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Case.41 恐怖のデスミミズ

……………………


 ──Case.41 恐怖のデスミミズ



 地獄戦争が始まった日のことは今でも覚えている。

 空が血のように赤く染まり、一時的に全ての電波が途絶えた。


 無線やラジオにはノイズだけが流れ、テレビも黒い映像だけを流していた。


 しかし、なぜ地獄と地球が繋がったのかについては不明なままだ。

 カリギュラすらもなぜ地獄が地球と繋がったのかについて知らなかった。



 * * * *



 俺たちは朝一番の誰もいない朝風呂を楽しんでから、11時のチェックアウト時間に旅館を出た。


「またのお越しをお待ちしております」


「ああ」


 女夢魔(サキュバス)のスタッフに見送られ、俺たちは車で自宅を目指す。


「また長いドライブになるな」


「うへえ。山はもう飽きるほど見たぞ~……」


 阿蘇から熊本市内までは結構な距離がある。

 しかも、地獄戦争による交通インフラへの影響とUNEがやってる工事のせいで、迂回を強いられたりするのだから大変だ。


 しかし、それ以上に俺たちの行く手を阻むものが現れるとは、旅館を出たときには想像もしていなかった。


 それは俺たちが黒川温泉を出てから、市内に向けて車を走らせていたときだ。


「あれは……」


 UNEのロゴが入った看板が道路に横倒しに倒れていた。

 それは工事中であることを知らせる看板だったのだが、工事をしている人間の姿は見えず、重機も放置されているように見えた。


 俺は速度を落としてその場所に近づき、様子を見る。


「通っていいのか?」


「いいんじゃないか? ここを迂回させられると相当戻らないといけなくなるぞ」


「ううむ。ちょっと様子を見てくる。待っててくれ」


 もし、まだ工事中で道路にへこみでもがあって、それに嵌まって動けなくなったりしたら面倒なこと極まりない。

 レッカーを呼ばなきゃいけなくなるし、今の熊本でその手のサービスは酷く時間がかかるのである。


 俺は降車して工事中の看板の向こうの様子を確認に向かう。


 すると──。


「おおい、そこのあんた!」


 道路脇の青々とした草原にある岩の上にUNEの工事用ヘルメットを被った作業着姿の男たちがいた。

 数は3名。全員が身を寄せ合うようにして、岩の上に乗っている。


「なあ、工事しているんじゃないのか?」


「化け物が出たんだよ! 逃げろ! そこから逃げろ!」


「化け物~?」


 俺はそう言われて周囲を見渡すが、何も見えない。

 あるのは工事のせいか、戦争のせいか少しばかり荒れた道路と──。


「ん?」


 そのとき地面がぐらぐらと揺れるのが分かった。

 地震のような揺れを受けて俺は嫌な予感がし、近くにあった重機の上に飛び乗った。

 そのときだ。地面が裂けた──!


「うわっ」


 俺が驚く中、裂け目から現れたのは巨大なミミズのような生き物だった。

 ミミズと違うのは、上下の顎に6本の牙がある巨大な口を持っていることだ。

 そいつはのたうちながら地面の裂け目から口を出し、俺はじっと息を殺してそいつを見ていた。


 それから1、2分してそいつは再び地中へと姿を消した。


「な、なんだ、あれは……」


 俺は見たことのない化け物の姿に戦慄する。


「阿賀野~? 凄い音がしたけど工事はやってるのか~?」


「待て! こっちに来るな、カリギュラ!」


 ここで事情を把握していないカリギュラがやってくるのを俺が制止する。

 再び地面が揺れ始め、カリギュラの足元に亀裂が生じ始める。


「ふんふん? この臭いは……!」


 しかし、カリギュラは襲われるより早く臭いで感づいた。

 やつはダッシュして俺の方に駆け、重機の上に飛び乗った。

 それと同時に地面に亀裂が生じ、そこから再び巨大ミミズが姿を見せた。


「驚いた! デスワームだ!」


 それを見たカリギュラがそう言う。


「知ってるのか、カリギュラ?」


「ああ。地獄の地中に生息する魔獣だ。幼体は食用として好まれるが、あのサイズになると食べられないな」


「いや。食べたいとは思わんが……」


 俺とカリギュラは重機の上でそう言葉を交わす。


「おーい! あんたら、大丈夫かー!?」


「そっちこそ大丈夫なのか!?」


「ひとり食われちまったよ! それにここからもう2時間は動けない!」


 作業員たちは俺の問いにそう返す。

 もう2時間も岩の上に釘づけにされているのは事実らしく、疲弊した様子だ。


「クソ。あれをどうにかしないと俺たちも家に帰れないぜ。カリギュラ、あのデスワームの弱点はあるのか?」


「丁度いいことにあいつは熱に弱い。俺様が炎で丸焼きにしてやればくたばるだろう」


「それはいい知らせだが、どうやってあいつを釣り出す?」


「あいつは足音に反応して動く。だから、お前が地面に降りて走るなり、何なりすれば出てくるはずだ」


「俺が餌ってわけね……」


 俺は慎重に地面を見つめる。

 地上からではどこからデスワームが姿を見せるか分からない。

 腰のホルスターにはいつものようにHK45自動拳銃が収まっているが、見えない相手は撃ちようがない。


「分かった。じゃあ、3カウントで作戦開始だ。俺が食われる前に焼いてくれよ?」


「任せろ」


 そして3秒のカウントダウンが始まった。


……………………

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― 新着の感想 ―
モンゴルから来た! サキュバスの居る温泉て薄い本みたいなサービス期待したのに。
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