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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第二章 領主生活
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第17話 みんなでお買い物 ーメルヘンな洋服店ー


 カズナに案内されて着いた店は街の隅の方に佇むメルヘンチックな洋服店だった。

 隣接している装飾店も看板から見ると、同じ店のようだ。


 「こんにちはー!カズナです。サッジオさんはいらっしゃいますかー?」

 「おぉ、カズナちゃんやん。久しぶりやなぁ。今日はどうしたん?」 

 「私の友達のカイル様とリッカさんとヒビキさんのお洋服を買いに来たんです!」

 「そうかー!カズナちゃんが嬉しそうでなによりやわー。さぁ寄っていき〜」

 「ありがとうございます!」


 ここがカズナの折り紙付きのお店か。

 店長であるサッジオさんは方言を使うお兄さんだった。

 しかも糸目。

 好みにドンピシャ過ぎて言葉が出ない... 。


 「俺はサッジオや!ここの店主をしとる。よろしゅう頼むわ〜」

 「はっ...!僕はカイルです!こちらこそお願いします!」

 「みなさん好きなお洋服を選んでくださいね!あ、もちろん領主様の分もですよ!」

 「わかってるよカズナ!僕が選んでおくから」

 「カイル様なら安心ですね!サッジオさんすみません。メイド服を新調したくて、それもお願いしてもいいですか?」

 「任せとき!カズナちゃんとルズナちゃん二人ぶんでええか?」

 「はい!お願いします!」

 「とびっきり可愛いのを作ったるわ!」


 カズナたちもメイド服の新調をするのか。

 とびっきり可愛くするって言葉に期待しよう。

 

 「陸華ちゃんはどんな服を選ぶの?」

 「このチェックのワンピースにしようと思っているわ」

 「めっちゃ似合うと思う」

 「この麦わら帽子買おうか迷ってるのよね」

 「もっと可愛くなると思うから、買って」

 「う、うん。わかった。買うから...」

 

 食い気味に言ってしまったので、陸華ちゃんは少し引いていた。

 話を逸らすように響くんに話しかける。


 「響くんは何を買うの?」

 「あ、俺っすか?俺は紺色のローブと茶色いブーツを買おっかなって思ってます」

 「めっちゃいいじゃん。絶対似合うよ!」

 「あざす。で、アンタは何を買うんだ?」

 「僕はこの薄水色のブラウスと黒の短パン。領主様には動きやすい薄桃色のドレスにしようかなと。あと冬用にケープも買おうと思ってる」

 「へぇー、良いんじゃないかしら。意外とそういうのが好きだったのね」

 「ま、まぁね」


 ちょっと照れくさいかも...。

 だってちょっとお姫様系のフリフリしたものを着ることに憧れがあったのだ。

 自分の欲求にはあらがえないので仕方ない。


 「こ、この話はいいからさっさとお会計しちゃいましょう。カズナもそれで良い?」

 「問題ありません」

 「じゃ、サッジオさんお願いします」

 「は~い。ワンピースにローブ、ブーツ、ストローハット、ドレス、ブラウス、ショーパン、メイド服の仕立ての依頼の9点でお会計は金貨15枚や」

 「このアーティファクトでお願いします」


 サッジオさんが用意してくれた専用アーティファクトに自分のアーティファクトのボタンを押す。

 そこからピッという音が鳴って、会計が終わったようだった。


 「これで完了や!なぁカズナちゃん、カイルくん借りてもええか?」

 「えぇ、構いませんけど、カイル様はそれでもよろしいですか?」

 「僕は大丈夫ですよ」

 「んじゃ、俺についてきてくれ。カズナちゃんたちはここで待っといてな?」


 サッジオさんについて店のバックヤードに入った。


 「カイルくん、単刀直入に言うで?自分、領主様やろ?」 


 Oh、何故かバレてる。


 挙動も以前より男の子っぽくなったと思うんだけどな。


 「え?なんでそう思うんですか...?」

 「そりゃ初対面のやつに言われたら怖いよな。俺は賢者で、人の一番隠していることがわかるんや。誰にも言わんから安心してな?」


 全部見透かされちゃってるのか。

 普通に怖いな⋯。

 でも何か懐かしいような温かいものをサッジオさんから感じる。

 だからか自然と信じていいような気がした。


 「それで今日はカイル君に感謝したかったんや」

 「僕に?」

 「カズナちゃんはな前領主のときはもっと悲しそうでつらそうだったんや。でも、カイル君がこの街の領主になってからは笑顔が増えてなぁ。嬉しそうに君の話をしてくれるんよ」

 「そうなんですね。?ちょっと照れくさいです...」

 「これからもなんかあったら俺に頼ってくれや」

 「ありがとうございます!」 


 カズナは優しい子だ。

 だからこそ前領主にこき使われたり、良いように使われてきたのだろう。

 でもちゃんと見てくれて、助けてくれる人がいる。

 私はそれに心から安心することができた。


 「ほな、戻りましょか」

 「はい!」


 バックヤードから戻ると3人で腕相撲をしていた。

 え、なんで?


 「あ!カイル様、サッジオさんおかえりなさい!何を話していたんですか?」

 「んー、内緒ですよね!サッジオさん!」

 「せやせや、大人だけの秘密や」

 「えー!なんでですかー!私のほうがカイル様よりも年上なのにー!」


 その言葉でみんな腹を抱えて笑った。


 「冗談や、冗談。カズナちゃんは立派なお姉さんやもんな」

 「子供扱いしないでください!」

 「いやすまんすまん、カズナちゃんの反応が面白くてな」

 「もう!みなさん笑わないでくださいよ!」


 カズナは顔を真っ赤にしながら怒っていた。

 でも少しだけ嬉しそうだった。


 「そろそろ帰りますね」

 「おう!気ぃつけて帰りや!」


 そうしておかしくて楽しい買い物は終わったのであった。

 帰り道、腕相撲の勝敗を聞いたところ、優勝したのはカズナだったそうだ。


最後まで読んでいただきありがとうございます!


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