Case.37 Unidentified Mysterious Animals
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──Case.37 Unidentified Mysterious Animals
宇宙人による家畜殺傷──キャトルミューテーション疑惑。
俺たちはとりあえず牧場を見張るために持ち込んだ機材を広げた。
小型で簡単に設置できる赤外線カメラやクアッドロータードローン、そしていざってときに宇宙人を撃ち殺せるモスバーグM590散弾銃。
「……なあ、仮に宇宙人だとしたら、俺たちでどうにかなるのか?」
俺は散弾銃に12ゲージのスラッグ弾を詰めながら、カリギュラにそう尋ねる。
これから宇宙人の相手をするのにこの散弾銃程度でどうにかなるものなのだろうかと俺は疑問だった。
そもそも宇宙人を撃ち殺していいのかって話でもあるんだが……。
もしも、それが友好的な宇宙人だった場合、国際問題ならぬ星間問題になるかもしれないしな。
「分からん。だが、捕まえたら売り飛ばそうぜ。軍政局でもテレビ局でも高値で買い取ってくれるだろう。宇宙人なんだし!」
「おいおい。そういうのを捕らぬ狸の皮算用って言うんだぜ」
一方のカリギュラは宇宙人を捕まえて売り払う気満々であった。
「ところで、臭いの方はどうだ? 魔獣や悪魔、あるいは俺たち以外の人間の臭いはしないか?」
「そうだな。嗅ぎなれない臭いの何かがいた痕跡がある。これが宇宙人の臭いか?」
「俺には分からんが、その臭いは覚えておいてくれよ」
「合点」
俺たちはそれから赤外線カメラを牧場全体が見渡せるように設置し、持ち込んだノートパソコンでそれらの映像を見張る。
「なあなあ、阿賀野。宇宙人ってどうやって出てくるんだ?」
「そりゃあ、空から宇宙船で……?」
「その場合、どうするんだ?」
「だから、さっき俺たちでどうにかなるのかって相談したんじゃないか」
今になってカリギュラが疑問に思い、俺は呆れたようにそう返した。
「まあ、空飛ぶ円盤が現れたら軍政局に通報して空軍に撃墜してもらうしかないな。俺たちは地対空ミサイルなんて持ってないし」
いくら様々な武器を持っている俺たちでも、地対空ミサイルなんて物騒なものは持っていない。
俺たちの仕事でそういうものが必要になることがないので。
「炎は効くよな?」
「いや。何か特殊なシールドを展開するかもしれない」
だが、空飛ぶ円盤で襲撃されたらどうしようかと俺たちは本気で頭を悩ませていた。
これが昨日なら『そんな馬鹿なこと考えてないで仕事探せ』で終わったのだがな。
「とりあえず夜になるのを待とう。宇宙人は夜に家畜を襲っているらしい。襲われた6頭の牛はどの牛も夜までは異常はなく、朝になって宮崎が被害を確認しているからな」
「了解だ。さあ、宇宙人を狩るぞ~!」
俺たちは家畜独特の臭いがする牧場で夜になるのを待った。
* * * *
軽トラックの荷台でノートパソコンが処理する赤外線カメラの映像を見ながら、夜の牧場を見張っている。
赤外線カメラは動く動物がいれば反応するようになっており、放牧された牛がときおり反応している。
しかし、逆に言えばそれ以外の反応はない。
ちなみに見張りは俺ひとりで行っている。
カリギュラはいざというときに動けるよう、休ませておいてやった。
軽トラックの荷台でやつはぐーぐーと寝ている。
俺もひと眠りしたいところだが、そういうわけにはいかない。
近くの自販機で買った缶コーヒーで眠気を覚まし、俺は見張りを続ける。
「ん?」
事が起きたのは深夜2時頃だ。
複数のカメラが動体を検知し、俺はカメラの映像を見る。
そこには見たこともない生き物が映っていた。
「こいつは……! カリギュラ、起きろ!」
「んあ?」
俺が軽トラックの荷台を揺らすとカリギュラがのそのそと起きた。
「お客さんだ。牛を狙っている!」
「マジか! 宇宙人が来たっ!?」
カメラに映った謎の生き物は牛たちに忍び寄るが、牛たちはまだその脅威に気づいていない。
「行くぞ、カリギュラ!」
「合点!」
俺たちは散弾銃を手に、謎の生き物がいる場所に向けて駆ける。
そこで小さな牛の悲鳴が聞こえた。
それから俺たちは姿勢を低くし、音を殺して謎の生き物に忍び寄る。
こいつがただの魔獣なのか、あるいは──。
「動くな!」
俺はそう声を掛けてから、タクティカルライトを装着した散弾銃の銃口を謎の生き物に向ける。
「ぎゃっ!」
謎の生き物が小さく声を上げた。
その生き物はのっぺりとした灰色の肌とともに鋭い爪の生えた前足を有し、目はなく、口はヤツメウナギのようなグロテスクなそれで、そこから長い舌が伸びている。
俺たちが見たことがあるどんな魔獣にもこのような特徴のやつはいない。
「宇宙人ゲットだ!」
カリギュラはそう言うとその生き物に突っ込み、取り押さえた。
謎の生き物はばたばたと暴れるが、復活途中とはいえ、ドラゴンの腕力に敵うはずもなく、やがて抵抗をやめてぐったりし、完全に取り押さえられてしまった。
「わはははっ! さあ、こいつで一儲けだ!」
「待て、カリギュラ。こいつ……犬用の首輪しているぞ?」
そうなのである。
この謎の生き物は犬がしているような首輪をしており、そこにはネームプレートがつけられていた。
「『おなまえ チャーリーくん』と裏側には『この子が迷子になっていたらこの連絡先にご連絡ください』……?」
俺はそれを読んで首を捻る。
だが、分かったことはひとつある。
「カリギュラ。どうやらこいつは宇宙人じゃないらしい」
「ええーっ!?」
首輪して飼育されている宇宙人なんて聞いたことないからな。
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