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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第1章 勇者候補と変化
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第5話 仲間との別れ

【注意】怪我描写があります。


 キングゴブリン討伐には召喚者である私達と、指導者であるディアボロ伯爵。

 そして数十名の護衛とともに徒歩で向かった。


 「うぅ、怖いなぁ。うみは怖くないの?」

 「正直めっちゃ怖い。でも私達が元の世界へ帰るためなら仕方ないよ」

 「そうだよね、星奈も頑張るよ」

 

 星奈と2人で喋りながら歩いていると、今回の目的地についた。

 ブライアン王国と大森林の境界あたりでゴブリンの群れが目撃されたらしい。

 その情報を頼りに来たのだが、見当たらないので大森林の中を進んで行くことにした。


 大森林の中を入ってから一時間が経った頃。

 目の前にゴブリンの群れが現れた。

 初の実戦で混乱しているクラスメイトに指示を出さなければ。

 怖いのは私1人じゃないんだから。

 昨日スキルポイントで手に入れた拡声魔法を使ってみよう。


 「みんな、落ち着いて聞いて。付与魔法をかけるから、周りのゴブリンを倒して。他の魔物は騎士団のみなさんとデイアボロ伯爵が相手をお願いします」

 

 私は今までの倍の速度で魔法陣を展開する。


 「フィジカルアップ、マジカルアップをこの場の全員に付与する」


 皆、一斉に目の前の敵に斬りかかる。

 普通のモブゴブリンならば任せても大丈夫そう。

 

 一番ヤバいのは奥にいる少し大きいゴブリンだ。


 「ね、ねえ、うみ?あれどうするの?」

 「俺達に倒せるか怪しいよな⋯」

 「だよね」

 

 星奈たちもあいつの危険さに気付いたらしい。

 恐らくこれがキングゴブリンなのだろう。


 「(大きく息を吸って)作戦通りに行こう。真が魔法で目眩ましをしている間に星奈がキングゴブリンの目の前までいって注意を引きつけて」

 「「了解!」」


 真が魔法陣を構築し始めた。

 星奈はそれを見て物影に隠れながら移動している。

 私もそろそろ準備しなくちゃ。


 「準備完了。フォグマジック(霧魔法)」


 真の魔法と同時に星奈が飛び出した。

 

 「三天撃!!」


 キングゴブリンは一瞬よろめいた。

 星奈が何度も技を連発して足止めをしてくれているが、いつまでもつか分からない。


 「大和、今から転移させるからキングゴブリンの裏に回って止め(とどめ)を刺して」

 「分かった。優海も気をつけるんだぞ」

 「うん」


 さっきから準備していた転移魔法陣を発動させる。

 この魔法もスキルポイントで手に入れた魔法の1つだ。

 いくつもの魔法陣を展開して持続させることに集中しているので、念の為魔力防御(シールド)を張っている。

 半径50cm以内なら防ぐことが可能だ。

 そんなことを考えていると転移魔法陣が手元から消えた。

 大和の安否確認をしようとしたところで、声が聞こえてきた。

 

 「これで止め(とどめ)だ、キングゴブリン!」

 「グオォォォ」


 大和は無事に裏に回ることができたらしい。

 不意討ちだったが、なんとか倒す事ができた。

 

 「はぁ、はぁ、やっと、倒せた」

 

 魔力が少ししか残っていなくて、立ち眩みが酷い。

 

 「うみ、大丈夫?」

 「なんとか。星奈こそ大丈夫?」


 星奈はかなりの怪我を負っていた。

 足も引きずっている。


 「こんなの、かすり傷だよ!でも勝てたんだから、それで良しだよ!」

 「そうだね!」


 討伐からの帰り、このまま元の道に帰ると夜になってしまうと伯爵からの助言もあり、山麓の宿へと向かうことになった。

 帰りも行きと同じように星奈と喋っていた。

 

 「ねぇ、うみ〜?山麓ってことはさ、温泉とかあるのかなぁ?」

 「えー、あるんじゃない?でも異世界だからなぁ。なさそうでもある」

 「ね、ねぇ、うみ。あれ」

 「⋯は?」


 目の前にワイバーンの大群が現れた。

 竜騎士との戦いによってここまで追いやられたのだろう。

 怯えた護衛たちは騎士団専用の脱出魔法(エスケープ)で逃げていった。

 護衛対象をおいて逃げるってどういうことなの。

 

 残ったのはディアボロ伯爵と私達だけ。

 ディアボロ伯爵はさっきの戦闘で魔力を使い果たしていた。

 私達にも戦える力はほとんど残っていない。


 なら、今回の責任者である私がなんとかするしかない。

 再び拡声魔法を使用する。


 「みんな聞いて。転移魔法を用意するから私より後ろにさがって」

 「わかった」

 「全員ハヅキさんの後ろに固まってください」

 「転移魔法発⋯、嘘、どうして」


 誰か1人だけ残るように仕掛けられている。

 設定をやり直す時間はない。

 ただ、みんなを助ける方法は1つある。

 ⋯やるしかない。


 「どうしたんだ?」

 「誰か1人だけ残らなきゃならないように仕掛けられている。だから確実に私が残るようにハッキングで設定した」

 「そんなのだめだ、うみちゃん!」

 「一緒に帰ろうって約束しただろ!?」

 「そうよ!どうにかならないの?」

 「⋯っごめんね。それでもみんなが助かるためにはこれしかないの。私は、大丈夫だから」

 「やだっ、いやだよ。うみー!」


 転移陣とともに全員の姿が消えていく。

 

 「大和、約束果たせなくてごめんね。大好き」


 全員の転移が完了した。

 もう魔力は残っていない⋯。


 ドクンッ


 ここで急な発作が現れた。

 息が苦しいし、体も熱い。

 目の前までワイバーンが来ているというのに逃げる力もない⋯。

 私、このまま死んじゃうのかな?


 まだ生きていたい、死にたくない。

 母さんと父さんに会いたい。

 

 次の瞬間、爆音と共に人影が現れた。

 薄れゆく意識の中で目に写ったのは父親に似た人物だった。

 幻、なのだろう。

 そう思いながら限界を迎えた私は目を閉じた。 

最後まで見てくださりありがとうございます!


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