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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第2章 領主生活
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第18話 久しぶりの休日


 今日は久しぶりの休日だ。

 休日と言っても、やることが特にないってだけなんだけどね。 

 なので今日はこれまでの出来事をノートにまとめるとともに振り返っていこうと思う。


 まずは異世界召喚。

 星奈と談笑してるときに転移陣が現れて、胡散臭いジーク王に勇者になれ、とか言われたんだ。

 しかもステータスが異常で人間じゃないし、職業2つもあるしでわけがわからなくなったんだよ。

 でも今となれば人間じゃないのも理解できるし、職業に関しては魔王の娘だからって可能性がある。


 その後はディアボロ伯爵によるこの世界の基礎知識の授業と特訓。

 これはきつかった。

 プランク3分間とか、腕立て50回とかね。

 これを30日間、毎日繰り返して挑んだ中間試験。

 ルイ様のあの負け面を思い出すと今でも笑いが... 。

 これ以上考えると悪口しか書けなくなるからやめておこう。


 あと、ユリア様に私特製のミサンガあげたんだっけ?

 で、ジーク王からゴブリン討伐の責任者任されて大和に告白されたんだ。

 その後、絶対無事に帰ろうって約束したのに守れなかった⋯。

 

 そして、母さん、父さんと再会して、母さんが魔王であること、ディアボロ伯爵が母さんの部下であることがわかった。

 魔族化してスキュラになって、カズナ、ルズナ、ブリランテさん、クレデーレさん、メルカンテさん、サッジオさん含めたくさんの人と仲良くなれた。 

 冒険者ギルドと商人ギルドに所属し農業も始めた。

 ハローワークも作って、陸華ちゃんと響くんとも再会して保護する事もできた。

 波乱万丈ではあるものの、辛いことばかりじゃない。

 これからも下水工事をしたり、治安維持をしたりとやることが山積みだけど頑張ろうな、未来の私よ。


 筆を置き、書いた文章を読み直す。

 書いていて思ったのだけれど、異世界に来てから半年も経ってないんだよね... 。

 本当にいろいろあったな。

 よし、切り替えて明日の下水工事の計画でも立てるとするか。


 そうして地道に計画表を立てること数時間。

 リアが目を覚ました。


「くぉ〜ん」

「おはよう、リア。なぁに?遊んでほしいの?」

「くぉーん!」

「じゃ、遊ぼうか」

「いいのか!?ご主人様と久しぶりに遊べるのじゃー!」 


 頬を思いっきり引っ張ると右頬に痛みが走った。

 どうやら夢ではないらしい。


「リア...?あなたは喋る事ができるの?」

「言い忘れておった。わらわは女神の化身。ほんとは君の叔母についていたのだがな。彼女が亡くなってしまったので、お主が8歳のころからついておったよ」

「8歳⋯」

「でな、ご主人様が17歳になられたからわらわがでてきたのじゃ。たまに倒れたときに『まだ飲み込まれてはなりません』とか囁いておったのじゃが覚えておらんのか?」

「あぁー、ルイ様との戦いのあと私が倒れたときに聞こえてきた声の主が、リアってこと?」

「そうじゃ!覚えていてくれたのだな。わらわは嬉しいぞ。さぁ、ご主人様、遊ぼうではないか!」

「ちょっと待っていて。まだ仕事が終わってないから」

「さっきは一緒に遊ぶと言っていたではないか。しかも今朝、『今日は久しぶりの休日だ』とも言っておったじゃろうが。全然休日じゃないではないか。今日ぐらいわらわと遊ぶのじゃー!」

「⋯あぁもう。わかったよ。今日だけだからね?」

「わかっておるぞ。しかし今回はわらわの勝ちじゃな」


 めっちゃ誇らしげに犬の姿で言ってくるリアを見て、本当にこの子は女神の化身なのか?と思っていることは言わない方がいいだろう。


 「ねぇ、リア。私の前のご主人様はどんな人だったの?」


 リアの毛繕いをしながら聞いてみる。


 「とても優しく思慮深い人間じゃった。彼女は自分の息子を守って亡くなったのじゃ。確か息子はご主人様と同い年で"ヴェリタ”という名前の少年だった」

 「そうなんだ⋯」

 「悪魔族の族長の嫁になっての、とても愛されておった。まぁ、わらわが彼女についたのは前魔王がこの世界においての禁忌を犯したからなのだがな」

 「禁忌?」

 「その話は置いといて、話を戻すと彼女は子供にも恵まれ幸せに暮らしていたのじゃ。あの日までは」

 「何があったの?」

 「ヴィンズ王国の人間が攻めて来たのじゃ、このインコルトの街に」

 「まさか、それで?」

 「いや、少し違う。インコルトの民はみな、必死に抵抗した。そのかいあってすぐに魔王が駆けつけ、追い返すことができた。ここまでは順調だったのじゃ」

 「ここまでは?」

 「ヴィンズ王国の幹部にヴェリタが誘拐されたのじゃ。それで奴らは『こいつの命が惜しければ最重要戦力を渡せ』と要求してきたのじゃ」

 「誘拐!?」

 「ああ。魔王が行くと言ったのじゃが、それを制止して母親である彼女が向かい、そのまま帰らぬ人となってしまった」

 「それで...。その後、ヴェリタくんはどうなったの?」

 「彼は助かった後、姿を変えて暮らしているのじゃ。ご主人様は会ったことがあると思うのじゃがわからないのか?」

 「私と会ったことがあるの?」

 「まぁ、彼が正体を教えていないなら、わらわが口を挟むのはだめじゃな」


 一体誰なんだろう。

 私の従兄なら会ってみたいな。


 「ところでご主人様、明日は何をするのじゃ?」

 「明日は下水工事の指導と現場視察かな」

 「それにわらわもついて行ってよいか?気になるのじゃ、ご主人様がどんなことをしておるのか」

 「いいわよ。じゃ、今から明日に備えて準備をしようか」

 「わかったのじゃ」      


  こうして優海の休日ではない休日が終わったのであった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

この回でリアが話していた禁忌の話にまつわるものが、別作品で投稿しています。完結しているので、時間があるときに見ていただけると嬉しいです。誤字脱字がございましたら、報告いただけるとありがたいです。もしよろしければブックマークと★マークを5まで押していただけると励みになります。

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