第13話 ハローワーク
みなさま、おはようございます。
異世界に来てから初めてカズナが来る前に顔を洗うことに成功いたしました。
快挙だ、これはとんでもないぐらいの快挙だ。
寝坊しかしない私が早起きするなんて!
舞い上がって部屋のなかを走りまわっていると、リアの足につまづいて顔面から転んでしまった。
「痛ったぁ⋯」
そろそろ落ち着けってことなのか。
私は物理的にも精神的にも顔を赤くしながら立ち上がった。
さてと準備に取り掛かりますか。
カズナが来る前に準備を終わらせよう。
あと約1時間ぐらいかな。
まずはメイクから。
スキンケアは終わったので軽くアイメイクをします。
異世界のわりにコスメが発達してるから、アイシャドウとチークと口紅はあるのだ。
白粉もあるにはあるんだけど毒の可能性があるから念の為使いません。
だって白粉が原因で亡くなるなんてめっちゃ嫌だもん。
肌は召喚者特典なのかスキュラ化の影響なのかツヤツヤスベスベでニキビなんかないの!
それもあって白粉は必要ないという結論に至りました。
アイメイクはブラウン系をベースに大人っぽくしていきます。
涙袋は絶壁なの?ってぐらい存在しないので作ります。
二重でもないので二重幅も書いてっと。
うん、結構良いのでは?
メイクが終わったので髪型に移りまーす。
ケープもアイロンもこの世界には存在しないので前髪は諦めよう⋯。
なぜか存在するワックスをほんのちょっとだけ髪の毛に馴染ませてっと。
じゃじゃーん!綺麗な編み込みポニーテールが完成!
最後は服だな。
受付嬢感がほしいから上はフリフリの白のブラウス、下はチェックのスカートにしよう。
身長は10cm小さいだけで、だいぶ印象が変わると思うので155cmに設定する。
おぉ~。
毎回思うけど、我ながら可愛いな。
結構タイプかもしれない。
カズナとルズナの分の服も用意して⋯。
よし、これで準備完了だ。
カズナが来るのを待とう。
少し時間がたった後、いつものように思いっきりドアが開いた。
今日はルズナも一緒のようだ。
「ウミ様!おはようございます!早く起きてくだ⋯ぬえぇぇ!貴女誰ですか?ウミ様をどこにやったのですか!」
「いやいや、私が優海だけど?」
「え!いやそんな豊満な体型のはずはな⋯ぐむっ!」
「妹が大変な失礼を働きまして申し訳ありません。おはようございます、ウミ様」
「お、おはよう」
ルズナがカズナのことを思いっきり羽交い絞めにしている⋯。
女の子は怖いぜ。
「今日は、ルズナとカズナにこの服を着て一緒に受付嬢をやってね。そこで契約を結び、金勘定と仕入れの時間を教えるの」
「金勘定ですか。私の得意分野ですね。おまかせください。しかし、契約書はどこで手に入れるのでしょうか?」
「いい質問だね、ルズナくん。私はカイルとして遊び回っていたわけではないのだよ」
「と言いますと?」
「実は冒険者ギルドと商人ギルドに加入してるから契約書なんか作り放題ってわけ!メルカンテさんからも許可をもらっているから大丈夫なの!」
「なるほど!さすがウミ様ですね~!」
「でしょでしょ?カズナはやっぱりノリが良くて良いねぇ!」
「メルカンテですか⋯。気乗りはしませんが、協力いたしましょう」
ルズナはなんか乗り気ではないようだけどカズナが乗り気なのでよしとしよう。
ポスターを作ったのはいいものの、コピー機がないと自棄になって30枚同じものを書いた昨日の自分に感謝したい。
今日の仕事がすごく楽だ。
「あ、そうそう二人とも!私のことはウナって呼んでね。お忍びで参戦するから」
「かしこまりましたー!」
「了解です」
屋敷を出た後、ポスターを手分けして張りに行った。
今の時間8時。
ハローワークの営業開始時間は11時からなので余裕が結構ある。
人が来るだけの時間はあるでしょう。
そう思って準備をしていたんだけど⋯。
めっちゃ外に人が並んでいる。
嬉しい誤算だけれど、私達だけで回すことができるのか心配だ。
「ウミ様、すごい行列ですよ!?予定より多いですがどうしますか?」
「とりあえず今日は一旦全員雇おう。母さんと父さんがくれた資金にも余裕があるし。それにやりたいことがあってそれの人員も必要だったから、ちょうどいいよ」
「わかりました、ウナ...さん。カズナ、そういうことだから。今日はバリバリ働きましょう」
「じゃあこんな感じで分けてほしいのお願いできる?」
「「かしこまりました!」」
人を雇うのにも見る目がいる。
そこで能力やスキルごとに分けてもらうことにした。
小売店の従業員として雇ったのはなるべく既婚女性にしてもらった。
その方が面倒見が良く、いろいろと覚えてもらえる。
相手側としても同じような人達と働く方が気楽にやれるだろう。
クレデーレさんに確認したところ全員知り合いらしいので信頼できるし。
そしてそのうちの何人かにハロワの受付嬢として働いてもらうことにした。
農家として働いてもらう人は男性で農業関連のスキルを持っている人を選んでもらった。
力の強い男性達は下水工事のための人材として確保してもらった。
半日後、私は仕事を終わらせて家に帰ってきていた。
変化魔法の使いすぎです、ここは任せて先に帰ってください、とカズナに口酸っぱく言われたからだ。
でももう1つ理由がある。
それは迷惑客の対応だ。
ハローワークと言っても異世界なのだ、何名か迷惑行為を行ったやつらがいたようで、営業時間が終わり次第、私の下へ通してもらうことにした。
やばい奴らだとしても才能次第では役に立つ。
私のもう1つの相棒である千里眼で見てやろうじゃないかっー!なんつって。
「っちぇ、なんで俺等が連れて行かれなきゃならねーんだよ」
「そうよ。早く解放しなさいよ!」
「それはできません。さっさと歩いてください」
「そうだそうだ!さっさと歩けー!」
「カズナ、それを言う暇があるのであれば連行を手伝ってくれない?」
「そ、それは嫌だな〜」
うわー、さっそく面倒くさそうなやつがきたよ。
いつものようにカズナの声は大きいけれど。
廊下にいるのに声が執務室まで聞こえてきてるし。
でもどこかで聞き覚えがあるような声なんだよな⋯。
「失礼します。ウナさん、該当者2名連れてまいりました」
「ありがとう、二人とも。で、この二人が何を...え?」
最後まで読んでいただきありがとうございます!




