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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第1章 勇者候補と変化
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第2話 異世界は困難

 


 目が覚めると広い場所だった。

 あたりを見回すとクラスメイトがいた。

 大和も星奈も真もいた。

 王様もいた。


 ん?王様⋯?

 なぜ⋯?

 なんか異世界ものによくいる腹黒そうな胡散臭い笑顔をしてるわ。


 「わが名はジーク=ブライアン。この国の王だ。お主らを莫大な費用をかけて召喚したのは、悪の根源である魔王軍を倒すべく、勇者様に育て上げるためなのだ」


 なんだよ、莫大な費用をって。

 偉そうだな⋯。

 一国の王様だから偉いんだけど。

 胡散臭い王様の隣に座っている王妃様らしき人はとても優しそうだ。


 それにしても勇者になるのか私達。

 ちょっと楽しみかも。

  

 「私の名はメリナ=ブライアン。元剣姫で今は王妃よ。あなたたちにとっては知らない土地で困惑しているかもしれないけれど、この世界を救うためにはこの方法しかなかったの。ごめんなさい」


 王妃様はちゃんと謝罪してくれた。

 ジーク王?もあんたの奥さんを見習ってほしいわ。


 召喚されたクラスメイトは30人。

 廊下やお手洗いに行っていた10人弱は召喚されなかったらしい。


 「嫌だ!家に帰りたいよ〜!」

 「元の世界に返せ!」


 元の世界に返してほしいという言葉が飛び交っている。

 そのとき「ダンッ!」と怒りに任せて足を踏み鳴らす音が聞こえた。

 皆、その音に震えている。


 「静まれ!!この召喚魔法はそんなに簡単に扱えるものではない。お主らは我に従って、あのけしからん魔王軍を倒せばいいのだ!」

 「ジーク様、落ち着いてくださいませ。彼らは知らない場所に来て困惑しているのです」

 「ふんっ。お主が言うのなら仕方あるまい。今回はメリナの顔に免じて許してやろうぞ」


 ジーク王が怒り狂ったところを王妃様が抑えてくれた。

 あの王様本当になんなの?

 

 その後、ステータスについての説明が行われた。

 鍛冶師、錬金術師など天職が判明し、みんなが一喜一憂していた。

 ステータスは心の中で「アストリオ」と念じると出てくるらしい。


 『アストリオ』


======================================================


【ステータス】


【名前】ウミ ハヅキ

【種族】人族(?)

【職業】付与術師、治癒師

【スキル】治癒魔法Lv4、付与魔法Lv3、闇魔法Lv1、光魔法Lv1

     千里眼Lv2、器用Lv6、体術Lv4、状態異常Lv1、隠蔽Lv7、ハッキングLv8「Xm」

【スキルポイント】2000

【HP】148/150

【MP】235/250

【備考】スキルポイントは異世界召喚により一般の初期段階の10倍になっています。また、スキルポイントでスキルを取得することが可能です。固有スキル(「Xm」と横に書いてあるもの)は他人が取得することはできません。


======================================================   


 異世界系でよく見るサポートに特化した職業だった。

 固有スキルはハッキングなのか⋯って、ツッコミどころが多すぎてそれどころじゃない。

 まず2個も職業があるってどういうこと?

 というか(?)って何?

 私は人間じゃないの?

 わからないことだらけで頭が混乱するけど、一旦落ち着こう。


 ちなみに一般的なステータスのHP、MPは200と150らしい。

 HPそれよりも低いな⋯。

 ちょっとこれから先が心配だ。

 

 星奈が私を見つけて駆け寄ってきた。


 「ねえ、うみー?職業なんだった?星奈はね、姫騎士ってやつだったよ!」

 「いいじゃん!私は⋯付与術師、だったよ!」

 

 2個もあったなんて人に聞かれたりしたら、こき使われそうだし怖いから隠しておいたほうがいいな。

 運良く隠蔽スキルがだいぶ高かったので王国の鑑定石には隠す事ができた。

 これから職業を聞かれたら、付与術師で通そう。

 

 「セナ ツキカワ様。国王陛下より勇者候補としてのお話があるとのことです」


 さっきまで話していた星奈が王の従者と行ってしまい、そこにいるのも気まずくなったので城の人気のない場所に出ると、真が一人で夜空を眺めていた。

 隣に行くと、真も私に気がついた。


 「やぁ、うみちゃん。珍しいね、君が一人だなんて」

 「仕方ないよ。星奈が王様に呼び出されちゃったんだから」

 「俺もそんな感じだよ。そういえばうみちゃんは職業なんだった?」

 「付与術師。真は?」

 「赤魔道士だったよ。ちなみに大和は剣豪で勇者候補なんだってさ。もしかして星奈が呼び出されたのってそれかな?」

 「多分ね。星奈は姫騎士だったから。てかさ、星奈はこっちでもモテモテだけどいいの?」

 「俺としては複雑だけど、星奈が星奈じゃなくなったらわからないかな」

 「星奈が星奈でなくなる前に、真はどんな手を使ってでも止めるでしょ?」

 「まあね」


 真は星奈のことが大好きだということがものすごく伝わって来て、微笑ましくおもっていると大和と星奈が帰ってきた。


 「あー!いた!2人とも探したよー!!」

 「何の話をしてたんだ?」

 「真が星奈のことが大好きって話」

 「ちょ、うみちゃん!言わないでよ!」

 「ごめん、ごめん」

 「じゃ、宿舎に向かうか」


 宿舎は男女で棟が別れており、職業でも別れているので全員別々の棟だった。

 3人と別れた後、自分の部屋へ向かった。

 明日からは王立魔剣学校であるステラ学院でこの国について学ぶようにと王命が出された。

 今日は皆疲れているだろうからと学院長が宿舎の手配をしてくれたそうだ。


 「私の部屋はここか⋯」


 鍵を開け、扉を開けると畳の匂いが鼻をくすぐった。

 めっちゃ落ち着く⋯。

 部屋の中には居間、クローゼット、勉強机、ベッド、シャワー、トイレが備えられていた。

 なんかビジネスホテルみたい。

 だけど居間がある。

 和洋室ってことはなんか高そう。

 一文無しなのにな。

 でも勇者候補特権だろうからありがたく使わせてもらおう。


 クローゼットの中には換えの下着や夜着、ステラ学院の制服、ドレスが入っていた。

 学院長ってすごく仕事ができる人なんだろうな。

 でもあの王様の部下ならめっちゃ苦労してそう。


 シャワーを適当に浴び、ベッドに飛び込む。


 「あ、これやばい⋯」


 そして気がついたときにはもう朝だった。

最後まで読んでくださりありがとうございます!

誤字脱字がございましたら、報告していただけるとありがたいです。 

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