Case.65 有害鳥獣駆除
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──Case.65 有害鳥獣駆除
いきなり側面から突っ込んできたコカトリス。
俺たちは銃口を向けて素早く引き金を引いた。
俺とカリギュラはモスバーグM590散弾銃から12ゲージのスラッグ弾を、そして志茂はFN SCAR-Hバトルライフルから口径7.62ミリNATO弾をコカトリスに向けて放った。
しかし、図体のデカい魔獣なだけあって、3、4発の銃弾では止まらない。
「コケーッ!」
コカトリスは羽を広げて飛び上がり、そのまま俺に飛び掛かってくる。
「クソ!」
俺はすぐに次弾を叩き込むが、コカトリスは俺に乗りかかり、その爪を突き立てた。
神経毒がある爪はまだ分厚いハンティングベストで防がれてるが、飛び掛かられた衝撃で散弾銃が手から放れて反撃できん……!
こうなったら……!
「おらあっ!」
俺は思いっきりコカトリスの頭をぶん殴る。
アラミド繊維の手袋に覆われた拳がコカトリスの頭を直撃し、やつの脳みそをシェイクする。
コカトリスがよろめいたところでさらにもう一撃。
コカトリスはふらふらになってぐらりと横倒しに倒れ、それと同時に俺は反対方向に転がり、散弾銃を手にする。
「くたばりやがれ、チキン野郎」
12ゲージのスラッグ弾がコカトリスの脳天に叩き込まれる。
脳漿がスプレーしたように撒き散らされ、これでコカトリスを1体撃破。
そう1体だ。
まだもう1体いる!
「もう1体がこっちに向かってきているぞ!」
カリギュラが叫び、茂みを越え、山の傾斜を駆け昇り、コカトリスが突撃して来た。
「うわっ!」
次に襲われたのは志茂だった。
これはまずい。志茂は不死身じゃないただの人間なのだ。
コカトリスの毒に血清はなく、志茂が毒を受けたらほぼ間違いなく死亡する。
「チキン野郎! 離れろ!」
俺は大急ぎでコカトリスを掴んでぶん投げる。
竜殺しの腕力はコカトリスを志茂から引き離し、地面に転がすことができた。
「コケーッ! コケコケッ!」
素早く起き上がったコカトリスが大声で鳴き、跳躍すると俺にケリを叩き込んだ。
そのときにその足の爪が、俺の右太腿に刺さる。
「ぐっ……!」
コカトリスの神経毒が回るのは早い。
俺はまず右足が麻痺し、地面に膝を付く。
次第に全身に毒が回っていくのが分かり、身体が動かなくなる。
「カリギュラ……! ぶち殺せ!」
「合点!」
そんな中で俺は叫び、その叫びに応じてカリギュラはさらなる攻撃を放とうとするコカトリスに炎を放つ。
チキンの焼ける香ばしい香りが漂う中、コカトリスが炎の中でばたばたと暴れる。
そんな中で前に出たのは──志茂だ。
「地獄に帰りやがれ、クソ野郎!」
腰のホルスターから金メッキのデザートイーグルを抜いた志茂は.50AE弾でコカトリスの頭を弾き飛ばす。
コカトリスは脳みそを散らし、地面に崩れ落ちた。
「便利屋の兄ちゃん! 無事か!?」
「だ、大丈夫だ……。もう少しで回復する……」
俺の身体に回った神経毒は俺の不死身の回復力によって徐々に押し戻され、俺は身体の自由を取り戻していく。
一時は呼吸も苦しかったが、食らった毒の量が少なったこともあり、完全に動けなくなる前に回復することができた。
「驚いた。コカトリスの毒は受けたら死ぬと思っとったんだが……」
「一応、俺は特別だからね」
良い子は真似しちゃだめだぞ。
「しかし、コカトリスが出るとは。こいつらは……」
「駆除しても1匹2万円……」
「そうなんだよなあ……」
その危険度に見合わない駆除報酬しか出ないコカトリス。
俺たちが死にそうな目に遭っても軍政局からは4万円が支払われるのみだ。
「愚痴っても仕方ない。残りのレッドキャップを駆除して帰ろうぜ」
「ああ」
それから俺たちはレッドキャップを捜索し、撃破していった。
とは言っても残存していたレッドキャップは群れからはぐれたものが3、4体で大した仕事じゃなかった。
「よしっ。これで俺の村もしばらくは安全だろう」
志茂は最後のレッドキャップを仕留め、ご満悦の笑み。
「それじゃあ、志茂。俺たちはレッドキャップの死体を集めて、軍政局に提出して報酬を貰うけどお前はどうする?」
「俺はこの村が守れただけで十分だ。報酬はいらんよ」
「そうか。悪いな」
「何を言う。お前たちのおかげでレッドキャップもコカトリスも駆除できたんだ。俺の方が礼を言わないといかん」
がはははっと志茂は豪胆に笑い、彼の家に戻っていった。
「さて、カリギュラ。レッドキャップの死体を集めて軽トラに載せるぞ」
「はあ。面倒くさいな……」
「報酬のためだ。それからコカトリスの頭も斬って持っていかないとな」
「うへえ」
俺たちはそれからせっせとレッドキャップの死体を担いで、軽トラに積み込む。
レッドキャップは日本猿よりやや大きい程度の大きさがあるので、載せられるのは30匹ぐらいまでである。
「流石に死体を剥き出しで運ぶのはあれだからブルーシートを被せておこう」
「了解だ」
俺たちは積み込んだレッドキャップの死体にブルーシートを被せ、軍政局へ。
軍政局でいつもの長々&細々なお役所仕事ののちに俺たちに報酬が──。
「これだけのレッドキャップが一か所で発生したのか?」
──と思いきや、俺たちは軍政局の軍人に尋問されている。
憲兵ではなく、情報軍大佐の階級章を付けた男性軍人だ。
坊主頭に落ちくぼんだ目をしていて、背丈は190センチ程度。
「そう言っただろう。怪しいと思うなら、志茂って男に聞いてくれ」
「近くにゲートがあったとも言っていたな? それを爆破したとも」
「言ったよ。別に構わないだろ? あんたら軍政局に任せていたら、数年はかかっちまうだろうし?」
「ふむ」
俺を尋問している情報軍大佐はじっと考え込む。
「分かった。行っていいぞ。駆除報酬は受け付けで受け取れ。それと──」
情報軍大佐は俺の方を見つめる。
「最近、君が対処したような小型で不安定なゲートが熊本県内で複数確認されている。またその手のゲートを見つけたら軍政局に報告してくれ。報酬は出すぞ、便利屋君」
「分かった。そう言われたら断れないな。お前の名前は?」
「私は深浦士郎情報軍大佐だ。以後よろしく」
その軍人は深浦と名乗り、俺に向けて手を振ったのだった。
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