第7.5話 後悔 大和視点/ディアボロ視点
第二章開幕です!
「大和、約束果たせなくてごめんね。大好き」
その言葉を残して優海の姿は消えていった。
俺達を助けて。
なんでだよ⋯なんで俺を置いていくんだよ⋯。
優海と約束したのに。
どうして⋯どうして⋯どうしてっ!
俺は、助けられなかったんだよ⋯
「大和、大和!おい、大和!」
真の声で正気に戻るとそこは王城の広間だった。
「どうなさいましたか?皆様!」
ジーク王の側近であるミリオーレが駆けつけてきた。
「う、みが、うみがぁ、うわああああああ」
「落ち着いて星奈!うみちゃんはきっと生きてるよ!」
「何があったんですか?落ち着いて説明してください」
「うみちゃんが、俺達を助けてワイバーンの大群に巻き込まれたんだ。生存確率は低い。俺等は何の力にもなれなかった」
ミリオーレは信じられない、という顔で俺達を見つめた。
「これは事実です。私という引率者がいながらこのような事態になってしまい、情けない限りです」
「わ、わかりました。国王陛下に伝えて参ります」
「お願いします」
ミリオーレが去っていった。
沈黙が流れる。
俺は優海を助けることができなかった。
チャンスはいくつもあった。
それなのに、俺は⋯。
「大和、大丈夫か?」
真が声をかけてきた。
「俺は優海を守ることができなかった。約束したのに。暗い中、彷徨っているかもしれない。ワイバーンに襲われて野垂れ死んでいるかもしれない。俺は何のために⋯」
「みんなも俺も大和と同じ気持ちだよ。俺だってあの時ああしていれば、こうしていれば、うみちゃんを助けることができたかもしれないって思ってる。でもな、よく考えてみろ。うみちゃんが生きている可能性はまだあるんだ」
「どうしてそう思うんだ!!」
真が俺の手首を指さした。
そこには優海からもらったミサンガがあった。
「まだ、うみちゃんからもらったミサンガはまだ灰になってない。このミサンガにはうみちゃんの魔法と願いが込めてある。これはれっきとした魔道具なんだよ。魔道具は術者が死ぬと灰になって消える。でもこのミサンガは灰になっていない。つまり、うみちゃんは生きているんだ」
そうなのか?
もし、本当に優海が生きているのだとしたら、助けたい。
優海と平穏に暮らしたい。
「⋯そうだな。ネガティブに考えすぎていた。優海を探そう。俺についてきてくれる人はいるか?」
「俺は行くよ。うみちゃんともっと話したいからね」
「私も!うみともっと話したい!遊びたい!」
「他にはいるか?」
「ごめん、俺等はもう危ないところに飛び込む気力はない。この世界で自由に暮らすよ」
「わかった。気をつけろよ」
数日後、優海は王により亡くなったことにされた。
そして俺等3人が勇者として魔王を討伐することと引き換えに、みんながこの世界で自由に過ごすことを許された。
「大和、星奈、準備はできたか?」
「うん、できたよ!準備万端!」
「ああ、できた。よし出発だ」
待っていてくれ。
絶対に優海を見つけるからな!
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ウミ様が魔王様に保護された。
無事で良かった。
ウミ様には身体変化の発作の予兆があったが、まさかスキュラになるとは⋯。
そんなことを考えているとヴェリタから着信がアーティファクトに届いた。
『もしもし?父様、聞こえてる?』
「聞こえているよ、ヴェリタ」
『だから今はその名前で呼ばないで⋯ってそんな場合じゃないか。うみちゃんは大丈夫なんだよね?』
「ウミ様は無事に魔王様に保護されたよ。そして魔王領の領主様になった」
『よかったぁ~。俺、すんごい心配してたんだよ!!』
「そうなのか?落ち着いて見えたけどな」
『とにかく、無事で良かったよ。大和は勇者パーティとしてうみちゃんを探す旅に出るけど情報を伝える方針はないから』
「そのほうが助かるな。私やヴェリタが魔族だと露見すれば処刑される。悪魔族の族長の1人息子なんだから、命は大切にするんだぞ?」
『わかってるけど、父様が悪魔族の族長でしょ?父様こそ気をつけてよ?』
「もちろんだ。お前が結婚して孫の顔を見せに来るまで死ねないからな!ところで結婚はまだなのか?」
『父様!急に恥ずかしいこと言うなよ!俺まだ高2の17歳だよ?あっちじゃまだ結婚もできないじゃなんか』
「なにを言っているんだ。こっちなら人間年齢15歳で結婚できるぞ?」
『わかったから!20歳すぎるまで結婚は待ってほしい!』
「仕方ない、楽しみにしているからな」
『まぁそのうちね。じゃ、明日早朝に出発だからもう寝るね。おやすみ』
「おやすみ」
そうして2回目のヴェリタとの通話は終了した。
あいつにはウミ様の護衛として12歳のときにあちらに行ってもらった。
自分の息子ながらすごいと思う。
知らぬ土地で友人を作り、彼女まで作ったのだから。
あと三世代ぐらいは悪魔族も安泰だろう。
悪魔族は美少女メイド姉妹がいるサキュバス族と同じ血筋だ。
だからみな美形に生まれる。
運動神経の代償に変化魔法使うことができる。
ステラ学院でのヴェリタは楽しそうにしていたが、運動するときは周りのみんなに助けてもらっていた。
見ている側からすると、面白いものだった。
悪魔族は魔法に長けているため、ヴェリタに魔法を使わせたら宮廷魔術士でも敵わない。
恐らく私よりも強い。
あの時魔法を使えばウミ様を守ることなど容易くできたのだが、それをしなかったのは最善の選択だった。
あのまま、王城に帰っていたらどうなっていたことか。
本当に処刑される可能性があったと思うと怖いな。
私の仕事はまだ終わらない。
引き続き潜入捜査を行い、ウミ様がインコルトの領主様となられたことをあのメイド姉妹にも伝えなければ。
彼女たちはインコルトの領主に仕える家系だからな。
今日も魔王様のために仕事に励もう。
最後まで読んでいただきありがとうございます!




