。
母さんが言っていたように、変化魔法を使ったらリアと分かれることができた。
自由自在に変化できるので私にとって好条件だった。
ただ本当、馬鹿みたいに全身が痛いのだ。
痛みなんて頭痛ぐらいだろって舐めていた私が馬鹿だった。
これ、超絶辛いわ。
頭痛のあと、身体全体を焼き尽くすような痛みが襲いかかってきた。
治癒魔法をかけると、だいぶマシになった。
でもこれがずっと続くのか⋯
いや、待てよ?
寝るときだけ実際の姿になればいいじゃん。
それなら楽だし。
うん、これで行こう
あ、でも事情を知らない人に見られたらまずいか⋯。
幻影魔法も取得して練習しておこう。
それから3日。
幻影魔法を使いこなせるようになったころ、インコルトに到着した。
明日、領主就任式があるので街は賑わっていた。
しかし裏路地には貧民が倒れていたりと治安が少し悪い。
衛生状態も悪いし、表立った産業もない。
でも和やかで優しい雰囲気だった。
屋敷に着いて御者に挨拶を済ませるとメイドのような人が出迎えてくれた。
「ようこそおいでなさいました、ウミ様。ディアボロ様からお話を聞いております。私の名はルズナ。こちらの屋敷でメイド長を務めております。何かございましたらなんなりとお申し付けください」
ルズナさんは翡翠色の瞳で綺麗な髪を後ろでまとめてお団子にしている。
ぱっと見19歳ぐらいだろうか。
これからたくさん話しかけて仲良くなりたいな。
「こちらこそよろしくお願いします。ルズナさん」
「さん付けではなく、ルズナとお呼びください。貴女様はこの家の家主ですので敬語は不要です」
「あ、はい!これからよろしくね、ルズナ」
「はい。ではお部屋へご案内いたします」
ルズナに案内された部屋は綺麗でとても広々としていた。
「今からウミ様付きのメイドを呼んで来ますのでくつろいでお待ちください」
ルズナが部屋から出ていく。
私がこの部屋に住んでもいいのだろうか、と思ってしまう。
まず、広い!とにかく広い!
そして全てが豪華!ベッドに天蓋もついているし。
ウォーキングクローゼットを開くと何着ものドレスやアクセサリーが置いてあった。
「ひえぇー、私なんかが着てもいいやつなの?めっちゃ不安になるんだけど」
そんなことを言っていたらドアをノックする音が聞こえた。
慌てて出迎えると、ルズナの隣には赤毛で三つ編みツインテールの少女が立っていた。
「これからはに私の隣にいるカズナがウミ様付きのメイドとなります。必要なことがありましたらカズナにお聞きください。では、失礼いたします」
ルズナは私とカズナを部屋に残して仕事へと戻っていった。
カズナとルズナは少し似ている。
姉妹なのかな?と思っているとカズナが話かけてきた。
「あ、あの!よ、よろしくお願いします。ウミ様」
めちゃくちゃ緊張してる⋯。
こういうときは第一印象が大事なはず!
「よろしくね、カズナ」
笑顔で挨拶してみた。
すると緊張でこわばっていたカズナの表情が自然と緩んだ。
「っ⋯はい!では今日の予定についてお話しますね!」
この後、湯浴みをしてもらい、ドレスも着させてもらった。
「ありがとう、カズナ。私ね、湯浴みを丁寧にしてもらうのも、ドレスを着るのもほぼ初めてなの」
「いえ、メイドとして当然のことをしたまでですから。ウミ様、1つ質問してもよろしいですか?」
「ええ、いいわよ。なんでも質問して。私もカズナのこともっと知りたいから」
「ありがとうございます。ウミ様は魔王様方の姫様と聞いております。どうして湯浴みをされることや、ドレスを着ることが初めてなのでしょうか?」
そっか、ルズナはディアボロ伯爵から全て事情を聞いていたけれど、カズナはある程度しか知らなかったのか。
「私はね、別の世界からブライアン王国によって召喚されたの。私の故郷ではドレスを着る機会がなかなかなくて、湯浴みも自分でしていたから。だから嬉しかったんだよね。母さんたちともしばらく仕送りだけで会えてなかったから」
「なるほど。ウミ様は別の世界から来たんですね」
カズナならいい話相手になってくれそうだ。
私付きのメイドになるのであれば私がスキュラであることも言っておこう。
「うん、そうなの。あとスキュラっていう魔族にもなったのよね」
「ええ!?スキュラですか!すごいですね」
「いやいや、そんなにすごいことなの?」
「はい!スキュラは神話級の魔族で下半身の犬は使い魔としても使え、生涯を共に過ごすことができるほど長命で強大な力を持っていると伝え聞いております。そして上半身の少女は絶世の美女と言われているんです!」
ほへ~、そんなにすごいのになったのか。
確かに父さんが希少種だって言っていたな。
こんな事考えている間にもカズナの質問は止まらない。
でもそのほうが私も情報を得ることができるので迷惑ではない。
「今はこの犬さんだけですよね?足もありますし。どうやって姿を変えているんですか?」
「変化魔法と幻影魔法の両方を使ってて、夜はそれを解除して幻影魔法だけで誤魔化しているの」
「えぇーーっ!両方使いこなせる人初めて見ました!」
「もしかして、両方使っている人って少ないの?」
「はい、少ないですね。変化魔法は使うだけで身体全身のに痛みが襲いかかって、普通の人は耐えられず血を吐きますから。それに幻影魔法は体力の消耗がすごいので並大抵の人はぶっ倒れます」
確かに幻影魔法を取得してから体調が悪かったような。
「やっぱりそうか。体調少し悪かったのよね〜」
「絶対それですよ!いいですか?私の前だけは本当の姿になってください!ウミ様のお体が心配です」
「えぇ、でも⋯」
「私だって魔族なんですから気にしませんよ!それよりもご自身を大切にしてください!」
カズナは本当に心配しているようだった。
そこまで来たのか言われたら仕方ない。
「わかったわよ。でも私の姿を見て逃げ出したりしないでよ?」
「もちろんです!」
カズナの言葉と同時に2つの魔法を解除した。
解除するとリアは私の身体に戻っていき6体に分裂した。
私の髪の毛は胸下まで伸びた。
カズナの方を見ると固まっていた。
「どう?気味悪いでしょ?」
「いえ、美しいです⋯」
「そうだよね⋯って、え?」
「ウミ様は本当に美しいです。もっと自分に自信をもってください。そうだ!明日の領主就任式はこの姿で出ましょう!その後はウミ様の自由にしていただいていいので!では失礼いたします。おやすみなさい」
嵐のように言葉を残してカズナは出ていった。
褒められた?怖がられると思っていたのに。
自信を持て、か⋯。
この街のみんなが私を認めてくれるかわからない。
でも、本当の姿を見せないと誰も信頼してくれないよね。
よし、これは明日の自分に任せて、今日はもう寝よう。
「おやすみ、リア」
リアたちにそう告げて眠りについた。
「おやすみなさい。ご主人はわらわが見込んだのだから美しいぞ。これからはわらわがお側で精一杯お守りするのじゃ」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
この話で第一章は終わりとなります。次話から第二章がスタートいたしますので、引き続き見ていただけたら嬉しいです!




