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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第2章 領主生活
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第14話 元クラスメイト


 私は目の前にいる人物達に固まってしまった。

 ルズナとカズナに連行されてきた2人が"元クラスメイト"だったから。

 でも、獣耳生えてるし羽が生えている。

 なんらかの理由で魔族化したのか?


 ちなみにさっき「なんで俺等が」って言ってたやつが火宮響(ヒノミヤヒビキ)。

 クラスの中では金髪で不良だったからちょっと煙たがられてたんだよね。

 なぜか大和と仲が良かったな⋯。


 その隣の「早く解放して」って言ってたのが葉桜陸華(ハザクラリッカ)だ。

 今の雰囲気とは違い、美術部で黒髪ロングの高嶺の花だった。

 

 でもどうしてこんなにも正反対の二人が一緒に⋯まって、私が生きてることがバレてしまったのでは?

 どうしよう!?

 このままじゃディアボロ伯爵の苦労が水の泡になってしまう。


 「ねえ、聞いてんの?ねえってば!そこのお姉さん!」

 「っ!?あ、ごめんなさい。ぼーっとしていて」

 「いつになったら解放してくれんのよ!?」

 

 あれ?これひょっとしてバレてない感じ?

 良かったー!

 いけない、いけない、仕事に集中しないと。


 「まだお二人を解放することができません。それでルズナ、この二人は何をしたの?」

 「この二人は私たち受付嬢に対しての迷惑行為や、無銭飲食に加え、領主様への侮辱などの行為をしたため連行しました」

 「ホントですよ、領主様への侮辱だなんて許せなくって!一瞬ボコボコにしてやろうかと思ったぐらいなんですからね!」


 あーなるほど、アーティファクト持ってないから無銭飲食してしまったのだろう。

 領主様への侮辱って私はそんな気にしないのに。

 でも私の経験上、多分相手にも理由があるはずだ。


「カズナ、ルズナ、一旦落ち着いて。で、あなた達はどうしてそんなことをしちゃったの?」

「ブライアン王国から2人で逃げてきたからお金は持ってないし、体が変わっちゃうし、そのアーティファクト?ってやつを持っていないから、後払いできないし交渉してもだめだったから⋯仕方なく」

「ああ、リッカの言ってる通りだ。3日も食べていなくてお腹が空いて無銭飲食したんだ。そこの店主にお金がないって言ったら、仕事して返せと公共職業安定所(ハローワーク)に連れてこられてパニクった結果、暴言を吐いちまったんだ」

「なるほど。そういう理由があるのなら、今後一切迷惑行為をしないことを条件に許しましょう」

「⋯ウナ様。『パニクった』とはどういう意味でしょうか?」


 そうか、この世界には存在しないんだっけ。


「気が動転したって意味よ」

「ありがとうございます」

「なぁ。なんで俺達は身体が変化したんだ?」

「千里眼で見たところ、あなた達はなんらかの理由で魔族となったみたいね」

「俺達が魔族⋯?」

「嘘。どうして⋯?」

「⋯なぁ、教えてくれよ。俺達はどう生きていけばいいんだ。人間でもないし、純粋な魔族ってわけでもない。もうどうすれば良いんだよ⋯」


 2人は動揺して目を白黒させている。

 信じられないのもめっちゃわかるわ。

 私もそうだったから。 


 「ねぇ二人とも、ここはどこだと思う?魔族領だけど唯一人間が多く出入りする場所よ?ここなら元人間でも生活できるわ。ここの人たちは優しいからあなた達のことも受け入れてくれるはずよ」

 「そんなこと言われても、信用できないわよ⋯。それにどうして言い切れるの?」

 「私もあなた達と同じだったから。裏切られて、自分が自分じゃなくなってしまった事実を受け入れられなくて、急に偉い立場に就かされたプレッシャーもあって自信を失っていた私を温かく受け入れてくれたのは、この街だったから」


 これは、本当のことだ。

 人間でも純粋な魔族でもない部外者の私を受け入れてくれたのはカズナを始めとしたこの街のみんなだから。

 本当に感謝してもしきれない。


 「だから、私達のことを信じてほしい」

 「⋯わかった。俺はアンタたちを信じることにする。リッカはどうする?」

 「私も⋯、私もあなた達を信じてみる」

 「カズナとルズナもそれでいい?ってカズナ泣きすぎ」

 「だっでぇ、だっでぇ!いろいろと大変だったときに支えになれてよかったと思ってぇ!これから何があっても私はウミ様についていきますー!」

 「私もカズナと同じです。どこまでもついていきます」


 2人とも私のこと大好きじゃん。

 なんか照れるな。


 「⋯なぁ、今ウミって言ったか?」

 「はっ!?すみませんウミ様、いいえウナさん!」


 カズナちゃーん!?

 なにしてくれちゃってるの〜!

 まぁこの二人ならバレても大丈夫だろうけど。


 「お前さ、もしかして葉月優海か!?」

 「確かによく見れば似てる⋯かも?」


 はい、バレました。

 ええい!もう言ってしまえ!


 「そうだよ。今、私はこの街の領主として過ごしてる。私も身体が変化しちゃってスキュラっていう魔族なんだよね」


 どんな反応をされるだろうか。

 軽蔑されないといいけど。


 「「よかった!」」

 「へ?」

 「お前、生きてたんだな!ありがとな、俺達を助けてくれて。大和たちもめっちゃ心配してたんだぞ!」

 「そうだよ!星奈ちゃんと大和くんと真くんでうみちゃんのことを探すために勇者パーティを作って今も探してるんだよ!でもよかったようみちゃんが生きていてくれて」


 予想とは違い、すごい喜ばれてる。 

 それにしても大和たち、勇者パーティなんか作ったんだ。

 私を探し出すためだけに。

 でも会いたくても、この姿じゃもう会えないよ。


 「二人とも心配してくれてたんだ。ありがとう。でもこの姿じゃもう、会いに行けないかな。私は国に殺されかけたから。だから今戻っても無理だと思う」

 「確かに俺等も同じだな、あっはっはっはっはっはっは」

 「「「あっはっはっはっはっはっはー!」」」

 「ははは~、って笑ってる場合じゃねえ!」

 「じゃあ改めて自己紹介してもらおうか。名前と職業と自分の種族、これからやりたい職業を教えて。あと魔力量も教えてくれると助かる」

 「わかった。俺は火宮響、ヒビキ ヒノミヤだ。職業は銃使い、種族は人狼、これからやりたいのはこの屋敷で働かせてほしい。魔力量は増えたみたいで1200だ」


 やっぱり身体変化することによって魔力量も増えるのか。

 ひょっとして私も増えてるのかな?

 最近ステータス確認してなかったから、あとで確認しておくか。 


 「次は私ね。名前は葉桜陸華、リッカ ハザクラよ。職業は精霊使い。種族はハーピー。私もここで働かせてほしい。魔力量は私も増えたから1300かしら」 

 「ここで働くことには全然問題ないよ。ねえ、ルズナ、カズナ。この二人の部屋ってすぐに用意することはできる?」

 「ウミ様のお部屋の隣の部屋が2部屋ほど空いておりますので、すぐに用意してまいります。カズナ、行きますよ」

 「はぁ〜い。ウミ様、また後で会いましょうね!」

 「またね!ルズナありがとう、お願いします!」

 「おまかせください、では失礼いたします」


 ルズナとカズナが出ていったあと、私たちは3人だけになった。

 少しだけ気まずい⋯。


 いやだって私、根明の陰キャだし、めっちゃオタクだし⋯。

 ギリギリコミュ障じゃないんだけど、本当に気まずい。

 何を話せばいいんだろう...?


 「おい、アンタの自己紹介がまだ聞けてねぇんだけど」

 「そっか私も言ったほうが良いよね。私は葉月優海、異世界名だとウミ ハヅキ。領主と商人、冒険者を掛け持ちしてます!あ、でも冒険者と商人としてはカイルっていう偽名を使ってるからそこんとこは安心してね!種族はスキュラ。魔力量は最近見てないからわからない、ごめん」

 「全然気にしてねーよ。これからお前のことはなんて呼べばいい?」

 「外で活動してるときは基本的にカイルって呼んでほしい。それ以外ならなんでもいいよ」

 「わかったわ」

 「あ!そうそう。その姿で街をうろつかれると、ブライアン王国の人が来たときに速攻バレちゃうから変化魔法だけ習得しておいて。ただ結構副作用があるから無理しないでね」


 私みたいに1週間寝込むから。


 「わかったわ。でもどんな副作用なの?」

 「それは俺も聞いておきたい」

 「使いすぎると1週間ぐらい寝込むよ。一般人は10分使うだけで血を吐くらしい」

 「お前それ、やばいやつだろ」

 「でもこの通り人間に見えるでしょ?」

 「まぁ、それはそうだな」

 「練習すればだいぶ楽になるからさ!がんばろ!お互いに!」

 「仕方ないわよ、ヒビキ。一緒に練習しましょ」

 「ああ」


 さっきから思っていたのだけど、名前呼びじゃない??

 もしかして、もしかすると⋯ってことか。

 このことは2人からCOされるまで、心の中にしまっておこう。


 「なにかわからないことがあったらカズナかルズナに聞いてね!落ち着いたらアーティファクト買いに行ったり、冒険者登録しに行くから伝えてね!じゃ、また明日〜」


 ふう、これで説明は以上かな!

 なんかすごい疲れた。



 ブブッ、ブブッ、ブブッ


 これは着信?

 電話みたいな感じかな?

 え、ガチでスマホじゃん。


 「もしもし、どなたでしょうか?」

 『お久しぶりです。ウミ様。お元気ですか?』

 「ディアボロ伯爵!?お久しぶりです!めっちゃ楽しくやってますよ!」

 『もう、ヒビキさんとリッカさんはそちらへ着いたころですか?』

 「はい。私が作ったハローワークに迷惑客として来たんですけど、事情を聞いてこちらで保護しました」

 『それならよかったです。今回は急なことだったので連絡が遅れてすみません』

 「いえ、全然大丈夫ですよ。最初はびっくりしましたけど、ディアボロ伯爵が逃がしてくれたおかげで彼らも保護することができたので!ありがとうございます」

 『それならよかったです。私はそろそろ仕事がありますのでここで失礼させていただきます』

 「それじゃあ、また」


 本当にディアボロ伯爵いい人ぉ〜!

 アーティファクトでメルカンテさんとブリランテさんにアポ取ろーっと!


最後まで読んでいただきありがとうございます!


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