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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第二章 領主生活
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第25話 メルカンテからの依頼


 温泉に行った日から早3日経った。

 ルズナは少し心に余裕ができたのか、メルカンテさんが来るたびに嫌な顔こそするけれど、この前のように殺意剥き出しではなくなった。

 一歩前進したみたいで少し肩の荷が下りた気分だ。


 陸華ちゃん&響くんカップルは温泉に行ってからもっと夫婦感が増していた。

 少しツンが多めだった陸華ちゃんが甘えるようになったのだ。


 それに対して響くんは頑張って理性を保とうとしている。


 お疲れ響くん。結婚するまで手を出すのは許さないからね?という念を込めて視線を送った 。

 何故か怯えていたが。

 ま、こっちも進展したみたいで良き良き。


 カズナは今日の朝から見ていない。

 多分買い出しだろうとルズナは言っていたけれど、嫌な予感がする。

 昨日もこの前も笑顔を作っていたけれど、無理をしているように見えた。

 この嫌な予感の通りにならないでほしいな。


 「カイルー!カイルはいるかぁー!」

 「勝手に入ってくるな、この裏切り者ー!」

 「ぎゃぁぁぁああ」


 私に何かを伝えに来ようとしたメルカンテさんにルズナが箒をぶん回して追いかけている。

 短剣から箒になっただけマシだと思う。


 「微笑ましく見ていないで助けろよカイル!」

 「いいですよ。ルズナ、何か話があるみたいだからはなしてあげて」

 「チッ⋯わかりました」


 メルカンテさんがほっとしたような表情をしている。

 カズナが出かけているいま、ルズナに暴走されては誰も止めることができないからね。

 私がそうなる前に歯止めを掛けないといけない。


 「それで、メルカンテさん。本日はどのような要件でしょうか」

 「最近このインコルトの街の治安が悪くなってきていると古い友人から報告が来ていてな、単独で調査していたんだ」


 なるほど⋯。

 治安が今以上に悪くなりつつあるのか。

 それを解決してほしいってことなのかな?

 ルズナはこれ以上ここにいると暴走しかねないからどうにかしたいんだけど⋯。


 悩んでいると陸華ちゃんが私に耳打ちしてきた。

 遠くにいる響くんは信頼した瞳で陸華ちゃんを見守っている。


 「(小声)ルズナさんは私達に任せて、メルカンテさんと話してきて」

 「(小声)いいの!?」

 「(小声)もちのろんよ」

 「(小声)ありがとう!」


 私の考えていることを読むように陸華ちゃんがルズナの誘導を上手くしてくれることになった。


 「ルズナさん、こっちでお茶しません?」

 「え、でも」

 「いいから、やりましょう。気分転換に、ね!」


 そうして2人はキッチンへと消えていった。


 「ふぅ。助かったぜ。あとでお礼しないとな」

 「ですね」

 「話を戻すが、調査していくにつれて、スラム街を拠点とする盗賊ギルドができていることがわかったんだ。周囲の人間とす(・)こ(・)ー(・)し(・)お(・)話(・)をしたところ、その中では人身売買が行われているらしい」


 人身売買も気になるんだけどさ、すこーしお話の言い方がちょっと引っかかるんだよね。

 話の流れで聞くことができたら聞こう。


 「人身売買ってこの世界の国際法に違反しませんでしたっけ⋯?」

 「あぁ、そうだ。だからお話してくれた人たちも共犯だったから、今は商人ギルドの地下の牢獄に入れている」

 「ぐ、具体的に何をしたんですか⋯?」


 怖いけど、好奇心が勝手に⋯!

 メルカンテさんは少し考えた後、こちらを向いた。


 「んー、内緒だ。若いやつが聞いていい内容じゃないからな」


 彼の瞳はいつもの明るく優しい瞳ではなく、鋭く闇に包まれたような瞳をしていた。 

 どうしてそんな顔をするのだろう。


 「それより、俺から領主様に依頼があるんだ」

 「なんでしょうか?」

 「盗賊ギルドの殲滅をお願いしたい」


 あー、だよね〜。 実はそんな気がしていたのだよ。


 「できるだけのことをやってみます!」

 「おう!頼んだぞ!俺は拷も⋯お話が終わっていないから情報だけ送っておくな」


 そう言ってメルカンテさんは商人ギルドに向かった。

 なんか、やばい単語が聞こえてきたんだけど⋯。

 まあ、人にはそれぞれ事情があるだろうし、私が突っ込むのはおかしいか。

 自分にできることをやろう。


 とはいえ、殲滅か。

 メルカンテさんから届いた情報を確認するか。


 『アチェッソ』


======================================================


【情報開示】<盗賊ギルドについて>


 【場所】魔族領 インコルト スラム街


 【事象】人身売買、危険物の使用、大麻•覚醒剤の栽培、乱用、暴行、奴隷オークション


【関連人物】 インコルト前領主 ス(・)ト(・)ロ(・)ン(・)ツ(・)ォ(・)              


======================================================


 なにこれ。


 私が領主のこの土地でそんなことが起こっているなんて許せない。


 ス(・)ト(・)ロ(・)ン(・)ツ(・)ォ(・)という文字が押すことができそう。

 そう思い押すと、その人物に関する情報が出てきた。


======================================================


 【ストロンツォ】


 【大罪】メイドであるカズナ=ナイトシェードに対する度を超えた暴行、監禁

魔王軍資金の横領


======================================================


 「嘘、でしょ⋯」


 事実に驚いていると着信がアーティファクトに来た。

 メルカンテからだ。


 「⋯はい。もしもし」

 『カイル、大変だ!カズナが盗賊ギルドと手を組んだストロンツォに誘拐された!』

 「は?」

 『今すぐ商人ギルドに来い』


 ピッ


 最近の嫌な予感はこれか。

 絶対に助け出すから、待っていてねカズナ。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

※次回から投稿が諸事情により遅くなります。

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