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Case.60 追跡作業

今日の更新はこれにて終了です。応援よろしくお願いします。

……………………


 ──Case.60 追跡作業



 俺とカリギュラは山林でゴブリンの駆除に当たっている。

 ついでに依頼された猟友会の志茂の捜索というのも念頭に置いていた。


 さて、ここでゴブリン駆除の方法だ。

 先に言ったように罠猟はあまり有効ではない。

 連中は器用な手先で罠を解いてしまうからだ。


 だが、やつらは臭う。

 酷く臭いというわけではないのだが、独特の臭いがする。

 その臭いを追えば、大抵はやつらの住処が見つかる。


 そう、やつらは住処を作る。

 といっても、そんなに立派なものじゃない。

 アナグマの類がやるように樹木の根元に巣穴を掘ったり、廃屋の軒下に潜んだりと、その程度だ。


 特に廃屋は問題だ。

 地獄戦争の影響で熊本には多くの廃墟が生まれた。

 そこにゴブリンだけではなく、様々な魔獣が住み着いてしまっている。


 今回は山林に廃屋がある様子はないので、恐らく地中に巣穴があるだろう。

 ゴブリンそのものはそれこそエアライフルでも仕留められるだけの脅威でしかなく、俺たちが装備しているモスバーグM590散弾銃は過剰戦力と言ってもいいほどだ。


「カリギュラ。臭いはどうだ?」


「するぞ、するぞ。ゴブリンのそれだ。それから、これは……」


「どうした?」


「妙な臭いがする。ゴブリンと違う魔獣の臭いだ。しかし、ゴブリンの臭いと混じって分かりづらい。もっと近くに行けば嗅ぎ分けられるだろうが」


「じゃあ、まずはゴブリンを追おう。それから人間の臭いにも気を付けてくれ。そのよく分からない魔獣に襲われているかもしれない」


「合点」


 俺たちはゴブリンの臭いを辿りながら、同時に人間の臭いにも注意する。

 カリギュラが臭いで探す中、俺は周囲の目に見えるものからゴブリン、志茂、そして未知の魔獣を探る。


 ジャングル戦については情報軍時代に訓練を受けていた。

 未整備の森林にも道は存在する。

 獣道や移動しやすい開けた場所がその道だ。

 動物も人間も自然とそういう道を通ろうとする。

 訓練された軍人は待ち伏せを警戒してそういう道を避けるが、俺たちが探しているのはゴブリンと猟友会のおじちゃんだ。


「おっと。足跡を発見、と」


 俺はそういう場所に目を向けつつ進み、早速痕跡を発見した。

 男物のブーツの足跡が地面に残っていたのだ。


「比較的新しい足跡だな。カリギュラ、この付近の臭いはどうだ?」


「人間とゴブリンの臭いがする。それからやっぱりそれに混じった臭いも」


「じゃあ、この足跡を辿ろう。まずは志茂って男を助けた方がいいからな。俺たちがゴブリン相手にドンパチするのに巻き込んだら気の毒だ」


「了解した。俺様も臭いを追う」


 ゴブリンを撃ったときの流れ弾や跳弾が志茂に当たったら大変だからな。


「志茂はこの道を進んだな。草木を踏み分けた痕跡がある。折れた植物の色合いからして、そこまで古い痕跡じゃない」


「よく分かるな、そういうの」


「マンハントも俺の仕事だったのでね」


 感心するカリギュラに俺はそう言い、足跡を追った。


 俺たちは足跡と臭いを追ったが、不意にそれに変化が現れた。


「……血の跡だ。ゴブリンのものか?」


「臭いはゴブリンだな。人間じゃない」


「足跡と血痕が続いている。仕留め損ねたゴブリンを追ったか……?」


 俺たちは足跡と血痕がずっと森の奥に続いているのを見つけた。

 何やら嫌な予感がしてきた。

 トラブルの臭いがする。


「用心して進むぞ」


 俺はカリギュラにそう言い、慎重に山林を進んでいく。

 そして、進むこと20分ほどで新しい痕跡を見つけた。


「ゴブリンの死体だ。右足に一発と心臓に一発。この傷はエアライフルでできた傷だろうな」


「これをやったのが志茂だとすれば、やつはどこに行った?」


「それが問題だな。まだ狩りを続けているのか?」


 ゴブリンの死体は死んでからそう時間は経っていない。

 腐敗の具合から見て、死後12時間程度だ。

 昨日、山に入った志茂がこのゴブリンを撃ったというのは時間的に一致する。


「阿賀野。血の臭いだ」


「そりゃここにゴブリンの死体があるからな」


「いいや。違う──人間の血の臭いだ」


 そこでカリギュラが警戒するようにそう言った。


「おいおい。マジかよ。トラブル確定か……?」


「死ぬような量ではないが、血を流していることは確かだ。それから恐怖の臭いも僅かにだがする」


「恐怖の臭い? そんなものまで分かるのか?」


「ああ。汗に染み出た感情の臭いだ」


 志茂が血を流し、恐怖していたとなると、トラブルはもう確実だ。


「まずは血を探そう。臭いはどこからする?」


「こっちだ」


 カリギュラの鼻を頼りに俺たちは進み、そこで血痕と決定的なものを見つけた。

 それは僅かな血に染まったオレンジ色の布切れ。


「これは……ハンティングベストの切れ端だな。それもさほど古くない血が付着している。何かに襲われたのか?」


「らしいな。ゴブリン以外の臭いもする。ゴブリンによく似ているが違う臭いだ」


「まさか……」


 俺はそう言われてひとつ心当たりがあった。


「カリギュラ。警戒しろ。この臭いは──!」


 そこで何かが素早く木々の間を動いた。

 そして、俺の首から鮮血が──。


……………………

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定番のあれかな?ゴブリン駆除で上位種、大集落
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