↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第1章 勇者候補と変化
4/33

第3話 異世界での生活

今回は少し長めです!


 朝起きてすぐ制服に着替えてから宿舎を飛び出した。

 だって寝坊しちゃったから!

 やばいやばいやばいやばいやばい。

 学院の講義室に着くと授業が始まっていた。

 今はとりあえずドアの後ろに隠れておこう。


 「私の名前はディアボロ。伯爵家当主でこの学院の学院長を務めています。ディアボロ伯爵と呼んで下さい。勇者になるまでの間、君たちの教育係となりました。短い期間ですがよろしくおねがいします」


 このディアボロ伯爵は面倒見の良さそうな先生って感じだ。

 うちの学校の先生だったら、1日でファンクラブができていそう。

 あれー⋯?今、目があったような⋯?


 「そこのドアの後ろに隠れている貴女。出てきなさい」


 やっぱり目があっていました⋯。

 勘違いであってほしかった。


 「何やってんだよ優海。初日から遅刻して」

 「だってベッドがふかふかで気持ちよかったから⋯」

 「ははっ。うみちゃんらしいね」


 めちゃくちゃ恥ずかしい⋯


 「ある程度話の内容は聞こえていましたが、理由を聞かせてください」

 「ここの宿舎のベッドの居心地がよかったもので、ついつい寝坊してしまいました。すいません」

 「クッ⋯。ゔ、うん。一応記録をつけなければならないので名前を教えて下さい」


 この先生、今笑ってたよね?

 すごい我慢していたように見えたんですけど。

 少し不満に思いながらも、ディアボロ伯爵に近づいて答える。


 「えっと、ウミ ハヅキです」

 「ハヅキ、貴女が⋯。確かに⋯」


 私の名前を聞いた途端、伯爵の雰囲気が変わった。

 私の顔を見ながら哀愁ある顔をしている。


 「ディアボロ伯爵?大丈夫ですか?」

 「⋯いえ。なんでもありません。早く席に着いて下さいね」

 「はい⋯(?)」


 伯爵に促されて席に着く。

 隣に座っている星奈は居眠りをしていたため、星奈も怒られていた。

 さっきのディアボロ伯爵の反応は何だったんだろう⋯?

 まぁ、いっか。

 星奈が席に着いた瞬間、授業が始まった。


 「まずこの世界には1つだけ大陸があって4つの国に別れており、現在の世界情勢は安定しています。4つの国を分けるようにして大森林があり、竜の巣は4つ確認されています。そして大森林の中のどこかに魔王城があります」


 情勢は安定しているのか。

 安心して勇者になれそう。


 「そしてこの大森林のなかに獣人族も住んでいますが、希少種なので滅多に会えません」

  

 獣人さんにはなかなか会えないのか⋯。

 でも地球と比べたら獣耳が見れる可能性があるんだからそれだけで嬉しいな。

 

 「暦は太陽暦なので貴方たちの住んでいた世界と同じ暦です」 

 

 太陽暦だけど、元の世界とは少し時差があるみたいだから、海外にいるみたいな感じが一番近そう。


 「では次に基礎トレーニングを行います。基礎体力がないと魔法を使うことが難しいので十分につけて下さい」


 へぇ、魔力と体力には関係があるんだ。

 そう思いながら、学院の中庭へと移動した。


 トレーニングが始まってから10分。

 まだ10分しか経っていないのに疲れてしまい、休憩をするために隅の方へ向おうとした。

 すると星奈も疲れたのか、同じタイミングで立ち上がった。


 「星奈が途中で休憩するなんて珍しいね」

 「これ、やばい⋯。キツすぎる⋯」

 「だよね。ちょっと水をもらってこようよ」

 「そうしよ〜」


 水を飲むと、体が生き返った。

 そういえば異世界(こっち)に来てから一切水を飲んでなかったかも。

 

 「やっぱり体力落ちたかもな〜」

 「星奈も」

 「本当?」

 「うん」


 星奈は現役バレー部のキャプテンで体力はかなりあるはずだった。

 その星奈ですら体力が落ちたと感じるくらいハードなメニューなんだ。

 優しい顔して鬼だな、ディアボロ伯爵。


 大和はバスケ部のエースで体力は私達よりも多かった。

 だからかあのキツいトレーニングに耐えていた。


 そんな大和よりも目に入ったのは真だった。

 滝のように汗をかいて、今にも倒れそうだからだ。

 万年帰宅部の真は異常な程に体力がなかった。

 ハイスペックイケメンなのにもったいない。

 ただ自分のこと精一杯だから、心の中で『がんばれ』としか言えなかった。


 それから2ヶ月が経った。   

 今日は第一訓練場の方で中間試験がある。

 最初よりはあのスパルタ訓練に耐えられるようになったので、ちょっとは強くなっているはすだ。


 「今日は勇者になるための中間試験です。9つのグループに別れ、この門の先にいる試験監督に攻撃を入れたパーティは合格です。試験監督は王太子で元竜騎士のルイ様です。かなりの手練れですので危なくなったらリタイアすることをおすすめします」


 私達のパーティは最後だった。

 ルイ様はとても強いらしく、私達の前のパーティのほとんどが不合格となっていた。

 特にオーラで身体が凍りつくそうだ。

 やばい、手に汗かいてきた。


 扉が開く。

 うわあぁぁぁ⋯ってあれ?

 そんな凍りつくほどのオーラがあるってわけじゃないかも? 

 うちの母さんに比べたら全然マシな気がする。

 母は強し。

 でも、緊張で空気が張り詰めている。


 「⋯っ、みんな。準備はいいか?」

 

 口火を切ったのは大和だった。

 その一言で全員の士気が上がる。


 「よし、始めるぞ。優海、頼む!」


 私は大和の言葉に軽く頷き、魔法陣を展開した。

 

 「ステータスアップ、マジカルアップを付与する」


 まずは付与魔法でみんなのステータスを上げ、真の魔法をマジカルアップで支える。


 「インフェルノ!」


 真は中級魔法を放った。

 それに合わせて星奈が飛びだす

 

 「双剣斬!!」


 結構高度な剣術を星奈が放ったものの、ルイ様には全く効いていない。

 まぁ、そうだろう。

 千里眼で鑑定したところ、物理攻撃が入らないように魔法が付与されているのだから。

 舐められているわ、ものすごく。

 だから、星奈の剣に仕掛けたのだ。

 スキル『ハッキング』を使って。


 「フンッ、この程度か。勇者候補って言うぐらいだから俺様を楽しませてくれると思ったのに、見当違いだったな」

 「これで終わりだと思わないでくださいね?」

 「ハッ、お前らごときに何ができるというのだ!なぬっ!?」

 「甘いな。後ろががら空きだ。閃天斬!」


 大和の攻撃が入った。

 油断していたルイ様は反対側の壁まで気絶したまま飛ばされてしまった。

 

 「攻撃が入った⋯、入ったぁ!」

 「やったね!」

 「すごいよ大和!」

 「いやいや、みんなのおかげだから」


 私達が喜び合っていると、ルイ様の意識が戻ったようだった。


 「⋯っく。なぜだ、なぜ俺様に攻撃が入った!そのウミって女!貴様がやったのか!?」

 「あまり手の内は明かしたくないけれど、あなたは物理攻撃すべてを防ぐ魔法を自分にかけていたでしょう?だからあなたのステータスシステムに干渉して書き換えさせてもらいました」

 「ふざけるな⋯。ふざけるな、ふざけるなっ!俺様にそんなことを!ズルではないか!!」

 「ズル?あなたがそんなことを言えるのですか?今までずっとズルばっかしてきたあなたが」

 「俺様は、俺は、クソぉぉぉおおおお!!!!!」


 そう言ってルイ様は逃げ出した。

 私より一回り上のいい大人が、恥ずかしくないのかな?

 

 「お見事でした。あなたがた4人を合格とします」

 「「「「ありがとうございます」」」」

 

 急にディアボロ伯爵が現れてびっくりしたけれど、私達は合格したらしい。

 このハッキングのスキルはものすごく魔力を使うのよね。

 そのせいで疲れがどっときた。

 今日はめっちゃ早く眠れそう。


 試験に合格し、安心していると急に視界がぐらついた。

 なんだこれ、胸が苦しい⋯。

 さっきの疲れとは関係のないやつだ。


 私はその場に倒れ込んだ。


 「うみ!?」

 「うみちゃん!?」

 「おい、優海!?起きてくれよ!誰か早く医者を⋯」


 みんなの声がどんどん遠ざかっていく。

 暗い意識の中で誰かが語りかけてきた。


 『ご主人様。目覚めてください。これにまだ巻き込まれてはなりませぬぞ』

 (あなたは誰?)

 『今は教えることができんが、じきにわかる。ではまた会おうぞ』

 

 目が覚めるとそこは医務室だった。

 

 「優海!?聞こえるか?」

 「⋯うん」

 「良かった⋯。本当に心配したんだぞ」

 「ごめん、心配かけて。もう大丈夫」

 「今度は絶対無視するんじゃねえぞ。次は優海のこと、守るから」

 「うんっ!」


 私を心配しつつ、照れながらその言葉を言ってくれる大和に少しだけときめいてしまった。

 この時間がいつまでも続くといいな。

 そんなことを考えていると、医務室の扉が破壊された。

 誰だこのヤバイやつは!と言おうと思ったら、星奈さんでした。 

 言わなくて良かった⋯。


 「うみが死んじゃったかと思ったじゃん!良かった、本当に⋯」

 

 すごく心配させちゃったんだろうな。

 私に抱きつく星奈の背中にそっと手を伸ばした。


 その後1週間で体調は全快した。

 医者曰く魔力切れによる疲れだろうとのことだった。

 

 このときは気づかなかった。

 自分の知らないところで少し大事(おおごと)になっていたことに。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。