Case.34 赤い月の真実
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──Case.34 赤い月の真実
俺たちは一度自宅に戻ると完全武装した。
俺もカリギュラもモスバーグM590散弾銃で武装し、身体にはボディアーマーを身に付け、チェストリグには12ゲージ弾のショットシェルをたっぷり。
さらにスモークグレネードやブリーチングチャージ──突入用の爆薬をベルゲンリュックサックに詰める。
サイドアームは俺はいつものHK45自動拳銃、カリギュラはS&W M500拳銃だ。
「準備は?」
「万端!」
「オーケー。じゃあ、殴り込もう」
俺たちは市内にあるショッピングモールに向かった。
その地下にブラッドムーンの集会場がある。
まず俺たちが行ったのは──偵察だ。
「カリギュラ。どうだ?」
「いるな。ワーウルフどもだ。情報通りにモールの地下に集まっている。物騒なアサルトライフルや機関銃で武装しているな。どうする?」
カリギュラの偵察情報とショッピングモールの図面を合わせて俺たちは作戦を練る。
ショッピングモールは企業と犯罪組織が半々で支配しており、ブラッドムーンはそんな区画のひとつを握っていた。
連中はテナントの地下室をアジトにしているようだ。
ワーウルフたちが6名。その中にシグリッドがいるかは今のところ不明である。
だが、連中が銃火器で武装していることだけは確かだ。
「真正面から突入っていうのはぞっとするな。裏口を作るか」
「ふふふっ。それには俺様も賛成だ」
「じゃあ。おっぱじめるか」
俺たちはそれから行動を開始した。
最初にやるのは裏口の形成だ。
* * * *
「3カウント」
裏口を作るための準備を整えた俺たちは、3秒のカウント開始。
「3、2、1──」
俺は点火スイッチを握る。
「0!」
そして、点火スイッチを2回押す。
それによってブリーチングチャージが起爆。
爆薬が炸裂し──テナントの床が吹き飛ぶ。
「うわあああっ!?」
テナントの下の地下室から悲鳴が響く。
ワーウルフたちの悲鳴だ。
「ビンゴ!」
そう、俺たちはワーウルフたちの地下室の天井を爆破したのである。
天井が崩落してきて、ワーウルフたちはその衝撃に悲鳴を上げている。
俺たちは密かに床にドリルで穴を開け、そこにブリーチングチャージを設置。
そして吹っ飛ばしたのだ。
「さあ、突入だ、カリギュラ!」
「合点!」
俺たちはぶち開けた裏口から突入。
崩落した天井から飛び降りて、一気に地下室内へ。
「ぐえっ」
俺たちが地下室に着地すると、下にいたワーウルフが下敷きになった。
潰れたカエルみたいな悲鳴が響き、俺たちは銃口を周囲に向ける。
「全員、動くな!」
俺がよく通る声で叫ぶと、ワーウルフたちは目を点にして呆気に取られていた。
「け、憲兵か!?」
「ほう。憲兵に疑われるようなことしてるのか?」
若く、白い体毛をしたワーウルフが叫ぶとカリギュラがそう言って嗜虐的に笑う。
「ち、畜生! 憲兵じゃないなら何者だよ!」
「便利屋だ。人探しをしている。シグリッドはここにいるか?」
「彼女を狙っているということは、お前が……!」
白い体毛のワーウルフのその言葉を聞くとワーウルフたちは牙を剥き出しにして唸り、手に握った銃火器の銃口を俺たちに向けようとする。
「おいおい。勘違いするな。狙ってはいない。探すのを頼まれただけだ」
「そうだぞ。狙っているとは人聞きならぬ悪魔聞きが悪い」
俺たちはそれを牽制するように銃口を向けてそう告げる。
「天井ぶち抜いて現れといて信頼できるか!」
「正面から入ったらその銃火器で今頃ミンチにされていただろうからな。こいつは不可抗力ってやつだ」
「この……!」
俺はタクティカルライトを装着した散弾銃の銃口を走らせて、この中にシグリッドがいるかどうかを確認する。
「あ、あの、私を探しているって……?」
そこで若い女性の声が地下室に響いた。
「シグリッド! 出てくるな! 危険だ! こいつらが……!」
「この人たちじゃないよ、アタウルフ。私があそこで見たのは……」
白いワーウルフが制止するが、灰色の体毛をしたワーウルフの女性はそう言う。
「あんたがシグリッドだな。あんたが行方不明だから探してほしいって依頼を受けた便利屋だ。殺しに来たわけでも、憲兵に突き出しに来たわけでもない。というか、どうしてこんな連中と一緒にいるのかをまず説明してくれ」
俺は安堵から銃口を降ろし、周囲を見渡す。
地下室には筋トレ用のジム用品が置かれ、壁にはブラッドムーンのシンボルである赤い月に狼の牙が描かれたシンボルを記したポスター。
そして、退屈しのぎのためだろうゲーム機とテレビがあり、缶詰やスナック菓子の袋などが散らかっている。
犯罪を企てている秘密結社にしては、のんびりしたものだ。
「アタウルフたちは悪くないんです。私が押しかけたせいで……」
「押しかけた? どうして?」
「……身を守るためです……」
俺はシグリッドの言葉からあるものを連想した。
「お前はもしかして見たのか? 殺人鬼のワーウルフを?」
俺の問いにシグリッドは無言ながら頷いていた。
「クソ。そういうことか。なんで憲兵を……って分かり切ったことか。連中は頼りにならないよな……」
「はははっ! お前、人をばらばらにする殺人ワーウルフを目撃して、そしてそいつに命を狙われているというのか? それはまた愉快なことになっているな!」
「本人は全然笑えないからやめろ、カリギュラ」
高笑いするカリギュラを責める視線を向けたのちに俺はシグリッドの方を見る。
「俺たちが助けになれるかもしれない。殺人鬼の正体に心当たりがあるんだろう。俺たちで対処しよう。そいつの名前を教えてくれ」
これでシグリッド行方不明事件を解決すると同時に、連続殺人ワーウルフも始末できるかもしれない。
「分かりました。その人は──」
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