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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第2章 領主生活
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第23話 快適な生活⋯なはず!


 今日は待ちに待った温泉だ!

 楽しみすぎて夜しか眠れなかった。

 そして私は浮かれている。

 浮かれすぎて滑って転ばないようにしなきゃ。


 移動するときは念の為に車椅子だけど、自分に回復魔法をかけたから体力が昨日より5倍回復したので温泉には入れるの。

 タオルも持ったし着替えも持った。

 準備万端だ。


 「私はもう準備できたけどカズナは準備できたー?」

 「待ってくださいウミ様!お姉ちゃんが気合い入れすぎちゃって遅れているんです」


 ルズナが珍しく楽しみにしてくれているみたい。

 そろそろ陸華ちゃんと響くんも準備できたころかな?


 「2人とも準備できた⋯って、なにしてるの?」


 白いシーツに穴を開けて被った二人が後ろに立っていた。

 私が声をかけると響くんがシーツを頭から外した。


 「いや、俺は悪くないんっすよ?陸華が優海さんを元気づけてあげようとか言い出して」

 「ちょ、それ言ったらだめなやつよ!響は何もわかってないんだから」


 新米夫婦みたいな会話している。

 なんか微笑ましいな。 

 私もあんなふうになりたかった。


 普通に恋愛して同棲してゆくゆくは結婚して。

 いっそのこと大和を拉致って⋯いやこんな考えしているやつのこと好きになるわけないか。

 というかあの二人、いつのまにか喧嘩にまで発展しているんだけど⋯。


 「ちょっと二人とも、一旦落ち着いて。気持ちは受け取ったから。みんなを待たせる前に行こう?」

 「せっかくうみちゃんを元気づけるチャンスだったのに⋯!」

 「ま、仕方ねーよ。次があるって」

 「そうね、今日を楽しみましょう」


 なんとか落ち着いた。

 その後ルズナとカズナも準備ができて一緒に行くことができた。

 今日は優海の姿である。

 いくら領主だとしても男風呂に入るのは流石にということで。

 ちゃんとシゴデキタックに話を通してあるので心配はない。


 私が心配しているのはこの後だ。

 温泉にはブリランテ&クレデーレ夫妻とメルカンテさんがくる。

 そして、こちらにはルズナがいる。

 つまり何かが起こりそうな予感がするのだ。

 ちなみにルズナにはメルカンテさんがいることを伝えていない。

 これが私の杞憂に終わればいいのだけれど。


 温泉に着くと、みんなが暖かく迎え入れてくれた。

 後ろでは「チっ⋯」と舌打ちが聞こえてきたけれど。

 うっ、胃が痛い⋯。


 クレデーレさんからは羨望の眼差しを私に向けないでほしい。

 私はそこまですごい人じゃないんです⋯。

 車椅子登場で恥ずかしい。

 無理をしすぎた少し前の自分が憎いっ⋯!


 「よう、遅かったな」

 「すいません、遅れちゃって。はじめまして、領主のウミです。よろしくおねがいします」

 「いいえ〜、私はクレデーレよ。じゃあ私は色々と準備してくるわね!」


 クレデーレさんは満面の笑みで大浴場へと入っていった。

 可愛い人なんだよな、クレデーレさんって。


 「ブリランテさん、メルカンテさん今日は私たちのために一部を貸し切りにしていただいてありがとうございます」

 「いや、カイ⋯ウミ様の頼みとあらばですよ」

 「そうだぜ。やっぱりお前そっちの姿のほうが可愛い⋯ヒッ!?」


 メルカンテさんがセクハラ発言した瞬間にその場が凍りついた。

 やばい、ルズナがガチギレしてる。まずい、止めないと!  



 「ウミ様に手を出そうとするとは、死にたいようですね。この裏切り者」

 「わりぃ、とはいえ俺は腐ってもお前の兄だぞ?血縁を殺せばどうなっているか知っているだろ?」

 「それを貴方が言いますか?実の親を殺した貴方が」


 とんでも爆弾発言来ちゃった⋯。

 え?親を殺した⋯?

 さっきまでニコニコしていたメルカンテさんの顔が怖い、お願い誰か止めてー!!


 「貴方さえいなければ⋯!母さんの仇っ!」


 目の前に稲妻が走った。

 メルカンテさんどうなった!?

 死んでないですよね?


 「何やってんだよ、お姉ちゃんもメルカンテ兄様も。今日は温泉に来たんじゃなかったのか?ああん?お姉ちゃんは早とちりしない!メルカンテ兄様はこうなる前にやめろ!いつも説明不足なんだよ!ウミ様もヒビキさんもリッカさんも怖がってるから。今すぐに謝れ」

 「でも、カズナ。こいつは⋯!」

 「あ、や、ま、れ!!」

 「「すみませんでした⋯」」

 「わかったならよろしいのです。今後はこのようなことが二度とないように。いいですか?二度とですよ?」

 「「わかりました⋯」」


 さすが兄妹、息ぴったりだ⋯って感心してる場合じゃない!

 カズナ怖えぇぇぇ⋯。

 鬼だよ、ガチで。


 「(小声で)カズナ怖いね。リッカちゃん、ヒビキくん」

 「(小声で)あんな怒ったカズ姉見たことねぇ」

 「(小声で)絶対に怒らせないようにしなきゃよね!」

 「「うん!!!!」」 

 「何がうん!!!!ですか?聞こえてますよ」

 「「「ギクッ!!」」」


 聞かれていた、だと⋯!

 今度からは読唇術でも覚えて喋らないといけないな。


 「はぁ。今回のはお姉ちゃんの早とちりと思い込みが原因なんです。本当にごめんなさい」

 「じゃあ、メルカンテさんが実の親を殺害したっていうのは?」

 「あ、それは本当です」


 本当なんかい。

 でもメルカンテさんのことだから何か理由があるのでしょう。

 彼が話してくれるまでこちらから聞く必要はないな。


 「温泉の準備ができたわよー!」 

 「はーい!今行きまーす」


 ま、とりあえず温泉入ってゆっくりしよう。


最後まで読んでいただきありがとうございます!


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