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異世界で勇者になるはずが…  作者: 朔海恋花
第2章 領主生活
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第12話 農作業と小売店問題


 条例改正から数日後。

 体調不良から完全回復した私は、荒地の前に立っている。

 (これって、農地にできるのか!?)

 不安は頭に残るけれど、とにかくやってみることにした。


 数日前、足元がふらつくまま家に戻ると、カズナに怒られてしまった。

 隙を見て療養中にアーティファクトでメルカンテさんと連絡を取り、土地を買った。

 そしてその土地に来ているんだけど、荒れまくっている。

 まずは、このボーボーに生えている草を抜こう。


「ふんっ!とりゃあっ!」


 まずは十本。

 ん?待てよ?

 魔法使ったほうが早いんじゃね!?


 「大地魔法発動!」


 新たに入手した大地魔法を使ってみたら、一回で百本ぐらい抜けるじゃん!

 効率が爆上がりしたので小一時間で草抜きは終了した。


 次は種まきだ。

 まずは、培養土を大地魔法で作り出し、元々用意していた容器に入れる。

 土の真ん中に穴を開け、種をまく。

 上から土を優しく蓋をするようにかける。

 ここまでがメルカンテさんに取り寄せてもらった『農作大百科』に書かれている内容だ。


 それから数時間。

 一通り植え終わった。

 腰が、痛い...。


 今回は、変化魔法は使わずに、軽い幻影魔法だけで活動している。

 だから、体調はいつもより格段に良い。

 めっちゃ働いてくるねってカズナに言ったら、 『なにアホなこと考えているんですか、ウミ様は。この魔法の副作用で体調を崩されやすいんですから無理をしないでください!』 と怒られてしまった。 

 もうカズナったら、心配症なんだからっ!

 

 とりあえず、水をまきたいのだけどこれが面倒なんだよね。

 この水はわざわざ作らなきゃなのよ。

 面倒臭いなら普通の水をまけばいいじゃん、って思うでしょ?

 でもねこの水を使えば普通は半年かかるものが1週間で育つらしいの。

 効率を優先なので作ります。


 『魔法の水の作り方〜!


 その一!水を川から汲んでくる。


 その二!さっきとった雑草を鑑定して、クレッシタ草を探し出す。


 その三!水とクレッシタ草を混ぜ合わせ、自分の魔力を注ぐ。


 これで、魔法の水が完成ー!』


 これをかけていこう。

 まんべんなく、できるだけ全体的に。


 よし、今日はこれで終わり。

 1週間後に期待しよう。

 あとやることは、野菜を仕入れて売るための小売店を探さなきゃだ。

 そうと決まれば商人ギルドに行って良さそうなお店を紹介してもらおう。


===


 「無理だな」

 「どうしても、どうしても無理なんですか?」

 「ああ、どうしても、だ」

 「じゃあ理由だけでも教えてください!」

 「わかったよ。まずこの街には小売店というものが存在しないんだ」


 どういうこと?


 「わけがわからないって顔だな。いいぜ、いちから説明してやるよ」

 「お願いします」

 「前の領主が条例でこの街の住人に商売を一切禁止していたのは知っているだろ? その影響で小売店なんか一切できなかったんだよ。小さい屋台みたいなのはあったけどな」


 今ので完全に理解したわ。

 そりゃそうだよ、長い間まともな商売をしていたのは商人ギルドの人たちだけなんだから。


 「今回カイルが条例を変えてくれたが、しっかりと浸透しきっていない。だから、どうしても無理なんだ。ごめんな」

 「いえ、ここまで知ることができたのはメルカンテさんのおかげですから謝らないでください。メルカンテさん、いつもありがとうございます!」

「カイルの力になれたようでよかったぜ。というか、領主なんだから小売店を自分で作ればいいんじゃないか?」

「あぁ!その方法がありましたね!じゃあ家に戻ったら作ってみますね!」

「そうしてみてくれ!カイルは商人ギルドに入っているからいろいろと自由に使うことができるからな!」

「今日はありがとうございました!では失礼します!」

「おう!気を付けて帰れよ!」


 ナイスな案過ぎるぞメルカンテさん!

 よし、さっそく小売店を作る準備に取り掛かるか。 


 領主であるおかげで、小売店になる予定のお店は一瞬で手に入れることができた。

 問題は、この店で働く人を探すことだ。

 私が働いちゃったらさ、領主としての仕事もあるのに自由にカイルとして動けなくなっちゃうじゃない?

 そんなのは嫌なわけで、公共職業安定所ことハローワークを作ります。


 「ねーねー、カズナ〜」

 「なんですか〜ウミ様〜。髪を櫛で梳かす以外にもやってほしいことがあるのですか?」

 「うん。別にお願いがあるんだけど、引き受けてくれる?」

 「かしこまりました!なんでも任せてください!」


 おいおい可愛いすぎるぞカズナ!

 任せてください!って言いながら自慢げにしてるのなんかめっちゃズキュンってきた。 

 おっと、ドキドキしてる場合じゃないか。


 「明日さ、公共職業安定所(ハローワーク)っていう従業員を雇うための場所を作るんだけど、そこの受付嬢を一日だけやってほしいの。だめ?」

 「良いですよ!もちろんウミ様もやりますよね??」

 「ほんと!ありがとう!私が言い出しっぺだものね、やるしかないでしょ!」

 「そうと決まれば明日の準備をしましょうか!」


 カズナがあれやこれやと楽しそうに準備をし始めた。


 「ウミ様はカイルの姿でやるのでしょうか?」

 「いいえ、この姿で髪と身長を変えて化粧をして参戦するわ」

 「それはいい案ですね!お化粧はいつも通り私がやってもよろしいでしょうか?」


 正直カズナにやってもらった方が超絶ラクなんだけど、そういうわけにはいかない。


 「うーん、ごめん!カズナ、今回は私にやらせて」

 「メイドである私がやった方が適任だと思うのですが何かご事情があるのですか?」

 「うん。カズナに領主就任式のときお化粧してもらったでしょう?その顔に領民は慣れているはずなの。だから私なりに化粧をすればだいぶ印象が違うと思うの」

 「確かにそうですよね。わかりました!でもなんでバレてはいけないのですか?」

 「えーとね、こんなとこでバレちゃったらおもしろくな...じゃなくて私が裏で活動するのに支障が出るでしょ?」

 「なるほど!確かに支障がでますもんね!今回も無理しないでくださいね?」

 「わかってます...。今回はちょくちょく休憩します」


 今回はちゃんと休憩しながらやろう⋯。

 あの時のカズナの顔は怖かった。

 今後、怒られることがないようにしないと。

 ハロワの募集ポスターを作ってから寝よう。


 「おやすみ、カズナ。明日はよろしくね、ルズナにも声をかけといてね!」

 「わかりました!では失礼します。おやすみなさい、ウミ様」

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