第3.5話 聖女候補 ジーク王視点/ディアボロ視点
各視点◯.5話シリーズです!
大体3話〜5話間隔で入れていくと思います!
我はものすごく苛立っていた。
神殿の奴らは、ウミ ハヅキを聖女候補に入れたようだ。
なぜだ、なぜなんだ。
なぜあやつが聖女候補となるのだ。
ただ、光魔法と治癒魔法の適性があるというだけなのだぞ。
聖女となるのは我が娘であるアノンなのだ。
アノンは王女でありながら文武両道で光属性の適性があった。
それが発覚した途端、我は歓喜した。
これでアノンが聖女となれば我が国も安泰、国の地位も格段に上がる。
そう思っていたのだが⋯。
勇者候補となる者たちを召喚した理由は2つあるのだ。
1つは勇者を育て上げ、この国の地位を固め、利益を得ること。
もう1つは邪魔な魔王軍を討伐し、その利益を横取りすることなのだ。
想像するだけで顔がニヤけてしまうな。
それがまさか凶と出るとは。
何かいい方法はないか。
⋯あぁ、そうか。
その手があったか。
ウミ ハヅキを殺せばよいのだ。
よし、幹部を集めて会議を開こう。
数時間後、会議室に幹部が揃った。
幹部はルシウス、アデリナ、イカナギ、ディアボロ、ハドロンの5名だ。
その中でもルシウスとアデリナは我が王太子の頃から支持してくれているとても良き部下なのだから。
「皆、忙しいところすまないな。今日の課題は聖女についてだ。勇者候補のために召喚した者の中に聖女候補となった者がいる。それはこの国にとって不利益なのだ」
「なるほど、それは一大事ですな」
腹心のルシウスが身を乗り出した。
それと反対にイカナギが怪訝そうな顔で言葉を発した。
「失礼ながらご質問を。その方は誰なのでしょうか」
「ウミ ハヅキだ」
「⋯なるほど」
普段なら不敬だ、と言って斬首刑にするところを今は少し機嫌がいいのでな。
今回は許してやろう。
「そこでその者を亡き者とするのが一番良いのだが、何かいい案はないか?」
「なら私に1つ案がありますわ」
「ほう、アデリナ。述べてみよ」
「では。近頃ワイバーンの群れが大森林の山麓付近で暴れまわっております。勇者候補の者たちにゴブリン討伐という最終試験を課すのはいかがでしょうか。そして宮廷魔術師に協力を仰ぎ、転移魔法を使っても誰か1人だけ残らなくてはならないように仕向けるのです。上手くいけばその方は亡くなります」
「なんといい案なのだ!それで行こう。早速準備を始めようではないか!」
ルシウスは我に賛同しいつになく上機嫌、アデリナはどのように人を動かすか嬉々として考えていた。
その一方でイカナギは面倒くさそうに、ディアボロは俯き、ハドロンは独り言を呟やいていた。
誰が何を言おうが我には関係ない。
我は快い気分で自室へと戻った。
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ディアボロは学院長室で頭を抱えていた。
国王に呼び出されて何のことかと思えば、聖女になりそうな勇者候補を暗殺しろと⋯?
そしてその候補者はよりによってウミ様。
俺にはそんなことできるわけがない。
しかもウミ様には身体変化の予兆も現れている。
このまま救うことができたとしても、国王の所有物として酷い扱いを受けるかもしれない。
魔王様へ早急に報告せねば。
あとヴェリタにも事情を伝えなきゃいけないな。
そう思ったディアボロは防音結界を張り、腕時計型のアーティファクトを起動させた。
「もしもし、聞こえるか?ヴェリタ」
『聞こえているよ、父様。通話するのは久しぶりだね。というか今はヴェリタって名前じゃないんだけど?』
「いいじゃないか。お前の母さんが考えた名前なんだから」
『⋯。』
「それにこちらの方が誰と話しているかわからないだろう?」
『はぁ⋯。防音結界を張っているくせによく言うよ』
バレていたか。
さすがヴェリタだ。
『それで今日は何の用?』
「急ぎ伝えなければならないことがあってな」
『なにかあったの?』
「ウミ様を亡き者にしようと国王が動き出した」
『嘘だろ。どうしてうみちゃんが。⋯まさかあのことがバレたの!?』
「いや、まだバレてはいない⋯」
『じゃあなんで!』
「神殿がウミ様を聖女候補にしたからだ。それを国王は邪魔に思ってしまったんだ」
『確かに"慧眼"でうみちゃんのステータスを見たら、光魔法と治癒魔法があった気がする⋯』
「国王の計画通り、ウミ様を亡くなったことにする。だが魔王様に保護してもらうつもりだ」
『⋯わかった。みんなのことを考えると心が痛むけれどやるしかないね』
「ヴェリタも気をつけるんだぞ」
『わかってるよ、父様も気をつけてね』
通話はここで終了した。
ヴェリタがこっちに来た時は驚いたが、気楽にタメ口で話すことができるのはアイツだけなので少し嬉しい。
それにしてもヴェリタが感情的になるなんてな。
ウミ様は亡き妻であるエミリによく似ている。
姪と叔母の関係だからというのもあるかもしれないが。
ヴェリタはウミ様と母親を重ねているのかもしれないな。
親として接することができないのはやるせないが、精一杯協力しよう。
最後まで読んでいただきありがとうございます!




