第4話 喜びと破滅の前兆
中間試験から1ヶ月、日々のスパルタ訓練を乗り越えたおかげか、私達はもう少しだけ強くなった。
今日はジーク王から私達召喚者への招集があったので城に来ている。
時間までかなり余裕があったので庭園を散歩していると、うずくまって泣いている少女がいた。
「こんにちは。どうしたの?」
「誰?」
「勇者候補の1人だよ」
「勇者様の?」
「うん」
勇者という名を聞いて少女はすこし落ち着いたようだった。
私の名前はなぜか、言わない方が良い気がした。
「貴女は?」
「私はユリア。この国の第二王女なの」
王女様!?
え?私、 変なこと言っていないよね?
ちょっと心配になってきた。
「どうして泣いているの?」
「私の天職がビーストテイマーで、誰の役に立たない、使い物にならないとお父様とルイお兄様がお話しているのを聞いてしまって。私は誰の役にも立たないと思うと不甲斐なくて⋯」
は?自分の娘でしょ。
何をモノ扱いしているわけ?
こんなに優しい子、存在しているだけで偉いのに。
「大丈夫だよ。ビーストテイマーみたいに戦闘向きじゃなくなくても人の力になれるの。現に貴女はこんなにも綺麗な心を持ってる。だからね、ユリア様はそのままでいいんだよ」
「本当?」
「うん、本当。そうだ!これあげる。私の故郷のお守りなの。これがちぎれたら、つけている人の願いが叶う⋯っていうおまじないがかかっているの」
私が趣味で作っていたミサンガを渡した。
これには付与魔法と治癒魔法の2つが入っていて、すでに星奈たち3人には渡してある。
このミサンガには、その人が健やかに過ごすことができるようにという願いが込められているのだけど、そのことは伝えなくてもいいよね。
「ありがとう、お姉ちゃん」
彼女はにっこり笑った。
なんて可愛い娘なんだろう⋯。
私達は互いに手を振りながら別れた。
その後私は急いで大広間へ向かった。
どうやら私が最後だったようでジーク王は少し不機嫌そうだった。
「陛下、召喚者が揃いました」
「うむ。君たち召喚者には勇者になるための最終試験としてキングゴブリン討伐に行ってもらう。そして最高責任者をウミ ハヅキに任命する」
そう、ジーク王が言った。
私が責任者?嫌だな⋯。
すごく嫌な予感がするんだよね。
でも王命だから逆らえないし⋯。
「そんなに心配しなくてもよい。我が国最強の騎士団を護衛につけてやろうぞ。出発は明日だ。しっかりと準備しておくように」
「わ、わかりました」
無理矢理ゴリ押しかよ⋯
仕方ない、自分にできるだけのことをしよう。
みんなが部屋に戻って準備を始めた。
私も戻って作戦を立てようと、宿舎へ向おうとしていたときだった。
「優海、ちょっといいか?」
「うん。いいよ」
「ここじゃできない話なんだ。場所を変えよう」
なんだろう⋯と疑問に思いつつも大和について行くと、城下町が一望できる見晴らしの良いレストランだった。
好きなものを頼んでいいよ、と言われたのステーキを注文した。
あと、メロンジュースみたいなルリンと呼ばれる飲み物も注文した。
「「乾杯」」
一口、また一口と進む手が止まらない。
夢中になって食べていると、大和と目があった。
「ん?なにか顔についてる?」
「いや、可愛いなって⋯」
「えっ。いきなりどうしたの?」
「今から大事なこと言うからちゃんと聞いてね」
「わかった」
「まずは、誕生日おめでとう」
あ、そうだった。
今日は私の誕生日だったんだ⋯。
「ありがとう。約束、覚えててくれたんだ」
「まあな」
照れて何も言えずにいると、大和は思いっきり深呼吸をした。
「優海。貴女のことが小さい頃からずっと好きです。俺と結婚を前提に付き合ってください!」
え⋯、嬉しさのあまり固まってしまった。
だってずっと好きだった人に告白されたんだもの。
「はいっ⋯!」
「よっしゃあぁ!」
「喜びすぎでしょ。私も嬉しいけど」
「これで明日も頑張れるぜ。ありがとな」
「そうだね。がんばろ!」
「最後に約束しようぜ。絶対に無事に帰ろうってな」
「うん!約束!」
この約束が果たされることは⋯
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