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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第二章 領主生活
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第21話 温泉が湧いただと!?


 アルキさんと契約を結んでから2ヶ月がたった。

 下水工事は現在滞りなく進んでいる。

 先日はミステーロ湖から水を引き、新たな川ができた。

 水道橋もでき、浄水場も完成した。

 そして春の訪れを告げるように桜の蕾が膨らもうとしていた。


 アルキさんと協力し、水洗式トイレの大量生産になんとか、なんとか成功した。

 何気にこれに時間が死ぬほどかかった。そして死ぬほど怖かった。

 最初は上手く行ってたんだけど、途中でなぜか爆発したのだ。

 意味わかんないよね!?私もわかんない!

 アルキさんいわく金属同士の急激な化学反応のせいらしい。

 それがなんとか終わったので、今はのんびりインコルトの防御結界の作成に取り掛かっている。


 カズナは元気だ。

 この間いなかったのは体調が優れなかったからだそうだ。

 でもいつもより元気がない。

 何があってもいいように、もっとカズナを見ていよう。


 響くんはアルキさんから古代魔術を習っているそうだ。

 エルフ族は100年前に突如として消え去った種族で、長い時を生きているために古代魔術も知っている。   

 エルフ族は稀にハーフエルフとして生き残っている場合があるけれど、純エルフはアルキさん以外存在しているかどうかもわからないらしい。


 陸華ちゃんはサッジオさんのところに通ってバイトみたいなことをしている。

 そのついでにこの世界の常識や知識を学んでいるそうだ。

 人魚族も生き残っていない。

 欲深い人間によって一族のほとんどが殺害され、食べられてしまったらしい。

 それなのに、元人間の私達に優しく接してくれるサッジオさんには感謝しかない。


 今日は、地下に作っていた下水道から温泉が出てきたとのことで確認に来ている。

 リアも今回は一緒だ。

 連れて行かないとまた部屋を荒らしそうな勢いだったので仕方なくだけど。

 本当に女神様なのかな?ってぐらい人間と馴染んでしまっている。

 私からはわんぱくな5歳児にしか見えないのだけれど。


 現場に着くと、いつも通りメルカンテさんとブリランテさんの二人がいた。

 今度ペア名でもつけようかな。


 「よう、カイル。今日はリアも一緒なんだな」

 「こんにちは、カイルくん。こんにちは、リアさん」

 「ブリランテさん、メルカンテさん。こんにちは!ここが温泉が出てきた場所ですか?」

 「ああ。だいぶ深いところから湧いたようなんだ。領主様よー、これどうする?」

 「私的には温泉施設を建てて、公衆浴場を作るのが一番良いと思うのだけれど、問題はこの上が領主邸なことなのよね」

 「そうなんですよね。領主邸ではなく、ダンジョンの近くに湧き出てくれたらよかったんですけど⋯」


 ダンジョンの近くに湧き出てくれたら、ダンジョン帰りの冒険者の人たちに入ってもらうことができるのに。


 『できるぞ、ご主人様よ』

 「え?リアそんな事できるの?」

 「どうした、カイル?」

 「いや、リアが温泉をダンジョン近くに移せるって言っていて」

 「それ本当ですか!?本当だったらそうしてもらったほうが嬉しいです!」

 「ちょっと掛け合ってみます」

 「「頼んだ!(頼みましたよ!)」」 

 『ねぇ、リア。温泉をダンジョンの近くに移すにはどうしたらいいの?』

 『そうじゃな、これを彼らにご主人様が話すのは難しいじゃろうから、わらわが直接話すとしよう』 


 リアは次の瞬間、目の前で喋り出した。

 メルカンテさんとブリランテさんは、リアが初めて喋ったときの私みたいな顔をしている。


 「こうやって話すのははじめてじゃな、わらわはリアじゃ。よろしくな」

 「よろしくおねがいします」

 「よろしく」

 「それでリアさん、温泉をダンジョンの方に根本から移すことはできるのでしょうか?」

 「ああ、できる。ご主人様が転移魔法の応用魔法である瞬間転移魔法を使えば一瞬でな」

 「なるほどな、できるか?」

 「やれるだけやってみます!!」

 「まず、ご主人様の手に、身体全体に、ご主人様の魔力を馴染ませるのじゃ」


 そう言われ、試してみる。

 魔力を流し始めると身体に痛みのような、よくわからない感覚が走った。

 続けて流していくと、しだいに息が荒くなっていく。

 最後まで流しきると、身体が重くなり、息をすることが難しくなっていった。


 「大丈夫か、カイル?」

 「⋯はぁっ、はぁっ、だいっ⋯じょうぶ、です」

 「無理しないでくださいね」

 「ありがとう、ございます」


 元々の変化魔法と幻影魔法の副作用に、今の魔力を流したことで体力ほぼ残ってなさそう。

 治癒魔法を後でかけなきゃ。


 「次は地面に手をあて、転移魔法で温泉を包む」


 地面に触れると自分の身体よりは楽に流すことができ、簡単に包むことができた。


 「できたみたいじゃな。最後は地図を見ながら場所を指定し、テレトラスポルトと言うのじゃ」

 「わかった」


 ようやく俺の出番だ、というようにメルカンテさんが地図を目の前に出してくれた。

 場所はダンジョンの入口の隣、確定!


 「テレトラスポルト!」


 地下にあった温泉はすべて泡となり飛んでいった。


 「成功しましたか?」

 「あぁ、成功じゃ。お疲れ様」

 「カイル、お前は天才だ!」

 「えへへ、ありがとうございま、す?あれ、まただ⋯」


 その瞬間、私は意識を失った。


最後まで読んでいただきありがとうございます!


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